第169号 2016.3.8発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…高市早苗総務相は放送法第4条に「政治的に公平であること」という項目があることを根拠に、放送局がこれに従わなかった場合、総務大臣の判断により電波停止の処分を下すことがありうると発言した。この法解釈は完全に間違っているし、放送法以前の問題として、憲法の「表現の自由」の意味が全く分かっていない!!ジャーナリズムにおける「公平・公正」とは何か?「言論の自由」を守る戦いに右も左もない!!
※「ザ・神様!」…海の神、山の神、谷の神、川の神、風の神、木の神、野の神、霧の神など次々とお生みになり、大自然と農耕の文明を創造していくイザナギ・イザナミ夫婦。ところが、仲良く愛と創造の営みを続けるご夫婦に、突然降りかかる不幸!!イザナギの恐ろしき狂乱が始まる…!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!明らかに児童を性の対象として見て、異常なスキンシップを強要してくる教師にはどう対応したら良い?岡田斗司夫に森永卓郎、個性まで減退するダイエットはアリ?なぜパワフルで破壊的な芸人がいなくなった?濱野智史氏プロデュースのアイドルグループ・PIPが事実上解散状態、どう思う?好きな季節の花は?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第164回「『言論の自由』を守る義務は権力にあるのだ」
2. しゃべらせてクリ!・第129回「日本の文化・行列整列ぶぁ~い!の巻〈前編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第76回「日本の神、インドの神。子殺し神話に隠されたメッセージ」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第164回「『言論の自由』を守る義務は権力にあるのだ」 2月29日、田原総一朗、鳥越俊太郎、青木理、岸井成格らジャーナリストが、高市早苗総務相の「電波停止示唆脅迫」に抗議する記者会見を行った。
わしはこの会見の趣旨に賛成する。
高市総務相は放送法第4条に「政治的に公平であること」という項目があることを根拠に、放送局がこれに従わなかった場合、総務大臣の判断により電波停止の処分を下すことがありうると言ったが、この法解釈は完全に間違っている。
そもそも放送法は、「放送をいかなる政党政府、いかなる団体・個人からも支配されない自由独立なものとしなければならない」という理由から定められたものである。
これは憲法21条の「一切の表現の自由は、これを保障する」の規定に基づいている。
高市早苗は放送法以前の問題として、憲法の「表現の自由」の意味が分かっていないのではないか?
「表現の自由」を守らねばならないのは権力の側である。
「電波停止命令」で民間の表現を規制するかもしれないぞと脅すというのは、「我々権力者は、憲法違反をするかもしれんぞ」と言っているに等しいのだ。
高市は憲法の意義を知らない政治家失格のバカか、そうでなければ、わざと曲解した法解釈を言い、憲法を踏みにじって言論統制をしようとしているか、あるいはテレビ報道の「委縮」効果を狙っているかのいずれかだが、「委縮」効果が一番の目的だろう。
自称保守派の論客の中には、「偏向報道が許されると言うのか」と言ってる馬鹿もいる。
わしも自虐史観全盛の時には散々「偏向報道批判」をした立場だが、民間人が民間人にそれを言うのは自由である。問題は権力が「偏向」だと判定するのがマズいのだ。憲法違反になる。
そもそも偏向か否かの判断は相対的なものだ。右から見れば左が「偏向」しているように見え、左から見れば右が「偏向」しているように見える。
例えば関口宏の「サンデーモーニング」は護憲派に「偏向」していると思うが、いまここまで徹底した政権批判をする番組は珍しいし、正しいことも言うのでわしは貴重だと思っている。
むしろ「新報道2001」の方が政権寄りに「偏向」しているので、メディアの意味がないと思って見なくなった。
誰が「偏向」しているか、どこが「偏向」しているかは、自由な批判の応酬で、論争の末に明らかにしていく他ない。そのためにも、自由に意見を表明する権利は守られなければならないのだ。
むしろアメリカならば、番組やキャスターが「民主党支持」や「共和党支持」を明らかにして、「偏向」するのが当たり前の報道をしているようだ。視聴者もそれが分かって見ているのだ。
読売新聞や産経新聞が明らかに自民党寄りで、朝日新聞・東京新聞が左翼寄りなのは誰でも知っているが、テレビ報道もそのように立場鮮明の「偏向」を特色とする番組があってもおかしくないのだ。
偏向か否か、公平か否かは、権力が判断することではない。総務大臣が「偏向」と判断したら電波を止められるなんていうのは言語道断である。
「公平・公正」といえば、例えばAとBの意見が対立していたら、Aの意見を5分流せば同様にBの意見も5分流さなければならないのだろうと思っている人も多いようだが、これは間違いである。
コメント
コメントを書く悲しいのは、「言論の自由」は右対左の政争の具にされているということです。一方は手段を選ばずに圧力をかけようとし、もう一方はそれを逆手にとって相手に負のイメージをつけようとする…。鳥越だって自分に都合のいい政権なら、同じことをしたって批判なぞしないでしょう。
言論の自由を軽視するのは言論人としては自殺行為ですよ。だったら言論人をやめろと言いたいです。
配信ありがとうございます。
総務大臣の判断により電波停止の処分を下す……、
これって実に恐ろしい発言なのだけど、
テレビや新聞は静かですね。異様なほど。
もうすでに萎縮してしまっているのは見え見えで、
現在進行形で恐ろしい事がまかり通っている。
事実は小説よりも奇なりといいます。
小説なら笑って済ませることが出来るのですが、
現実でやられると笑えないどころか、これから先のことを考えるとゾッとします。
このまま総務大臣が電波停止の処分を実際にやってしまうと、
次に来るのは検閲でしょうか。
恐ろしい世の中が目の前に広がりつつあります。
怖くて目を閉じたり見て見ぬふりをしてしまいそうですが、
閉じてしまうと権力側の暴走を許してしまう事になりますから、
しっかりと目を開けて監視しようと思います。
もくれんさんのブログはとても勉強になる。
更新も多いので嬉しい限りです。
ありがとうございます。
この先に出版されるSPECIAL本、
この一冊を読むだけで、とんでもなく利口になってしまうという、恐るべき作品とのことですが、
師範の本ってどれもそうじゃないかとふと思ったのですが。
この本は更に輪をかけてとんでもない本ってことで良いのかしら(笑)
今週もありがとうございました。
次号も宜しくお願いします。
愈々、国連女子差別撤廃委員会について書かれるんですね?
そうです。
今、物凄く危険なことになってます。
『現在進行形』なんです。
全ての元凶と言っても良いでしょう。
>>97
ヒステリックな反応という部分には、大いに賛同です。
ちょっと口汚く罵り過ぎですよね。
第一印象では、自分も「何よこれ!」と思った口なので、これは自戒も込めて(^^;)
子育てする主婦の評価が現在余りにも低過ぎると思うので、その点はよくわかります。
ただ、「子どもを2人育て、その後大学進学し就職」となると、かなりの期間が必要です。
その間の生活費、そして就職時の年齢等を考慮すると、実現不可能だなぁ……とも思います。
めっちゃ若くで生まないと、難しい!
別記事では、見出しが燃えやすく処理されています。
「子を産めない人は寄付を」「2人以上」発言の校長
http://www.asahi.com/articles/ASJ3D4SV1J3DPTIL008.html
発言の「キャリアを積むこと以上に」を、「キャリアを積むことと同様に」
とかにしておけば無難なんでしょうね。
細かいなぁ……
「女性にとって最も大切なことは、こどもを2人以上産むことです」の部分は意義ありで、
正直「ほっといてよ!」と言いたいです。
その上で、子育ての意義、価値に対して、現状余りにも評価が低過ぎるのは事実なので、
「校長先生、それちょっと違う。けどわかる」と言いたいです。
ゴー宣を読んで一番心に響いたのは「ポジショントーク」の部分です。
せっかくの良い意見も偏り過ぎた意見が見えると全く評価されない。
もしくは常にポジショントークをしているような人が真っ当なことを言っても「どうせあいつの意見だろ」というように評価されない。
安保法制反対のデモも最初は多少なりとも評価されていたとは思うのですが、途中から「9条守れ」とかの意見が入ってくると「所詮護憲派の戯言か」と見向きされなくなってしまったように。
(安保反対のデモは最初から護憲派の隠れ蓑だったようですが)
これは自分がなにかの意見を表明するときにも気を付けなければいけないと感じました。
常に意見的に中立に見えるようにするというのは難しいとは思いますが、人を納得させるには「ポジショントーク」的な意見はいけない。
肝に銘じます。
曾野綾子も、ああ言った文章を書きさえすれば賛同者がついて来ると思っているのでしょう。
誰も指摘をせずに、謗りも受けずに、突っ走っちゃってますね。
あの、南アフリカの件が分水嶺だったのかも知れないですね。
曾野綾子を正気に戻させる唯一の機会だったのに。
曾野綾子が取った選択は、開き直りでした。
ムラ社会で担がれて自分がどのようなことを言っているのかさえ分からなくなっているんでしょう。
憎き相手を倒すチャンスだと思い、みんな神輿を担ぐんですよね。
タモさんも、皇室芸人も元々怪しかったのかも知れないですが、ホシュ界隈に拾われてから担がれて、まあ舞い上がっちゃったんでしょう。
極論さえ言えば受けると思って、正気を失う例ですね。
よしりん先生のブログで気づきましたが、今日で『おぼっちゃまくん』30周年ですね。
なんだかんだで、Q&Aがまた送れない。
致し方ない。残念だけど。
また質問を練りましょう
諫議大夫さん元気そうで何より。
『「亡国の徒」曽野綾子の老化した感性』ブログ、
感服しました。安定感。説得力。かんろく、かんなな、かんぱちぎみです。
思想家として、プロフェッショナルな文章です。
号外に関係するので、情報リンクをば。
<参院予算委>「皇位継承男系男子」への国連批判に首相反発
2016年3月14日(月) - Yahoo!ニュース
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6194439
民進党かぁ・・・台湾みたい。
obottyamakunのおかげで、
いまこうやってよしりん先生は天下国家を語れる。
生まれてきてくれて有り難う。
おぼっちゃまくん30歳。
キッシュ。