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(号外 2016.3.19発行)

ゴーマニズム宣言
「スティグリッツ(ノーベル経済学賞)とショーンK(経歴詐称ホラッチョ)と小林よしのり(漫画家)の違い」

 ノーベル経済学賞のスティグリッツは、グローバリズムの中ではトリクルダウンはないと言っていた学者だ。
 十数年前にこの人の著作で学んだからこそ、わしは小泉政権時代から一貫して、構造改革、新自由主義路線を批判してきた。
 そのスティグリッツがアベノミクスを評価した時には大きな違和感を覚えた。
 異次元の金融緩和で株価が上がり、為替差益で大企業の収益が伸びるのを見て、誤魔化されたのだろう。

 わしは権威に誤魔化されないから、理論的におかしいと思えば、例えスティグリッツが評価したって、ブレることはない。
 グローバリズムの中でトリクルダウンはないのは絶対だから、一般庶民には全然関係のない経済政策がアベノミクスなのだ。

 そもそも小泉政権下で竹中平蔵が「供給不足」と言ってた時から、わしはそうではない、「需要不足」だという確信を持っていた。
 その原因は、
①耐久消費財の必要性が限界に達している、
②少子化・人口減で国内市場が縮小している、
③将来不安で個人消費が伸びない、
という3点である。

 スティグリッツは現在、安倍政権の「消費増税延期」のための権威づけで利用されているが、16日の首相官邸の会合では世界経済の低迷の理由を「需要不足」と分析したらしい。
 まさにそれが正しい。
 そして「財政出動で需要を創出するべき」とも言ったらしいが、問題は需要創出のための公共投資の内容だ。

 公共投資と言えば、道路や橋の建設ばかりではない。
 ましてや東北に海の見えない防潮堤を作ることなどは完全に無駄づかいだ。
 地震対策は必要だし、老朽化した道路や橋やトンネルの修復など、国土強靭化には反対しないが、むしろ人手不足の状態に陥っているし、公共投資と言えばどうしても無駄なハコモノにカネを使ってしまうのが虚しいのだ。

 これはスティグリッツも言っていたが、待機児童のための保育所の増設や、保育士の増員、奨学金の無償化だって、「将来不安を減らすための公共投資」になるのだ。
 さらに少子化対策になるから、将来の個人消費の増大、GDPの増加に繋がる。
 これはボトムアップ型の経済対策で、加藤紘一氏が言っていた「学校区」に予算をつけて共同体の再生を目指すのも、少子化対策になるだろう。