消極性研究会(SIGSHY)による連載『消極性デザインが社会を変える。まずは、あなたの生活を変える。』。今回は西田健志さんの寄稿です。日々、デマやフェイクニュース、他人への悪口があふれ、刹那的なトレンドを追いかけ、振り回されてしまうTwitter。その中で、公正な公共コミュニケーション空間を築き、平和を取り戻すためのプロジェクト「Fair Tweeters」をご紹介します。
消極性デザインが社会を変える。まずは、あなたの生活を変える。
第18回 ランダムに決めるというフェアネス
今回は、まさにこれから始めようとしている「Fair Tweeters」というプロジェクトについて書いていきます。このプロジェクトは、戦争と平和をテーマとした『PLANETS vol.10』におけるPLANETS×消極性研究会の座談会をきっかけとして着想したもので、大げさにいえばTwitterに、インターネットに平和を取り戻そうとするプロジェクトです。
(消極性デザインによって、現代の戦争としてのテロリズムを抑制することができるのではないかといった刺激的な議論が飛び交った2年前の対談、まだチェックされていない方はこの機会に本記事と合わせてお読みいただくことをお勧めします。)
Fair Tweeters
Fair Tweetersは、Twitterに/インターネットに公正な公共コミュニケーション空間を築きたいという志を共有するTwitterユーザで徒党を組んで大きな互恵グループを形成しようとする実験的なプロジェクトであり、それによって生み出そうとするグループの名称でもあります。
宇野氏の近著『遅いインターネット』の言葉を借りれば「愚民」と「カルト」に二分されてしまったインターネットの中で、その波に飲まれてしまうことなく地に足のついたツイートを続け、刹那的なトレンドを追いかけることよりもトレンドに表れないユニークなユーザの声に耳を傾けようとするようなユーザを結集させよう、それによってインターネットを少しでも理想の姿に近づけようとする試みです。
Fair Tweetersは次の2つのルールによって成り立ちます。
1. Fair Tweetersのメンバーは、抽選プログラムによって選ばれる1名のメンバー「スター」をTwitter上でフォローする。抽選は定期的に行われ、次のスターが決定したのちには前のスターはフォローし続けてもいいし、解除してもよい。
2. Fair Tweetersのメンバーは、日々Twitterをフェアに利用する。ここでいうTwitterのフェアな利用とは、スポーツで言うところのフェアプレーやスポーツマンシップ精神のようなものである。アンフェアな行為が目立つメンバーは「スター」となる権利を失う。
抽選メディアジャックの民主的な実装とその限界
1つ目のルールは、先に紹介した対談の中で出た「ランダムに選ばれた人がYouTubeを5分間ジャックできて世界中の人に話を聞いてもらえる」というアイデアの民主的な実装になります。現代世界の平和を脅かすテロリストたちが政治的なメッセージ等の発信を目的とするのであれば、平和的に強力なメッセージを発信する機会を与えることがその解決につながるのではないかという発想です。少し待っていればメディアジャック権が当たるかもしれないのであれば、危険を冒す必要も、人の命を奪う必要もなくなるのではないかという発想です。
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