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第314回 どうしても心残りなウラガワ(2)
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第314回 どうしても心残りなウラガワ(2)

2022-03-31 20:00

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~

    ◆もくじ◆

    ・どうしても心残りなウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     『遊星王子』「日テレプラス」で連ドラ放送予定
     5月公開の映画『死刑にいたる病』に出演
     「夕やけ大衆」で「四畳半ホラー劇場」を連載中
     『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より発売中

     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    自分には関係ないはずなのに、奇妙に引っかかっているものごとを考える春。
    前回、焼身自殺をした独り暮らしの独身女性のことを綴ったが、もう一人心に残っているのが、やはり同世代で亡くなった女性。
    こちらのケースは、遺体が発見されたのが死後三カ月ほど経ってからだった。
    そして行旅死亡人のデータベースを見ると、身元のわからない遺体がざくざく発見されているのだ。

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~20年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ
    2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ
    3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ
    4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ
    5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ
    6月「ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ
    7月「ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ
    8月「夏といえばの怖い話・奇妙な話のウラガワ
    9月「歳を取れば大人になれるわけではないウラガワ
    10月「この歳になって初めて知ることもあるウラガワ
    11月「「どこで逸れたんだろう」と考えてしまうウラガワ
    12月「人生そのものがお楽しみ会のウラガワ
    2022年1月「まだ楽観視できない未来を思うウラガワ
    2月「記憶が混乱するアレコレのウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     春って希望の季節、何かが始まるときめきの予感、みたいなものに満たされている日々ではあるが。昨今は新型肺炎のせいもあり、未来への明るい予感より、不安の方が沸き上がってきたりもする。

     その未来への不安は、過去の心残りみたいなものまで引き出す。春にも自分にも関係ないのに、奇妙に引っかかっているものがいろいろある春。それを、今月は書いている。

                        ※

     前回、私とは面識もなく何の関わりもない陶子の壮絶な自死について書いた。今回ここに書く静香も、まったく会ったこともないし、共通の知り合いも地縁も皆無の女性だ。

     あえて共通点を見つければ、私も含め三人は同い年ではないが数歳の違いで、同世代といってもいい。彼女らは二十代で亡くなり、私だけ還暦も近いほど生きてしまったが。

     そしてみんな新入学や新卒、結婚といった新たな希望に満ちたものではない、といって深刻な事情による家出や夜逃げでもない上京をしている。
     野心みたいなものがあるのに、地元で燻っていた。ちょっと故郷に居づらくなり、なんとか都会で巻き返してみよう、と一応は前向きに出てきた、みたいな。

     さて陶子は大人しい真面目な人、死ぬほどの理由が見当たらない、という評判を保ったまま、謎の、といっていい、それにしては壮絶すぎる焼身自殺を遂げてしまった。

     実は静香は、陶子より一年ほど前に亡くなっているのだが、その死が発覚、遺体が発見されたのは、実に三カ月ほどが経ってからだった。

     陶子の激烈な死の情景と比べれば、そんなはずはないのに静香はとても静かにひっそり亡くなった、と感じられてしまう。静香は千代田区のど真ん中といっていい、オフィス街にある高層ビルの屋上から飛び降りた。

     
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