岩崎書店という出版社があるが、このたび、その社長を務めることになった。今日はそのことについて書いてみたい。

ぼくは、物心ついたときから岩崎書店というのを知っていた。それはぼくの父の父、つまり祖父が創業した会社だからだ。当時は祖父も存命だったので、その会社を経営していた。
しかし、その会社の社長になるというのは考えたことがなかった。それは、父が岩崎書店とは全く関係ない仕事をしていたので、ぼくも無関係だと思っていたからだ。

その後、いくつかの紆余曲折はあったものの、岩崎書店は父の弟である叔父が継いだ。それでも、ぼくと岩崎書店とは何の関係もなかった。ぼくは、若い頃は小説家になりたくて散々苦労したけれども、縁故を頼って岩崎書店から本を出そうとは思わなかった。それは、児童書の出版社であるからということや、縁故を頼るのが嫌だという気持ちもあったが、やっぱり全く関係ないと思っていたからだ。

しかしながら