「チャラになる」という言葉がある。「プラスマイナスゼロ」という意味だが、なかなかに奥深い。

この世界には、何か「バランス」を司る大きな力があって、その影響によって、生じた変化は必ず収束していくのだ。必ず均衡状態に戻っていく。プラスマイナスゼロに限りなく近づく。全てはチャラになるのだ。

このことは、おそらくぼくが言うまでもなく、多くの人が実感しているのではないだろうか。どれだけ大きな変化が起こっても、時の流れと共に、なんとなくあるべき場所に収束していく。それこそ津波が起こっても、やがてエネルギーは拡散していき、波はまたもとの穏やかな状態に戻る。全てはチャラになっていくのである。

面白いことに人間は、この「全てはチャラになる」という法則を知ってはいるのだが、しかしなぜか忘れる。普通に生活しているときは、むしろなぜか「チャラにはならない」と思っている。均衡は失われ、全ては取り返しがつかないと思い