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第123号 2015.3.3発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…「出会い系」サイトの詐欺的な手口に引っ掛かり、大金を散財してしまう高齢者が増えているそうだ。パソコンばかりやって「出会い系」に嵌ってしまう老人も、ネットで人と繋がろうとしているうちに「愛国デモ」に行き着いてしまった奴も、みんな同じである。寂しさに耐えられないのだ!!共同体が崩壊した今、誰にでもやってくる「孤独な老後」。備えはできているか?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!魅力的な中年俳優が出てこないのは何故?献金疑惑が噴出の安倍政権はどうなってる?浮気って悪いこと?日本の人口減少、楽観的に捉えてはいけない?AKBグループで新ユニットを作るとしたら、どんな顔ぶれが良い?カラダの整形はアリ?ナシ?…等々、よしりんの回答や如何に!?
※“集合痴”ウィキペディアの記事を徹底的に添削しちゃう大好評「よしりんウィキ直し!」。今回は「『皇族降下準則』に関する間違い」と題する項目をウィキ直し!男系絶対派が必死で無視し、隠そうとする不都合な事実!!さらに、彼らの「正体」が明白となった驚くべき記述内容とは!?「尊皇派」を騙る逆賊にだまされるな!


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第120回「出会い系サイトと愛国デモ」
2. しゃべらせてクリ!・第83回「怖賀リータの怖がりが怖いでしゅ!の巻〈後編〉」
3. よしりんウィキ直し!延長戦・第9回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版 ~“「皇族降下準則」に関する間違い”の間違い~」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第120回「出会い系サイトと愛国デモ」

 2月20日の朝日新聞に「『出会い系』狙われる高齢者」という記事が載っていた。
「出会い系」の有料メール交換サイトの詐欺的な手口に引っ掛かり、大金を散財してしまうお年寄りが増えているというのだ。

 まずは、記事に載っていた被害者のケースを紹介しよう。
 76歳、無職男性。元証券会社員。
 妻に先立たれ、3人の子供は独立し、東京都内で独り暮らし。
 日中はボランティアなどをやっているが、夜に1人になると時間をもてあまし、パソコンに向かう。
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 2011年秋、ネットで「車をプレゼントします」という表示をクリック、名前や連絡先を入力してメールを送る。
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 その翌日から「悩み相談に乗ってください」「会いたいです」などという知らない女性からのメールが大量に届き始める。
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 興味本位で、女性医師を名乗る相手に「お茶でも飲みませんか」と返信。
 女性の顔写真が届き、自己紹介を交わして会う約束をする。
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 指定した場所で待つが、現れない。
 メールを送ると「場所を間違えた。ごめんなさい」と返信。
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 メールは最初の数通は無料だったが、途中からポイントの購入が必要となる。1通あたり50ポイント(50円)。
 やりとりを続けたが結局、はぐらかされるだけに終わる。
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 他の女性とも似たようなやりとりを繰り返す。
 寂しさのあまりのめりこみ、気づくと朝までメールを送り続けていたことも。
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 3年間で9つの有料メール交換サイトに登録。
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 300万円あった貯金は底をつき、年金や火災保険も解約。
 借金を重ね、自宅の電気代やガス代さえ払えなくなる。
 たまたま帰省した娘が異常に気付き、ようやく事態が発覚。
 注ぎ込んだ金額は合計1000万円以上。

 ツッコミどころは満載だが、とにかく「出会い系」といっても実際には出会えやしないのだ。
 他にも「乳がんを患う」という「19歳の女性」とのメールでは、効く薬を調べて伝えたり、「強い意志をもちなさい」と励ましたりしているうち、「母親と一緒に自宅にお礼に行く」と言ってきたので、ケーキを3人分買って待ったが現れなかったという。
 それで無視すると、「見捨てないで」などと繰り返しメールが来て、つい返信してしまい、メール交換は1年以上続いたそうだ。
 もちろん、こんなのサクラに決まっている。送ってきた写真だって、木蘭さんの「H大好き40歳」のケースじゃないが、本人であるはずがない。そもそも、メールの相手が本当に女性だったのかさえ、わかったもんじゃない。
 それでも被害男性は、今もこう言っているんだとか。
「まさか自分がだまされるとは思わなかった。
 それでも、すべてがウソだったとは今でも信じたくない」

 こんな見え見えのペテンに引っ掛かってしまうほど、老人は寂しくてたまらないのである。
 独り暮らしの高齢者が寂しさを紛らわそうと、パソコンばかりやっているうちに出会い系にハマっている。
 それは、愛国デモに参加している年寄りも同じである。