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作家栗本薫のここがピークだ! 珠玉の傑作恋愛小説『猫目石』。
コメ0 弱いなら弱いままで。 48ヶ月前
『トワイライト・サーガ』の話をしたらこの作品についても語っておかなければならないだろうということで、今度は栗本薫の最高傑作のひとつ『猫目石』の話です。 これはねえ、初めて読んだときにはそれはそれは衝撃を受け感動したものですが、とにかく素晴らしい小説です。何しろいまから何十年もまえの作品なので、...
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栗本薫、初期ヒロイック・ファンタジーの凄み。
コメ0 弱いなら弱いままで。 48ヶ月前
何年か前にぼくは家にある本をすべて処分したのですが、そのとき残した小説本が三冊だけあって、そのなかの一冊が栗本薫の『トワイライト・サーガ(1) カローンの蜘蛛』でした。 これは、『グイン・サーガ』と同じ世界の、幾百年後、幾千年後とも知れない未来を描いたシリーズで、すでに惑星は頽廃の季(とき)を...
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「反社会、反道徳、反文学、反現実の反宇宙」を求めて。
コメ0 弱いなら弱いままで。 48ヶ月前
さて、昨日の記事の続き。そういうわけで、ぼくはどういうわけかGOTHICな作品が好きです。 GOTHICではない作品も好きなので、「ぼくが好きなものは即ちゴスなのだ」ということはできないけれど、怪奇趣味や猟奇嗜好や淫靡なエロティシズムの仄めきといったものには思わず感嘆のため息を吐いてしまうほうです。 この...
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シャカイ系と新世界系とはどこが決定的に違うのか?
コメ0 弱いなら弱いままで。 54ヶ月前
ども。ここしばらく更新が途絶えていて申し訳ありません。ここら辺でちょっと読みごたえのある記事を書いて今月を締めることにしたいと思います。 ぼくたち〈アズキアライアカデミア〉でいうところの「新世界系」のまとめと、「その先」の展望です。 新世界系の発端である『進撃の巨人』の連載開始から11年、『魔法...
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この狂った世界をどう描くべきか?
コメ0 弱いなら弱いままで。 65ヶ月前
夏コミで同人誌『栗本薫カレイドスコープ』を出すべく、色々と準備を重ねています。 この本はぼくの〈アズキアライアカデミア〉とは離れた個人同人誌の出版計画のいちばん最初のものになる予定なのですが、まあ、いい換えるなら「お試し」でもあります。 これがちゃんと100冊なり150冊も売れるようであれば「次」も...
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栗本薫作品の魅力とはつまりどこにあるのか?
コメ0 弱いなら弱いままで。 65ヶ月前
はいどーも、キズナアイ――じゃない、海燕です。先ほど、ペトロニウスさんと電話で話していたんですけれど、編集作業ちうの同人誌『栗本薫カレイドスコープ』の話題になりました。 この本、ペトロニウスさんにもご寄稿いただく予定なのですが、「それでは、栗本作品の魅力とは何か?」と話しあったとき、ぼくは「作中...
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夏コミで『栗本薫ハンドブック』を出す(つもりで頑張る予定だ)よ!
コメ0 弱いなら弱いままで。 66ヶ月前
先ほど、夏コミで何か気楽な薄い本を出したいなー、でもエッチなマンガとか描ける才能はないしどうしよう、ということでLINEに巣くっている妖怪のてれびんに話しかけてみたところ、「栗本薫のハンドブックとか作ったらいいんじゃね?」といわれたので、「それは奥の手じゃろ」と思いつつ、ちょっと作ってみることにし...
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『栗本薫と中島梓 世界最長の物語を書いた人』を読んでいるなう。
コメ0 弱いなら弱いままで。 66ヶ月前
まだ五月というのに、酷く暑くなって来ましたね。むき出しの肌に降りそそぐ陽ざしはすでに白刃の鋭さ、この後にやって来るはずの真夏のことがいまから思いやられます。 さて、ぼくはいま、里中高志『栗本薫と中島梓 世界最長の物語を書いた人』という本を読んでいます。その題名がまさに示しているように、作家・栗...
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『エヴァ』にカタルシスがないと感じる人へ。
コメ1 弱いなら弱いままで。 68ヶ月前
『アオアシ』が!面白すぎる。この作家さん、『水の森』の頃から追いかけていたんだけれど、いやー、良いですね。実に素晴らしい。弱い自分自身を乗り越えて成長していく者たちの物語。王道のスポーツ漫画です。 で、この「自分を乗り越える」という概念について最近、いろいろと考えています。まずは自分自身の弱さ...
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栗本薫、至純のダークファンタジー『トワイライト・サーガ』を紹介するよ。
コメ0 弱いなら弱いままで。 72ヶ月前
どもです。 ここ三日ほど、小説やビデオゲームに材を取って、少々、趣味に走った話を展開してきたわけですが、ひっきょう、ぼくは自由かつ奔放な想像力を十分に駆使し、究めて濃密な人工世界を築きあげてのけたような作品が好きなのだと思います。 ダークファンタジーとかサイバーパンクが好きだというのは、そのジ...
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たとえだれからも愛されなくても。
コメ0 弱いなら弱いままで。 83ヶ月前
栗本薫『翼あるもの』は、まだボーイズ・ラブとかJUNEといわれるジャンルが存在しなかった頃に書かれた作品です。 この作品は上下巻で同じ出来事を別の視点から描くという凝った構成になっているのですが、ぼくが取り上げたいのは主に下巻で描かれている森田透の物語です。 透は、上巻の主人公である今西良の、いわ...
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親に愛されなかった子供はどうすればいいのか?
コメ0 弱いなら弱いままで。 83ヶ月前
ラジオで山口じゅり陛下に教えられた「甥っ子が承認欲求のおばけになっていく」という記事を読んでみました。http://d.hatena.ne.jp/Yashio/20180106/1515256382 ひとことでいうと、自分の甥っ子が承認欲求を満たせないためにわがままな怪物のようになっていくのを見ることが心苦しい、というような内容です。 で、...
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C・A・スミスからG・R・R・マーティンまで。ダークファンタジーの黒い血脈。
コメ0 弱いなら弱いままで。 84ヶ月前
いまさらながら『ダークソウル3』が面白いです。やたら複雑な操作があるダークファンタジーアクションゲーム。暗鬱で陰惨な世界設定にダークファンタジー好きの血が騒ぎますね。 ダークファンタジーというジャンルは昔からあって、たとえばクラーク・アシュトン・スミスという作家がいます。 栗本薫の『グイン・サー...
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短編小説のラビリンスに迷い込んでみませんか。
コメ0 弱いなら弱いままで。 85ヶ月前
きょうは山本周五郎の記事が更新されているはずなので(予約更新なのです)、それに合わせて短編の話でもしたいと思います。 その記事で書いた通り、山本周五郎は短編の達人でした。で、日本でも海外でも、文学者として名を成した人はそのほとんどが名作短編を書いています。 SFやミステリといったエンターテインメ...
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「正義」の思想につばを吐く。
コメ1 弱いなら弱いままで。 98ヶ月前
Twitterで古い知りあいの唯野さん(なんと初めて逢ったのは20年近く前。何もかもみななつかしい……)に「海燕さんはオメガバースに興味もちそう」みたいなことをいわれたので、オメガバースについて調べてみました。 オメガバースとは、海外のBL(スラッシュフィクションと呼ばれる)業界でわりとメジャーなSF設定で、...
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『栗本薫夜話』刊行。
コメ0 弱いなら弱いままで。 98ヶ月前
電子書籍の宣伝ばかりで恐縮ですが、『栗本薫夜話その壱』、『栗本薫夜話その弐 『グイン・サーガ』紹介』を出版しました。 栗本薫関連の文章はこれでひと通りまとめられたかな、と思います。本格的な栗本薫論も書きたいところですけれど、まああそれはいずれまた、ということにしておこうかと。 これで電子書籍...
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ナルシシストの天才たちと日本一「スケベ」な男。
コメ2 弱いなら弱いままで。 99ヶ月前
まだしつこく恋愛工学のことを考えています。というか、恋愛工学に始まった思考をさらに進めている。 先日は恋愛工学とはナルシシズムの理論なのだ、というところまで書きました。ここでいうナルシシズムとは自分以外の「他者」を持たない自己完結した心理のことです。 それに対し、他人のなかに自分にコントロール...
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ノクターンノベルズのエロ小説が名作文学オマージュな件。
コメ0 弱いなら弱いままで。 104ヶ月前
「小説家になろう」というか「ノクターンノベルズ」で、長谷川蒼箔『下僕の俺が盲目の超わがままお嬢さまの性奴隷な件』を読んでいます。 http://novel18.syosetu.com/n7126cq/ 以前、ペトロニウスさんが栗本薫の『真夜中の天使』を例に挙げて絶賛してきた作品ですね。http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/201512...
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いちばん恥ずかしいところを晒せ! 真夜中のポエムをひとに読ませるべきたったひとつの理由。
コメ1 弱いなら弱いままで。 118ヶ月前
きょうは「羞恥心」について話をしたい。一般にひとが備えている恥ずかしいと感じる気持ちのことだ。一説によるとアダムとイヴが知恵の果実を齧った時に生まれたというが、国家も宗教も超えて存在する人間の最も人間らしい想いのひとつである。 たとえば洋服の下の裸を見られたとき、ひとは恥ずかしいと感じる。ある...
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ポップでキュートなアトモスフィア。『ローリング☆ガールズ』が楽しい!
コメ0 弱いなら弱いままで。 118ヶ月前
ども。最近、わりとアクティヴな海燕です。本も読んでいるし、映画も見ているし、ゲームもやっている。すべて、一般的な社会人にとっては「遊び」でしかないわけですが、ぼくにとっては「仕事」。どうも遊びでメシを食っているようで申し訳ない限りですね。 しかし、そうはいっても読書や映画にはお金がかかるわけで...
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『タイタニア』に、矛盾の作家・田中芳樹の真骨頂を見る。
コメ1 弱いなら弱いままで。 119ヶ月前
田中芳樹『タイタニア』最終巻を読了した。小学生の頃から読んでいる作品を、四半世紀もの時を越え読み上げたことになるわけで、さすがに感慨深い。 思えば25年前、当時流行していた『ファイナルファンタジー3』の主人公たちの名前を、タイタニアの四公爵から拝借した記憶がある。 アリアバート、ジュスラン、ザーリ...
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死して斃れるとしても、なお。
コメ0 弱いなら弱いままで。 120ヶ月前
ペトロニウスさんと話していると、時々、「海燕さんはひとの話を聞いてばかりいるのに、ひとに影響されないよね」といわれることがあります。 まあ、たしかにLDさんとかペトロニウスさんが火砕流のごとく喋るのを始終聞いているわけですが、ぼくはぼくのままで、特に変わらないですね。 いや、思想的に影響を受けた...
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『艦これ』は政治的に正しい!
コメ0 弱いなら弱いままで。 125ヶ月前
つい先ほど、「艦これは少女を命がけで戦わせる”美少女ポケモン”なのでヤバい」というTogetterを読みました。http://togetter.com/li/703275 んー、コメント欄で異論反論が百出していることからもわかる通り、「何か違うのでわ?」と思わせられる話なんだけれど、ぼくはそこまで熱心な『艦これ』ユーザーではないので...
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「ちゃんとしたオタク」と「キモチワルいオタク」の落差。
コメ2 弱いなら弱いままで。 129ヶ月前
まだ書き足りないので、先ほどの記事と同じテーマでもう一本書いてみます。少々異なる角度から語ることになりますが、同じことを云っているのだということが、わかるひとにはわかるはずです。 以前にも言及したことがあるかもしれませんが、栗本薫に「コギト」と題する短編があります。まったく有名な作品ではありま...
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赤児をたたき殺し、淫魔に身を委ねよ。悪魔の大祭に酔いしれるとき。
コメ0 弱いなら弱いままで。 131ヶ月前
何度目になるかわからないのですが、栗本薫の『トワイライト・サーガ』を読み返しています。これ、ぼくの最も好きな作品のひとつで、栗本さんがデビュー前に書いていたものですね。 昔、東京でひらかれた栗本薫展で、この小説の生原稿を目にしたときは感動ものでした。小さな紙に細かい文字でびっしりと書かれている...
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エロスだけではなく、タナトスだけでもなく。
コメ0 弱いなら弱いままで。 133ヶ月前
さて――あまり遊び呆けてばかりでいると、せっかく増えた会員がどんどん逃げて行くようなので(あたりまえだ)、いいかげんまじめな更新を再開しましょう。 北崎拓の『ますらお』が新作の発表を決定したとのことなので、それについても何か書きたいところなのですが、とりあえずはリハビリにいま読み返している小説の...
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モーニング・ワーク――ひとつの物語の死と、新たな物語の誕生に立ち会って。
コメ0 弱いなら弱いままで。 134ヶ月前
きょうもきょうとて『グイン・サーガ』の話ですよ。ごめんなさい、これで最後にします故。 さて、既に書いた通り、「最新刊」である第131巻『パロの暗黒』において、物語は書き手を変えました。それからしばらく経って、ぼくはいま思います。やっぱりぼくはこの巻が不満だったんだな、と。 不満、と云うと違うでしょ...
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なおも続く『グイン・サーガ』へ、愛を込めて。
コメ0 弱いなら弱いままで。 134ヶ月前
きょうは『グイン・サーガ』の「本編」、数年ぶりの新刊の発売日です。もちろん、栗本薫さんは既に泉下のひととなっているので、彼女に代わり、五代ゆうさんが執筆しています。 『グイン・サーガ』のいち愛読者として、この続刊には複雑な想いがあるのですが、まあ、余計なことを縷々書き綴るのはやめておきましょう...
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大長編小説は挫折する。(2165文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 137ヶ月前
先日、80年代から90年代のライトノベルの資料を探して本棚をあさっていたら、広井王子の『蜃気楼帝国』シリーズが出てきたりしました。 なんてなつかしい。これも歴史に名前をのこすところまでいけなかったライトノベルのひとつですね。この当時はまだライトノベルという言葉は一般的ではなくて、ヤングアダルト小説...
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名探偵伊集院大介。「魔法つかいのお婆さん」になりたかった男。(1882文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 141ヶ月前
作家栗本薫が生み出した名探偵に、伊集院大介がいる。国内にも海外にもたくさんの名探偵がいるなかで、ぼくが最も好きなキャラクターだといっていい。 かれが初めてぼくたちの前に姿を表したのは、栗本ミステリの最高傑作『絃の聖域』である。その頃の大介は大学を卒業したばかりの若い家庭教師だった。栗本は、さま...
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世界を地獄と見るか楽園と捉えるか。そのヴィジョンにより、ひとは変わる。(2441文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 141ヶ月前
あれ? おかしいな。URLの自動リンクが実装されたのかと思ったけれど、されていないみたいだぞ。でも、一部のURLは自動リンクされているし。どういうこと??? うーん、謎です。 まあいいや。さて、まあ、今日も頑張って更新していくつもりなのですが、おそらく送られてくる文章の量が膨大すぎて多くの読者さんが...
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シロウトは真似するべからず。文法すら無視する栗本薫の「華麗なる悪文」に賛嘆する。(2198文字)
コメ1 弱いなら弱いままで。 144ヶ月前
栗本薫さんの『真夜中の天使』を取り上げてそのとんでもない文体を味わっている記事です。いまさらネットでこの作品を取り上げるひとも少ないでしょうが、いやー、名作なんですよね。この作品を電子書籍で読めるようになったことはまことに慶賀すべきというべきでしょう。あとは『トワイライト・サーガ』と『終わりのな...
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人形と人形使いのゲーム。相田裕、栗本薫、永野護らが描こうとしているものは何なのか。(1734文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 144ヶ月前
相田裕『GUNSLINGER GIRL』と栗本薫の『真夜中の天使』、永野護『ファイブスター物語』という、一見何の関係もなさそうな作品について語った論考です。そこには「つくるもの」と「つくられるもの」、つまり創造者と被造物の関係の逆転というテーマがひそんでいるのだと語っています。いやー、しかし、『真夜中の天使』は...
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全153冊すべて200円! 栗本薫『グイン・サーガ』を電子書籍でそろえる。(1163文字)
コメ1 弱いなら弱いままで。 145ヶ月前
『グイン・サーガ』については、ぼくは膨大な言葉を抱えているのですが、いままでそれをはっきりとした形で表に出したことはありません。ブログに書いてしまうには、あまりに量的に多すぎるものになるからです。そうはいってもブログ以外にぼくに発表媒体はないので、いずれここで書いてしまいたいと思っていますが、い...