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町山智浩の言霊USA 第722回「No Going Back(後戻りしない)」
コメ0 週刊文春デジタル 11時間前
サウスダコタ州は面積約20万平方キロ(北海道の約2.4倍)の広大な大平原に90万人しか住んでない。先住民ラコタ・スー族の土地で、有名な観光地はジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、テディ・ローズベルト大統領の顔が彫られたラシュモア山と、火星の風景みたいな奇岩が並ぶバッ...
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町山智浩の言霊USA 第721回「What kind of American are you?(どの種類のアメリカ人だ?)」
コメ0 週刊文春デジタル 1週間前
ドナルド・トランプは今年11月の大統領選挙で勝ったら、2020年の選挙で彼から票を奪った(と彼は主張している)勢力に報復をすると宣言している。逆にもし負けたら、トランプ支持者は議会を襲撃するどころか、今度こそ銃を持って反乱を起こすかもしれない。 そんな内戦の不安が高まるなか、『シビル・ウォー』、つま...
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町山智浩の言霊USA 第720回「You work the gimmick hard enough, it'll become real.(ギミックを真剣に演じ続ければ現
コメ0 週刊文春デジタル 3週間前
世界最大のプロレス団体WWEのトップ、ヴィンス・マクマホンが経営から退いた件は、この連載でも書いた。職員や女性レスラーへの性的虐待で告発されたからだ。「選手や女性を踏みにじるスケベで卑劣な経営者」というギミック(プロレスの仕掛け)を演じてきたヴィンスだが、それは事実だった。もうシャレにならない。極...
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町山智浩の言霊USA 第719回「If that ain't country, tell me what is?(これがカントリーじゃないなら、何がカントリー
コメ0 週刊文春デジタル 4週間前
「ビヨンセに会った! 握手とハグした! めちゃいい匂い! もう死んでもいいわ!」僕のラジオ番組の書き起こしをしてくれてる「みやーんZZ」さんが、アメリカのスーパースター、ビヨンセとハグ! そんな奇跡が起こったのは3月29日。その日の午前11時に、午後、渋谷タワーレコードでビヨンセがサイン会をすると突然告...
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町山智浩の言霊USA 第718回「Freak Off(常軌を逸脱すること)」
コメ0 週刊文春デジタル 1ヶ月前
3月25日、ごはんを食べながらテレビを観てたら、SWATチームがどこかの豪邸に突入する映像が流れてきた。迷彩色のヘルメットとボディアーマー(防弾チョッキ)、アサルトライフルの完全武装で装甲トラックやヘリコプターまで動員して、まるで戦争だけど、まあ、アメリカではよくあるニュース。「国土安全保障省の捜査部...
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町山智浩の言霊USA 第717回「You're trying to shame me(あなたは私に恥をかかせようとしています)by ナンシー・メイ
コメ0 週刊文春デジタル 1ヶ月前
選挙で勝つためなら、相手がカルトだろうと何だろうと、いくらでも妥協する議員がいる。日本の自民党の話じゃない。アメリカの共和党のことだ。 2021年1月6日、トランプが扇動した暴徒に連邦議会を襲撃され、殺されそうになった共和党の議員たちは、トランプは議会制民主主義を暴力で踏みにじったと怒った。サウス・...
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町山智浩の言霊USA 第716回「AAVE(African-American Vernacular English=アフリカ系アメリカ人日常英語)」
コメ0 週刊文春デジタル 1ヶ月前
「出版社は黒人の本を求めてるんだ」「私じゃダメなのか? 黒人だぞ」 今年のアカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』の主人公、セロニアス・エリソンこと通称モンク氏はアフリカ系の作家。父は医者、自分は名門ハーヴァード卒。大学で文学を教えている。書いているのはギリシア悲劇を現代に移...
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町山智浩の言霊USA 第715回「My ultimate and absolute revenge(私の究極かつ絶対的な復讐)」
コメ0 週刊文春デジタル 1ヶ月前
3月5日(火曜日)は「スーパーチューズデイ」、共和党では全米15州で大統領予備選が行われ、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝し、11月の本選でのバイデン大統領とのリターンマッチが確実になった。 現在、全米各州でトランプの支持率はバイデンを上回っており、このままだとトランプ再選は避けられない。 では、ト...
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町山智浩の言霊USA 第714回「Uncommitted(支持したい候補者なし)」
コメ0 週刊文春デジタル 2ヶ月前
まだ子供で いろんな事が よく わからないような頃に 教えられた正義のイメージは何なんだ あと何年経ったら世界は平和に 近田春夫さん結成のビブラストーンが1991年に発表した「人間バーベキュー」は、1960年代にベトナム戦争に反対する大人たちを見ていた思い出から始まる。 テレビで観たニュースのイメージ...
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町山智浩の言霊USA 第713回「Welcome Home, Franklin(おかえり、フランクリン)」
コメ0 週刊文春デジタル 2ヶ月前
何をやってもダメな小学生チャーリー・ブラウン、何をやらせてもカッコいい飼い犬スヌーピー、それに彼らの友達を描くマンガ『ピーナッツ』は、1950年に新聞連載が始まり、何度もアニメ化されてきた。その新作『おかえり、フランクリン』が先日、アップルTV+から世界配信された。これはピーナッツで初のアフリカ系キ...
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町山智浩の言霊USA 第712回「We spent all the money on the commercial spot(僕ら、このCM枠を買うのにお金全部使っち
コメ0 週刊文春デジタル 2ヶ月前
1億人が視聴するといわれるアメリカ最大のイベント、スーパーボウルが今年も行われた。 といっても、今回は生では観てない。飛行機の中だったので。 いや、自分が住むサンフランシスコとハワイ島との往復が260ドルという破格のバーゲンを見つけたんで。ハワイ島は初めてだけどよかったー。海でオニイトマキエイと遊...
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町山智浩の言霊USA 第711回「Life sucks, and then you die!(この世はクソだ。そう言って、みんな死んでいくのさ)by
コメ0 週刊文春デジタル 2ヶ月前
世界最大のプロレス団体、WWEの帝王、ヴィンス・マクマホン(78歳)が性加害で追及されている。 ヴィンスは1982年に父からアメリカ東北部ローカルのプロレス団体だったWWFを買収し、全世界規模のエンターテインメント企業に成長させた。 現在、WWEの企業価値はおよそ210億ドル。去年、WWEは総合格闘技団体UFCと合併...
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町山智浩の言霊USA 第710回「Swiftonomics(スウィフトノミクス=テイラー・スウィフトの経済効果)」
コメ0 週刊文春デジタル 3ヶ月前
1月28日、全米プロフットボールNFLのプレーオフでカンザスシティ・チーフスはボルチモア・レイブンズを17対10で破った。 フィールドで勝利を喜ぶチーフスのタイトエンド、トラヴィス・ケルス選手に、テイラー・スウィフトが駆けつけてキスした。二人は昨年10月に交際を公表した。 ナッシュヴィルのカントリー歌手だ...
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町山智浩の言霊USA 第709回「Live Free or Die(自由に生きられないなら死を選ぶ)」
コメ0 週刊文春デジタル 3ヶ月前
今年のアメリカの大統領選挙はバイデン対トランプのリターンマッチというみんなウンザリなことになりそうだが、各党の候補を決める予備選が始まった。 通常はまずアイオワ州、次にニューハンプシャー州で行われる。ところが今年、民主党全国委員会(党執行部)は、アイオワでもニューハンプシャーでも予備選をしない...
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町山智浩の言霊USA 第708回「Slumlord(貧民街の大家)」
コメ0 週刊文春デジタル 3ヶ月前
先日、オッペンハイマーの足跡を追って、彼が原爆を開発した地であるニューメキシコ州を訪ねたが、現在、ニューメキシコ最大の都市アルバカーキは「第3のハリウッド」と呼ばれているそうだ。「第2のハリウッド」はジョージア州アトランタで、マーヴェルの映画のほとんどがアトランタで撮られている。州が映画製作を誘...
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町山智浩の言霊USA 第707回「Von Erich Curse(フォン・エリック家の呪い)」
コメ0 週刊文春デジタル 3ヶ月前
ジャイアント馬場選手が主人公のマンガ『ジャイアント台風』(原作・梶原一騎、作画・辻なおき)には、フリッツ・フォン・エリックという身長195センチの巨体レスラーが登場する。 フリッツの必殺技はアイアン・クロー(鉄の爪)。巨大な手で相手の顔をつかみ、ビール缶を握り潰し、電話帳を引き裂く握力で、こめかみ...
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町山智浩の言霊USA 第706回「Munchausen Syndrome By Proxy(代理ミュンヒハウゼン症候群)」
コメ0 週刊文春デジタル 3ヶ月前
2023年12月28日、ジプシー・ローズ・ブランチャード(32歳)が仮釈放された。彼女はボーイフレンドと共謀して母親を殺した罪で服役していた。母ディー・ディーは、娘ジプシー・ローズを不治の病に偽装し、全米の同情と寄付を集めて暮らし、そのために娘を20年間監禁し、必要のない手術や投薬で娘を身体障碍者にしよう...
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町山智浩の言霊USA 第705回「Disqualified(資格なしと判断される)」
コメ0 週刊文春デジタル 4ヶ月前
今年11月に行われるアメリカ大統領選挙で、共和党の予備選の世論調査の支持率トップを走っているドナルド・トランプ前大統領が、コロラド州の最高裁に「大統領候補者の資格なし」と判断された。 その理由は、合衆国憲法修正第14条第3項が「合衆国に対する反乱に参加した者」が上下院議員や政府や軍の役職に就くことを...
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町山智浩の言霊USA 第704回「Globalize the Intifada(インティファーダを世界に)」
コメ0 週刊文春デジタル 4ヶ月前
名門ハーヴァード大学の学長はクローディン・ゲイ教授(53歳)。2023年7月に就任したばかりのハーヴァードの長い歴史上初の黒人女性の学長だ。エリートばかりのハーヴァードでは珍しく、貧しいハイチ移民の娘。 そのゲイ学長が集中砲火を浴びている。 きっかけは、10月7日のイスラエルに対するハマスの攻撃だ。報復...
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町山智浩の言霊USA 第703回「Kissinger is a war criminal.(キッシンジャーは戦争犯罪者である)」
コメ0 週刊文春デジタル 4ヶ月前
11月29日、キッシンジャーが死んだ。100歳だった。 自分の世代にとってキッシンジャーは、ニクソン訪中の黒幕だった。東西冷戦の最中にアメリカと中国が国交を結んだのは「ウルトラC」(当時、掟破りの技をそう呼んだ)で、その端緒を開いた大統領補佐官キッシンジャーの外交テクニックが絶賛された。 キッシンジャ...
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町山智浩の言霊USA 第702回「Hindutva(ヒンドゥー教独裁主義)」
コメ0 週刊文春デジタル 5ヶ月前
11月29日、アメリカ政府は、アメリカ国籍を持つシーク教徒の運動家をニューヨークで暗殺しようとしたインド政府関係者を起訴したと発表した。 標的になったのはアメリカ在住の弁護士グルパットワント・シン・パヌン氏。インドのパンジャブ州の独立を求める州民投票を呼び掛けていた。パンジャブ州の人口の58%がシー...
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町山智浩の言霊USA 第701回「“If we killed 4000 Palestinian kids, it wasn't enough!”(パレスチナの子どもを4000人
コメ0 週刊文春デジタル 5ヶ月前
ニューヨークはマンハッタン、セントラルパークの東側、アッパー・イーストサイドはユダヤ系の超富裕層が住む高層コンドミニアムが建ち並ぶエリア。そのビルの谷間の路上には、中東系移民が営むハラル料理の屋台がいくつも集まっている。 メニューは、フムス(ひよこ豆のペースト)、ひよこ豆を団子にして揚げたファ...
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町山智浩の言霊USA 第700回「Yes, a doll(そう、ただの人形ですよ)byイスラエル政府」
コメ0 週刊文春デジタル 5ヶ月前
11月初めサンフランシスコで、クイーンのコンサートを観てきた。フレディ・マーキュリーの代わりにボーカルを務めるは、1982年生まれのシンガー、アダム・ランバート。無理にフレディの物マネをしたりせず、お客さんたちと一緒に歌う和気あいあいのライブだった。自分もふくめて還暦越えばかり1万人が大合唱。「ママー...
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町山智浩の言霊USA 第699回「Woodstock and drugs and peace and free love and all that(ウッドストックだの、ドラッ
コメ0 週刊文春デジタル 5ヶ月前
アメリカの連邦下院議会の議長がやっと決まった。そんなの、日本の読者にはどうでもいいことだと思うが、こいつが実にロクでもない奴なので、ちょっと読んでみてほしい。 議長だったケヴィン・マッカーシーは共和党だったが、一部の共和党議員の造反により解任されてしまった。今の下院は共和党が民主党をわずかな議...
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町山智浩の言霊USA 第698回「I'll be there for you(私はあなたのそばにいくよ)」
コメ0 週刊文春デジタル 6ヶ月前
90年代のTVドラマ『フレンズ』は、ニューヨークを舞台に「大人になれない」女3人と男3人の友情と恋愛を描くコメディ。ファッション業界で働くレイチェル(ジェニファー・アニストン)は、お金持ちのお嬢さんでわがまま。ロス(デヴィッド・シュワイマー)は古生物学の博士号を持つインテリだが面倒くさい性格で結婚離...
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町山智浩の言霊USA 第697回「Now I am become Death, the destroyer of worlds(今、我は死神、世界の破壊者になれり)
コメ0 週刊文春デジタル 6ヶ月前
ニューメキシコ州のトリニティ実験場に行った。1945年7月16日、この広大な砂漠で世界初の原爆実験が行われた。その実験の暗号名がトリニティだ。 トリニティ実験場は国定史跡だが、一般に公開されるのは年に2日だけ。史跡を内包する地対空ミサイルの開発実験場の機密保持のためだ。 入場できるのも先着5000人だけ。...
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町山智浩の言霊USA 第696回「Don't be consumed by the rage(バイデン大統領『怒りに呑み込まれてはいけません』)」
コメ0 週刊文春デジタル 6ヶ月前
イリノイ州プレインフィールド・タウンシップは、シカゴから40マイル離れた、緑に囲まれた人口数万人の小さな町。そこに住む少年ワデア君は10月6日に6歳の誕生日を家族と祝った。 その翌10月7日、イスラエルで、パレスチナ人の過激派組織ハマスが奇襲攻撃をかけた。1400人以上のイスラエル人が死亡した。イスラエル側...
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町山智浩の言霊USA 第695回「Human Animals(人の形をしたケダモノ)」
コメ0 週刊文春デジタル 6ヶ月前
自動車産業の街、ミシガン州デトロイト郊外にディアボーンという街がある。フォード本社と工場があることで有名だが、住民の約半数がアラブ系だ。 1920年代、ヘンリー・フォードが自動車工場を拡大する時、アラブ系移民を積極的に雇用した。アメリカ連邦下院議会初のパレスチナ系女性議員、ラシダ・タリーブ(47歳)...
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町山智浩の言霊USA 第694回「Even Better Than The Real Thing(むしろ本物よりも素晴らしい)」
コメ0 週刊文春デジタル 7ヶ月前
9月29日、ラスベガスに新しくオープンしたアリーナ「スフィア」に行ってきた。 飛行機でラスベガスに近づくと、ザ・ストリップ(目抜き通り)に立ち並ぶ高層ホテルの合間に巨大な球体が見える。スフィア(球体)の高さは112メートル。世界最大の球形建築だ。その球体が地球や月や巨大な眼球になって瞬きする。スフィ...
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町山智浩の言霊USA 第693回「Gerontocracy(ジェロントクラシー:長老制)」
コメ0 週刊文春デジタル 7ヶ月前
自分ももう61歳だから、大学の同級生に会うとみんな定年過ぎで、仕事の第一線からは外れてるわけですよ。機能が格段に落ちてるからしょうがない。でも、企業の経営者や政治家になると60歳以上が基本で、「40、50は鼻たれ小僧」とか言われちゃう。日本の閣僚の平均年齢は63歳以上ですから。 年寄りがリーダーシップを...
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町山智浩の言霊USA 第692回「Shunning(アーミッシュが規律から離れた人物を忌避、排除すること)」
コメ0 週刊文春デジタル 7ヶ月前
300年前の生活を守り、電気や自動車を拒絶してアメリカ中西部に暮らすスイス系移民、アーミッシュの村に取材した話の続き。アーミッシュを世界に紹介した映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』から38年経って、アーミッシュは少しずつ変化していた。 オハイオ州の「アーミッシュ・カントリー」に入ると、緑の丘が広がっ...
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町山智浩の言霊USA 第691回「Ordnung(オルドゥヌング:アーミッシュの秩序)」
コメ0 週刊文春デジタル 7ヶ月前
オハイオ州ジョン・グレン・コロンバス国際空港から車で2時間くらい走って山の中に入っていく。深い森を抜けると、「アメリカのスイス」と呼ばれる美しい緑の丘が広がる。丘を行くのは黒い馬車。乗っているのはアーミッシュ。科学文明を拒否して17世紀の生き方を今も守り続けるキリスト教徒だ。 アーミッシュを生んだ...
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町山智浩の言霊USA 第690回「MOOP(Matter Out Of Place)(もともと、そこに無かったもの)」
コメ0 週刊文春デジタル 7ヶ月前
バーニングマンは西部の荒野で9日間キャンプするフェスティバル。パーティや様々なアートを楽しんだ後で、フィナーレでは古代ケルトの儀式みたいに木製の巨人を燃やす。 1986年にサンフランシスコで始まった時のバーナー(バーニングマンの参加者)はわずか35人だったが、90年にネバダ州リノ市から車で2時間以上離れ...
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町山智浩の言霊USA 第689回「Fuck, Bud Light!(くたばれバドライト!)」
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
ロサンジェルスから車で2時間ほど東に走った国有林の中にある貯水池レイク・アローヘッドは静かなマウンテン・リゾートだが、そこで8月18日、銃撃戦があった。 警察との撃ち合いで死亡したのはトラヴィス・イケグチ(27歳)。近くの衣料品店のオーナー、ローラ・アン・カールトンさん(66歳)を射殺した後だった。 ...