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「親が転ぶと思ったら子どもは大抵転ぶものなのだろうか」
コメ0 草の根広告社 49ヶ月前
夏の浜にはカツオノエボシが打ち上げられる。秋には海辺の旧道沿いに彼岸花が咲く。どちらも自然が創造した色の鮮やかさを美しいと思う一方、その猛毒性に身震いする。触れるとショック死する危険性もあるカツオノエボシはもちろん、畑の作物を狙う小動物を殺す為に外国から持ち込まれた彼岸花は経口摂取すると死に至...
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「いいコになんかなるなよ」
コメ0 草の根広告社 49ヶ月前
子どもの頃「親の言うことばっかり聞いていると心配なのよねえ」と母がよく独り言のように言っていた。どうしてそんなことを言っていたのかが今になってようやくわかった。
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「個育てとか、共育とか」
コメ0 草の根広告社 49ヶ月前
朝、娘が咳き込んでいた。楽しみにしていた遠足の振替日だった。熱はないが、食欲もない。「念のためだからね」 八時過ぎに娘を近所の小児科へ連れて行く。平日の海辺の町はとても静かで窓を開けると秋の清冽な潮風が車内を吹き抜けていった。絶好の遠足日和なのに可哀想にと後部座席の娘を見遣った。 ちょっとした...
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「こどもはなぜどんぐりが好きなのか」
コメ0 草の根広告社 50ヶ月前
四歳の娘はどんぐりを見つけると必ずしゃがんで拾う。必ずだ。頭で考える前に拾っている気がする。その俊敏な行動にぼくは野生動物の本能に対する畏怖の念さえ感じていた。
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「想像力が世界を拡げていく」
コメ0 草の根広告社 50ヶ月前
冷たい秋雨だった。娘を車に乗せて海沿いの国道を保育園に向かっていた。すると突然、車窓を眺めていた後部座席の娘が呟いた。「てつぼうがぬれてるなぁ」 驚いていた。それが独り言だったこともそうだが、車窓から鉄棒など見えていなかったからだ。
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「子どもは大人の真似をする」
コメ0 草の根広告社 50ヶ月前
子どもは大人の真似をする。当然だろう。何も知らずに生まれてきて、周囲の大人の言葉や行動を見聞きしながらこの世界で生きる術を掴み取っていくのだから。 厄介なのは彼らが
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「幼児はなぜ靴を左右逆に履くのか」
コメ0 草の根広告社 50ヶ月前
靴を自分で履くようになった頃から娘が靴を左右逆に履いていることが多くなった。最初のうちは「逆だよ」と教えていたけれど、それで直すときもあれば自我が芽生えてきた今では「いいの」と反発することもあるのであえて指摘しないようになった。それで転んだりしているならまだしも、少なくとも左右逆に履いている本...
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「はじめてのチョコレート」
コメ0 草の根広告社 51ヶ月前
子どもが初めてチョコレートを食べるときは絶対に傍で見ていた方がいいですよ、と教えてくれたのはSさんだっただろうか。乳製品アレルギーなどの類いの話じゃない。子どもが初めてチョコレートを食べたときの反応がおもしろいから見ていた方がいいですよ、という話だった。まあ、その理由からしても教えてくれたのはた...
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「ほんのささいなこと」
コメ0 草の根広告社 51ヶ月前
ほんのささいなことだ。 地球規模に蔓延している疫病。過去の記録を更新し続ける自然災害や異常気象。これまでやってきたことの報いだという人もいる。人類の終末期だという人もいる。本当のところはともかく、そういう未曾有の危機に比べたら、今から書こうとしていることは本当に取るに足らない。ハリウッドの大作...
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「反抗期という言葉の本当の意味」
コメ0 草の根広告社 51ヶ月前
保育園の先生から娘の生活態度について相談があった。最近、落ち着きがないように感じる。食事の時間になってもひとりだけ遊んでいたりする。いちいち言っていると注意ばかりになってしまうので見守っていくか、きちんと伝えるべきか悩んでいる、という話だった。
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「サイはぜんぶダメなんだよ」
コメ0 草の根広告社 51ヶ月前
たとえば、夏に白菜やブロッコリーを食べなくなったこと。冬にトマトやキュウリを食べなくなったこと。それもこの海辺暮らしでの変化のひとつだ。 都会で暮らしていた頃はトマトやキュウリのような夏野菜が冬でもスーパーの野菜棚に並んでいた。それを当たり前だと思っていた。
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「いつか、風が生まれる場所へ」
コメ0 草の根広告社 52ヶ月前
ある日、娘に訊かれた。「風はどうして吹くの?」「どうしてだろうね?」 自分でも考えてみるように促しながら、ぼく自身も考えていた。考えていたというより思い出していた。小学校で天気に関する授業で習ったはずだ。確か理科だったんじゃないだろうか。だけどまったく思い出すことができない。そういえば「ドラえ...
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「きょう、いきたくない」
コメ0 草の根広告社 53ヶ月前
朝ごはんの進みが悪い娘がぽつりと「きょう、ほいくえん、いきたくない」と言った。体調は悪くないようだ。それ以上にまだ何か言いたげな顔をしているのが気にかかった。その表情に一瞬、子供の頃の自分が重なっていた。直感を信じ、詮索を避けて別の話をしながら待つ。不自然なまでの空々しさが功を奏したのかやがて...
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「みんながげんきにだいかつやく」
コメ0 草の根広告社 53ヶ月前
七月七日。灰色の厚い雲が海原を覆い尽くしていた。連日の雨で走るのは一週間振りだった。海からの強い風が陸に向かって吹きつけていた。高い波頭の上をロングボードと一体化したサーファーが滑り降りて来る。あんな風に自然と歩調を合わせることができたら、少しはこの陰鬱な気持ちも晴れるのだろうか。去年亡くなっ...