弱いなら弱いままで。
Amazonインスタント・ビデオで映画『happy しあわせを探すあなたへ』を見ました。
いまさらではありますが、すっかりレンタルビデオに頼らなくても自宅で動画を見れる時代になりましたね。便利、便利。
『happy』は「幸せ」について探求したドキュメンタリー映画です。
この作品のなかにはさまざまな「幸せのかたち」が登場し、「いったい幸せってなんだろう?」という根源的な疑問に答えてくれます。
このブログを継続的に読まれている方なら、ぼくが最近、幸せについて続けて本を読んでいっていることはご存知でしょう。
その理由は簡単で、自分自身が幸せになりたいから。
しかし、現実に幸せに生きることはそう容易ではありません。
ぼくはいま、幸せと不幸せの境界くらいのところにいて、どちらにも行ける状況にあると思います。
これから幸せのほうに行きたいのですが、そのためにはどうすればいいか? そのヒントをこの映画のなかに見いだしたいと思っていました。
この映画は同様の疑問を抱いたらしい映画監督によって企画され、数年の歳月をかけて撮影されました。
心理学や脳医学の世界的権威たちの協力を得、さまざまな国や立場の人々のなかに幸福を探っていきます。
映画はまずインドの貧しい車夫を描くところから始まります。
驚かされるのは、現代社会を生きるぼくたちから見るときわめて貧しいように見えるかれが、それでも「自分は幸せだ」と胸をはって答えていること。
いままでこのブログでは幾度もくり返し述べてきたことですが、どうやら幸せはその人の富とはあまり関係がないらしいのです。
じっさい、戦後日本は奇跡的とも思える経済成長を続けて来わけですが、日本人の生活満足度はほとんど変わっていないというデータもあるようです。
富と幸せのあいだには一定の相関関係こそありますが、イコールで結べるようなたしかな関係はないということ。
それでは、ひとの幸せはどこにあるのか? 答えはきわめてシンプルです。
映画を一見してみて感じたことは、「幸せとは人間関係である」ということです。
抜きん出て幸福度が高い人には、必ずといっていいほど親しい家族や友人がいる。
そういう人とともに暮らせることが人間の幸せなのです。
あたりまえといえばあたりまえのつまらない結論かもしれません。
しかし、幸福学やポジティブ心理学の結論はやはりここに行き着くらしい。
映画はアメリカや日本のたくさんの家族や仲間を描いて行きます。
そこから導き出されるのは、良好な人間関係をたくさん持っている人ほど幸せになりやすいという事実です。
それに対して、あまりに孤独だったり不都合な人間関係しか築けていない人はそうなりづらいばかりか、寿命さえ短くなるらしい。
映画のなかでは、先進国のなかで最も幸福度が低い国として日本が登場します。
ここは考えさせられるところです。
いったいぼくたち日本人に欠けているものはなんなのか?
真面目に懸命に生きてきたはずの日本人がなぜそれでも幸福になりきれないのか?
映画はあまりにも仕事をしすぎるからだと匂わせていますが、それはつまり仕事に専心するあまり身近な人間関係を犠牲にしているということではないでしょうか。
人間関係こそがひとの幸福度を大きく左右する。その事実を忘れないようにしたいと思います。
もちろん、ひとはいくらだれかと親しくなったところで最後はひとりですし、自ら望んで孤独を選んでいる人もいることでしょう。
そういう生き方が悪いとはいいませんし、先の記事で書いたように「孤独力」には価値があります。やたら群れればいいというものではない。
しかし、その一方でやはりひとはその一生を通じて安易な「つながり」に留まらない本物の人間関係を求めていく必要があるのです。
そういう関係を作り出せた人はまったき幸福をも手に入れることができます。モンスターからお姫さまを救い出した騎士のように。
ぼくが思い出すのは、ディケンズの『クリスマス・キャロル』です。
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2015/07/19(日) 02:28 オタクとリア充の境界線を超えていけ。平坂読『妹さえいればいい』が日常ものの新境地を切り拓く。