アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマはWWEのトップヒール、ケビン・オーエンズ……あの頃、クラブハウスでです

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そこに集まったみんなでルチャリブレのビデオテープを見ようとしたときだった。その中にひとりだけルチャを毛嫌いする男がいた。彼は激しく怒った。彼の目に映るルチャの受け身や空中殺法は、どれもデタラメな動きに思えるらしく、映像で見るのすら嫌だった。「もしまたルチャの映像を流そうとしたら、俺はもうここには来ないからな!」と、顔を真っ赤にして怒鳴り散らす彼の姿を見たみんなは、ムキになる彼がおかしくて笑ってしまった。リングの上でも同じだった。ヒール志向のある彼が、どんなに横柄な態度をとっても、観客たちからは、ブーイングがおこるどころか、いつも応援されてしまうのだった。


2004年から2007年、カナダのモントリオール近郊に通称“クラブハウス”と呼ばれ、夜な夜なIWS(International Wrestling Syndicate)に所属しているレスラーたちが集まり、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎが繰り広げられている憩いの場があった。

ここは当時、IWSに所属していたレスラー、ダミアンの家の裏庭に、彼の父親が、息子とその仲間たちのために建てた手作りの小屋だった。小屋の前にはプールがあり、暑い夜には飛び込んだ。寒い夜には小屋に持ち込んだ暖炉の前でみんなで寄り添い暖をとった。
ダミアンが集めたROHやCZW、IWAミッドサウスなどのアメリカンインディー団体のビデオやDVDのほか、ルチャリブレ、そして日本のプロレス団体の映像も多数揃っていて、鑑賞会をしながら、今後のストーリーラインについて語りあったり、ブッキングプランなどについて話しあったりしていた。
クラブハウスの常連は、ケビン・オーエンズ、サミ・ゼイン、セクシー・エディ、バイキング、女子レスラーのバネッサ・クレイヴァンや、他にも多数のレスラー達が入れ替わり立ち替わり現れ、モントリオール界隈のプロレス関係者で、この“クラブハウス”を知らない者はいないほどだった。先ほどのルチャ嫌いの男とは、ケビン・オーエンズのことである。
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