マル激!メールマガジン 2018年4月11日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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マル激トーク・オン・ディマンド 第887回(2018年4月7日)
公文書隠して国滅びる
ゲスト:瀬畑源氏(長野県短期大学准教授)
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 森友学園問題や加計学園問題は大きな政治問題となり、安倍政権の支持率の急落をもたらすなど、今後の政局に大きな影響を与えている。憲法改正の発議だの安倍3選だのといった、一度は既定路線のように語られていた政治日程は、根本から見直しを強いられているといっていいだろう。
 しかし、これが、権力がいかに行使されたかを検証するための公文書がきちんと保存されていなかったという国家の根幹にかかわる大問題であり、例えば安倍政権が退陣すればいいというような一政権だけの問題ではないことは、いま一度確認が必要だろう。
 言うまでも無く日本は民主国家であり、政府がどのように運営され、その過程で国民が政治に負託した権力がどのように行使されたかが、後世にも検証可能な形で記録されているのが、他でもない公文書だ。
 日本は2011年4月1日から施行されている公文書管理法という立派な法律がある。まだまだ細かい点で改善を必要としているが、「行政機関の職員が職務上作成し、組織的に用いられている文書」はすべて公文書として保存されなければならないようになっている。また、日本には2001年に施行された情報公開法という立派な法律もある。それらがしっかりと守られていれば、国有地の払い下げや学校の認可のような癒着や腐敗が起きやすい意思決定は、すべて記録が保存されていなければおかしい。
 公文書問題に詳しい長野県短期大学の瀬畑源准教授は、政府内では公文書管理法が骨抜きにされていると言う。なぜならば、各省が独自に公文書管理のガイドラインを勝手に設け、法律の条文を恣意的に狭く解釈するなどによって、無数の抜け穴を作っているからだ。
 例えば森友学園への国有地の払い下げの場合、財務省は「引受決議書」や「売払決議書」は30年の保存期間を定めている。しかし、それはあくまで最終的な決定文書だけが対象で、そこに至る交渉過程などは「歴史的に重要ではない」との理由から、原則1年未満で処分することが、財務省自身が作成した細則で定められているのだ。
 これは、国有地の売却問題では政治家の口利きが日常的に行われていて、財務省はガイドラインや細則といった自ら決定したルールに則りながら、不適切な払い下げの証拠抹殺をルーティンワークにしていた可能性の存在を示唆していると瀬畑氏は指摘する。このような杜撰で恣意的な公文書管理体制の下では、森友学園問題は巨大な氷山の一角だった可能性が高いのだ。
 肥大化した権力に対するチェック機能を回復させるためには、まず一丁目一番地として、厳格な公文書管理と情報公開が不可欠だ。それが各省の内規によって簡単に抜け穴が作られたり歪められ、官僚が公文書管理法や情報公開法に違反をしても罰則がないというような現状では、真っ当なチェック機能が働くわけがないではないか。
 政治の質が低いと公文書管理や情報公開が杜撰になるというが、本来その話は逆だ。罰則を厳しくしたり外部監査を導入するなどして、政府が公文書管理や情報公開を徹底せざるを得ない状況を作れば、政府はそれに見合ったレベルの政治を行わざるを得なくなる。
 「大山鳴動して政権一つが倒れる」だけでは、何の解決にもならない。今こそ、問題の根っこにある公文書管理の問題点を再検証すべく、日本で数少ない公文書の専門家の瀬畑氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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今週の論点
・現在に至るまで注目されなかった「公文書管理法」
・歪んだ行政のプロセスの弊害
・騒動の渦中で施行された、ガイドライン改訂の意図
・外部のチェック体制は、ないに等しい
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