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『進撃の巨人』はロックだ! その自由を求める叫びを『エヴァ』や尾崎豊と比較し考察する。
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『進撃の巨人』はロックだ! その自由を求める叫びを『エヴァ』や尾崎豊と比較し考察する。

2020-11-20 05:26
     『進撃の巨人』を第一巻から読み返している。

     現在、連載では物語がクライマックスを迎えており、作中の謎も、いくつかを残してほぼ解明されている。したがって、現在の視点から読むと「なるほど、そういうことだったのか」と思わせられる描写も少なくない。じつに雄大な構想のもと構築された物語であることに、あらためて驚かされる。

     この作品の最大のテーマは「自由」である。物語は主人公たちが「壁」の内側の都市に閉じ込められ、自由を阻害されているところから始まり、しだいに「壁」の向こう側へ舞台が移っていく。

     しかし、「壁」を乗り越えた先にあるものも決してほんとうに自由な世界ではなく、またもうひとつの「壁」でしかない。どんなに自由を求めてもそこに「壁」がある限り、一定の不自由から逃れられない現実が克明に描かれる。

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     そもそも自由とは何なのか、人が自由であるとはどういうことなのか、物語が進むにつれ、その問題はシビアに、シリアスに問われつづけている。

     ぼくはこの作品を読んでいると、あの尾崎豊を思い出す。二十代で夭折したこの天才歌手は、その生涯をかけて「この支配からの卒業(『卒業』)」を目ざした。

     そこでいう「この支配」とは、単に目の前の権威的な大人たちだけを意味しているわけではなく、「欺瞞に満ちた社会のシステム」全体を指していたのであろう。

     その「欺瞞に満ちた社会システム」から逃れるためにこそ、かれは「盗んだバイクで走りだす(『15の夜』)」わけだが、たとえ一時、「自由になれた気がした」としても、じっさいには欺瞞から逃れ切ることはできない。

     そこには灰色の社会を生きる現代人の苦悩があり、だからこそ尾崎の歌はその死後も長く支持されているのだろう。どうしても自由になりたいという切ない叫び。だが、それは少なくとも現代社会で生きている限り叶わないのである。

     つまりはぼくたちはこの社会である程度の欺瞞を許容しながらそれと折り合いをつけて生きていくしかない。

     しかし、あくまでどこまでも真摯に、誠実に自由を求めるなら、その真摯さ、誠実さは社会と衝突せざるを得ない。それが尾崎豊が抱えていた問題軸であり、『進撃の巨人』でも詳細に描写されているものである。

     『進撃の巨人』は、最初は「欺瞞に満ちた社会(壁の内側)」から「新世界(壁の外側)」への脱出の物語というふうに見えた。しかし、「壁」の外側にもまた社会があることがあきらかになるにつれ、「新世界」という概念はある種の幻想であり、どこまで行っても「脱出」は叶わないように思えて来た。

     そこでは本来、人が持っているはずの「自由」は妨害されつづけているわけであり、生き物としての人間が備えている「生きる活力」は頽廃せざるを得ない。それはまさに尾崎が「この支配」と歌ったものである。

     生きるか死ぬかという「生の実感」から切り離された都市生活は、人から「生きる活力」を奪っていくのだが、その欺瞞的な社会から逃れることは原理的に出来ないというわけだ。

     そうだとすれば、しょせん自由とは不可能な幻想なのだろうか? これは、セカイ系の嚆矢であるとされる『新世紀エヴァンゲリオン』ともつながる問いだろう。

     『エヴァ』においては、究極的な自由は「母性的なもの」への没入として描かれていた。しかし、最終的に碇シンジはその自由で万能な世界を捨てて不自由な世俗世界に帰還する(直接に描写されてはいないが、アスカもまた同じようなプロセスを経て世界へ戻ったのだろう)。

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     劇場でこの場面を見たときはそれは感動したものだが、いまだにぼくにはシンジの現実帰還のモチベーションがよくわからない。ほんとうに人は万能感に満ちた胎内回帰世界を離れ「それでも不自由を背負って生きていく」ことを選べるものだろうか。

     そもそもシンジは、父であるゲンドウや上司であるミサトたちの傲慢かつ身勝手な要求に不満を持ちながらも、それでもなお「エヴァに乗りつづける」という道を選んだ「いい子」であった。

     しかし、 
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