弱いなら弱いままで。
『タイタニア』に、矛盾の作家・田中芳樹の真骨頂を見る。
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こんにちわ、海燕さん。
ますだじゅんと申します。
SFやアニメなどが好きな人間で、海燕さんのブログが「日刊海燕」だったころから拝読しております。
今回のタイタニア評も面白かったのですが、山本弘作品について異論があります。
山本弘作品には、「人間はだめだ、ロボットやミュータントに希望を託すしかない」という作品(アイの物語)もありますが、決してそれだけではありません。
海燕さんは「僕の光輝く世界」「BISビブリオバトル部」を読まれたことがないではありませんか? いずれも山本弘が「アイの物語」以降に書いた作品です。
「僕の光り輝く世界」は、頭に重傷を負って普通の人間とは違う世界が見えるようになった少年が、イジメや家族の悪意、殺人事件などの辛い出来事の中でもめげず、未来を信じて、(特別な世界が見える能力を活用し)がんばって生きていく物語です。青春ドラマとしてもミステリとしてもできがいいし、胸がすっとする読後感のある作品です。
「BISビブリオバトル部」は、元いじめられっ子で、SFが好きだけど理解者がいないせいで心を閉ざしていた少女が、ビブリオバトルという「本を紹介する競技」に出会い、ライバルや先輩に導かれ、好きな男の子もできて、過去を乗り越えて勇気を持って変わっていく物語です。
いずれも、人間に対する批判的視点はありますが、「でも人間はダメな部分を乗り越えることもできる」という希望に満ちています。
「僕の光り輝く世界」の主人公は、ある意味ミュータントかもしれませんが、「BIS」の主人公は、ただSFが好きなだけの平凡な少女で、それでも「希望を託しうる存在」として描かれている。
理想を持った人間が現実とのコンフリクトに苦しみ、それでも一歩一歩進んでいく様を肯定的に描く、という、まさにそういう描き方になっています。
山本弘が人間に絶望しているわけではない、という良い証拠です。
もし海燕さんが両作品を読んだ上で、それでも「山本弘は人間に絶望している」という結論ならば、仕方ないのですが、読まれていないのでしたら、ぜひおすすめします。山本弘のイメージが大きく変わることを保証します。
それでは失礼します。

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