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第330号 2019.9.24発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…今月20日、神奈川県横浜市議会は「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の誘致準備費用2億6000万円を盛り込んだ補正予算案を成立させた。安倍首相はカジノを「経済成長の目玉」と絶賛し、横浜市長も地域経済の発展を謳ったが、カジノの収益は「誰かがバクチで負けたカネ」である。それが本当に経済繁栄をもたらすのだろうか?外資系カジノ屋に媚びへつらっているのに?ラスベガス、マカオ、シンガポール…実際にカジノでは何が起きているのか?
※「ゴーマニズム宣言」…戦後最悪といわれる日韓関係が一切改善の兆しを見せない中、朝日新聞や東京新聞など左翼メディアは、この事態は一方的に日本が悪く、韓国には一切の非はないとする「韓国無謬論」の信者と化し、韓国を批判する言論を封殺しようと躍起になっている。今回はその手口を分析していこう。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!若い世代で「おしん」の再ブームが起きていることをどう見てる?時代が変わっても「面白い」と思うギャグを生み出すには何が必要?職があり家族がいるような真っ当な人たちが、サヨクやネトウヨになってしまうのは何故?安倍首相は良き改憲のための議論などしてくれるの?「ひ弱」を脱する、脱させる為にはどうすればいい?おぼっちゃまくんはなぜ角がはえているの?最終回を迎えた『凪のお暇』はどうだった?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第141回「カジノでなにが起きるのか?」
2. ゴーマニズム宣言・第342回「朝日新聞、今度は韓国無謬論かね?」
3. しゃべらせてクリ!・第287回「止めてクリるな!ぽっくんはひとり旅を行くぶぁい!の巻【前編】」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記




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第141回「カジノでなにが起きるのか?」

 今月20日、神奈川県横浜市議会は「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の誘致準備費用2億6000万円を盛り込んだ補正予算案を成立させた。カジノに反対する横浜市民は多く、パブリックコメントに寄せられたのも9割が反対意見だったというが、一切無視して2020年代開業へと突き進むようだ。

 挙手しているカジノ企業は、主に外資系だ。トランプ大統領のスポンサーでもある米カジノ最大手ラスベガス・サンズは、今年6月の段階では大阪湾・夢洲への進出計画を言及し、「東京と横浜はチャンスなし」などと言っていたが、8月になると一転。大阪への入札を見送って「東京と横浜に注力」と真逆の発表を行った。

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 参入を狙うライバル企業は多く、牽制球を投げたり、契約を有利に運ぶためのブラフにかけたりしているのかもしれないが、「東京と横浜は、住民理解と行政対応が整わない」と言ってみたり、「大阪はインフラ面が整わない」と言ってみたり、要求も甚だしい。
 おかげで各自治体は、すっかり舶来のカジノ屋にあやつられ、「なんとかカジノ様にお越しいただきてぇ!」とばかりに目の色変えて立ち回っているというありさまである。

■カジノ企業は最高権力者のスポンサー
 米サンズはトランプ大統領のスポンサーと書いたが、2018年10月11日の朝日新聞デジタルによれば、安倍首相は、2017年2月に訪米してトランプ大統領の別荘でキスアスしていた時に、どうやらサンズへの日本での事業許可を検討しろと要求されていたらしい。
 参入を狙って根回ししているのは外資系だけではない。
 日本でも、セガサミー、ユニバーサルエンターテインメントなど、海外でカジノを展開したり、カジノ向け決済サービスを牛耳っている企業が何社もある。特にパチンコ・パチスロ機メーカーでもあるセガサミーは熱心だ。
 日本でのカジノ解禁をにらんで、2017年に韓国の現地法人と組み、仁川国際空港の近くにカジノを開業。韓国は、日本の4分の1ほどの国土に17か所ものカジノが存在するという“カジノ先進国”でもある。ここに日本人スタッフを送り込み、ノウハウを蓄積しようというらしい。

 日本でのカジノ推進議論は1999年頃からはじまり、2012年の政権交代を経て2013年に突如沸騰、2013年12月に「IR推進法」が提出されてブイブイ風が吹きはじめ、2016年12月の臨時国会で成立。このさなか、絶妙のタイミングで、こんな出来事があった。
 2013年9月、ホテルオークラ東京で開催されたある披露宴である。
 新郎は経産省若手キャリア官僚の鈴木隼人氏、新婦はセガサミー・里見治会長の令嬢。この宴の席には、現職総理である安倍晋三を筆頭に、小泉純一郎、森喜朗など元首相が並び、菅義偉官房長官ほか閣僚が勢ぞろいしたという。
 セガサミー・里見氏は資産1113億円とされる大富豪で、安倍とは第一次政権時代から親しく、下野した際も「物心両面で面倒を見た」と言われる“超極太スポンサー”だ。安倍政権が、披露宴直後の通常国会会期末ギリギリにカジノ実施法案を成立させたのは、トランプ大統領へのキスのほか、日本のギャンブル王へのご祝儀でもあったのではないか? 

 ちなみに、新郎の鈴木隼人氏は、披露宴翌年の衆院選で自民党・東京ブロック比例代表で出馬して当選。名簿順位は25位だったが、その上の24人は小選挙区で立った候補者で、事実上の名簿1位、当確候補だった。

■カジノ施設は地場産業から消費を吸い上げる