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――小佐野さんはサイバーフェスの中嶋勝彦vs遠藤哲哉の張り手事件はどう思われましたか? 中嶋選手の強烈な張り手を食らった遠藤選手が脳震盪から続行不可能になったわけですけど……。
――起きてはいけないアクシデントだったと。
小佐野 どうしてこれだけ大きな話題になったかというと、今大会に至るまでのノアとDDTのお互いのディスり合いがすごかったからだよ。
――だからファンも余計に火がついてしまった現状があるわけですね。
小佐野 余計に騒ぎになったんだと思う。サイバーファイトグループの4団体(DDT、ノア、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレス)が集結して、提供試合や対抗戦があったんだけど。とても同じグループとは思えないディスり合いをしてた挙げ句の張り手だった。大会前の記者会見でも勝彦の張り手で小峠(篤司)が脳震盪を起こして、腰から崩れ落ちたりなんかして。それを見ていた秋山(準)が「あれはダメだろ」とツイートしてたから、なおさらだよね。
――よくできた流れだったわけですよね。
小佐野 ダークマッチのDDT提供試合で、平田一喜の張り手でマッスル坂井が腰から崩れるシーンもあったりしたから。
――「張り手」がひとつのキーワードだったけど、選手や主催者の思惑を超えて転がりはじめたところはありますね。
小佐野 正直、「見た人がどう感じたのか」でいいんですよ。「アクシデントだ」と思ってもいいし、「こういう展開を見せるのか」でもいいし、「これは許せない!」と怒ってもいいし、「DDTは弱いな」でもいいし……いろんな見方あると思うけど、見た人がどう解釈するかだから。
――自由に受け止めるのがプロレスってことですね。
小佐野 目の前で起きたことをどう捉えてどう語るのかっていうのもプロレスの醍醐味。
――問題として捉えてもいいけど、「こんなのはプロレスじゃない!」と否定するとプロレスの存在が問われかねないですね。
小佐野 それはあるよ。たとえば前田日明が長州力の背後から顔面を蹴ったのと一緒で。前田の行為が「プロレス道にもとる」みたいな話になっちゃったけど、「プロレスって反則以外は何してもいいんじゃないの?」と。
――あの前田さんの行為を「プロレス道にもとる」と批判した猪木さんのコメントに興ざめした印象があるんですが……。
小佐野 マスコミや記者によっては捉え方は違うと思ったけど、私もすっごい違和感を覚えた。「じゃあ、プロレスはうしろから蹴っちゃいけないんですか?」って話になるから。結局、故意にやったか・やらないかなんて本人にしかわからないし、当時の私は全日本プロレスの担当。天龍革命の最中で、天龍さんが輪島さんの顔面をボッコボコに蹴って、輪島さんの顔に靴紐の跡がつくような激しいプロレスを見ていたから。猪木さんの発言には違和感はあったのが正直なところ。ただ、これは遠藤が大事に至らなかったから、こう言えるのであって。あまり例には出したくはないけど、大谷晋二郎のようなことになってしまったら……大問題になってるよね。
小佐野 今回の件は技術的なミスだと思う。
小佐野 そう、打ったほうのミス。だって相手をKOするために張り手合戦をやるわけではない。要は互いの心意気というか、意地をぶつけ合うための張り手合戦。チョップの応酬もそうでしょ。
小佐野 一撃必殺だったら相手はディフェンスする。でも、そうじゃないから。チョップや張り手合戦で防御したら「こいつ逃げた」って印象になるしね。中嶋勝彦がこれでKOしてやろうと思ってやったとしたら、それはレスラーとしてどうかなと思うけど、どう見ても違うでしょう。
――倒れた遠藤選手を片足で踏みつけるようにフォールにいったのは、状況判断も兼ねてですよね。様子を見ていた。
小佐野 あのまま足を乗っけてればフォール勝ちだったけど、勝彦はあえてカウント2で外してるわけだから。勝彦は遠藤が起きあがってくることを想定していたし、やっぱり試合を成立させたいっていうのは当然あるだろうからさ。
――つまり張り手でKOするつもりはなかったわけですよね。
小佐野 だからそこは勝彦のミスなんだと思うし。
――遠藤が気を抜いていたってわけでもない。
小佐野 それはないと思う。脳震盪に打たれ弱いとか関係ないよ。
――猪木さんや長州さんがロープブレークでも油断はするな、クリーンブレイクはないんだって姿勢ですけど。それとはまた違いますよね。
小佐野 それとは違うもの。だって、あれはお互いに打ち合おうっていうもので、隙きあらば倒してやろうってものじゃないんだから。
――この騒動に火がついたのは、リング上で秋山さんが中嶋選手に詰め寄ったり、コメントブースで「プロレスをちゃんとやろうぜ」と批判したこともあります。
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