マル激!メールマガジン 2016年9月14日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第805回(2016年9月10日)
第三者「御用」委員会が後を絶たないのはなぜか
ゲスト:久保利英明氏(弁護士・第三者委員会報告書格付け委員会委員長)
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最近、第三者委員会という言葉をよく聞く。独立調査委員会や外部委員会などと呼ばれることもあるが、企業や組織に不祥事が起きた時、組織から独立した委員たちが事実関係を検証した上で、その責任の所在や原因を究明したり改善策を提言する委員会のことだ。
ところがこの第三者委員会が機能していないばかりか、第三者委員会の大半は御用委員会と化し、大甘の調査報告書を出してお茶を濁す程度で終わっている。その結果、企業では更なる信頼の失墜につながったり、公職者の場合、辞任に追い込まれたりするなど、かえって状況が悪くなるケースが続出しているが、それでも御用委員会は後を絶たない。
企業では東芝の不正会計の調査委員会が代表例だ。朝日新聞の従軍慰安婦報道の調査委員会のように、あれこれ辛口なことは言いながら、何ら有効な提言をできず、企業の信頼回復に寄与できなかった委員会も多い。個人レベルでは不適切な公金の流用が疑われた舛添要一元都知事も、元特捜検事が行った大甘な調査の結果、辞任に追い込まれている。東京五輪招致をめぐる不正な支出疑惑を調査したJOCの調査委員会も、ほとんどろくな調査もせずに「問題なし」の結論を出したことで、かえって疑惑が深まる結果を生んでいる。
企業の第三者委員会の報告書を評価する「格付け委員会」を主宰する弁護士の久保利英明氏は、第三者委員会の多くが御用委員会と化す理由について、日本では第三者委員会の委員に選ばれた弁護士や有識者たちが、調査の依頼主の方を向いているところに原因があると指摘する。企業のステークホルダー(利害当事者)は経営陣や社員だけではない。顧客は言うに及ばず、株主、市場、地球環境、地域社会、消費者など、企業の影響は社会全体に及ぶ。第三者委員会がそのステークホルダー全体に対して説明責任を負っているという認識が、日本ではまだ希薄だと久保利氏は指摘する。
こんなことを続けていると、社会が持たない。企業は市場から見放され、政治不信は高まるばかりだ。日本や所属組織という内集団の掟だけに縛られ、それを守っている限り、後は全てなあなあで済まされた時代は、とうの昔に終わっている。
なぜわれわれは自らを顧みることが、こうまで苦手なのか。その最も身近な例であり、その試金石ともなる第三者委員会を機能させるために今、われわれは何をしなければならないのか。久保利弁護士と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・五輪招致の不正をめぐる、「滑稽」な調査報告書
・中立性も独立性もない、第三者委員会メンバー
・朝日新聞、従軍慰安婦報道問題の本質
・内集団ではなく、「良心」に従うことができるか
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■五輪招致の不正をめぐる、「滑稽」な調査報告書
神保: 今日のテーマは「第三者委員会・独立調査委員会」です。宮台さん、このテーマで最初に思い当たることはありますか。
宮台: 日本の審議会制度のある種の奇妙さ、デタラメぶりについては、特に原発行政、3.11以降の問題として、何度も繰り返し扱ってきました。その意味では、僕たちにとっては実は馴染み深い問題です。しかし、これにどう手を入れることによってまともなものになるのか、ということは、まだ十分に議論していませんでした。イギリス的な制度にすればいい、という暫定的な結論は出ましたが、なぜそういう制度を持ち込めないのか、という疑問がさらに進むだけです。
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