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むしマガ Vol.387号 2017/5/31【努力と才能。能力を決めるのは、圧倒的に努力の方だった】
2017-05-31 18:23220ptこんばんは。5月最後のむしマガをお送りします。発行が後半に偏ってしまいましたが、今月の予定発行回数をクリアしました。遅くなってしまいましたが、今号も読んでいただければこれ幸いにございます。・思い込みの力 先日、ジュンク堂池袋本店で行われたバッタ博士の出版記念講演会に遊びに行きました。
バッタ博士と
満員の熱気に包まれていた会場ですが、キャパシティーの関係で観覧者数は数十人。それでも手を抜かないのがバッタ博士です。一瞬のネタのためだけに、わざわざ衣装を買い揃えておくなど、完全にコスト度外視のプレゼン。あれ、どこで買ってくるんだろう。ネタの仕込み方の度合いが、以前にも増してパワーアップしていました。自分も見習わないとな、と思いつつ、これは見習えないな、と。 今回の『バッタを倒しにアフリカへ』を読んでいて改めて感じるのが、バッタ博士の執念の強さ。あそこまで逆境の中で、執念を燃やし続けられるのは本当にわずかな人だけでしょう。 海外に留学に行くポスドクのうちのほとんどは、30歳前後で初めて海外生活を経験します。僕も30歳になって初めて、海外、アメリカの暮らしを始めました。最初は、カフェで注文した「サンドウィッチ」の発音すら理解してもらえなかったり、その他のさまざまな文化や生活習慣の違いから、だいぶストレスを感じて苦労しました。初めての孤独感も味わいました。このあたりは、『クマムシ研究日誌』にも書いた通りです。
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むしマガ Vol.386号 2017/5/29【クマムシ研究者を目指す場合の大学えらび】
2017-05-29 18:11220ptこんばんは。予告通り、2日続けての配信です。本当に毎日良い天気。・混雑は人から優しさを奪う この前、1年以上ぶりくらいに、午前8時頃のラッシュ時に小田急線に乗ったんですね。もうびっくりです。拷問ですよあれは。 バラエティー番組なんかで、お笑い芸人が罰ゲームを受ける企画なんかがありますが、東京都心方面への通勤電車内の環境は、あれよりも過酷な気がするな、なんて思ったり。 ちょっと前に、満員電車にベビーカーを持ち込むことへの是非が議論になりましたが、ベビーカーどころか小学生が通学に使うことだって危険きわまりないレベルです。 いや、別にどこかのブログみたいに「まだ東京で消耗しているの?」なんて言いたい訳ではありません。 あれだけ狭い空間に身動きが取れなくなるほど人間が押し込められれば、ガンジーでも理性と平常心を保つのは難しくなります。この日、僕が満員電車の中にいた時間は20分間ほどでしたが、その間にも車内の2箇所で喧嘩がありました。 -
むしマガ Vol.385号 2017/5/28【クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(後編)】
2017-05-28 18:01220ptこんばんは、すっかり初夏の陽気が漂う今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。日も高いし、今が一年のうちで最も過ごしやすい時期ですね。 先日、むしマガでもおなじみバッタ博士こと前のウルド浩太郎博士の新著『バッタを倒しにアフリカへ』が出版されました。友人だから言うわけでは無く、本当に面白いです。まだ読んでいない方は、とりあえず僕とブルマー小松がHONZに書いたレビューを読んでみてください。クマムシ博士のレビューブルマー小松のレビュー このメルマガの読者の中で、これを読んでもピンとこない・・・という人は、まずいないでしょう。ええ。 個人的には、ああ、負けていられないな、と思いました。バッタ博士に負けないくらい、狂って生きたい。そんな気持ちにさせてくれただけでも、バッタ博士には感謝です。 HONZのレビューでは書ききれなかったことなどもあるので、本のネタバレにならない程度に、機会があればちょっとここで書くかも。 それでは、今回も前回に続き、今回もクマムシ研究クラウドファンディングについての記録と考察を書きました。★むしコラム「クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(後編)」 成功に終わったクマムシ研究クラウドファンディング。ただ、実際に経験してみて、もっとこうすべきだった、という点もあった。ちょうど昨日はacademistの柴藤さんとも話し合いを持ったので、これらを踏まえて、効果的なクラウドファンディング活動をおくために心がけておくことを書いていく。・クラウドファンディング開始前の準備 ファンディング期間中の広報コンテンツは、クラウドファンディングの成功を左右する。この広報コンテンツというのは、ブログ記事だったり、SNSでのつぶやきだったり、何かしらのイベントだったりする。 広報と言っても、別に「支援お願いします!」といったような呼びかけのことではない。むしろこういうお願いをやりすぎると、逆効果である。ブログ記事やSNS投稿であれば、自分の研究内容や、それと関連する研究分野の知見の紹介や解説をするのがよい。イベントであれば、誰かとのトークイベントなどがよいだろう。 ブログ記事などは、1週間に1つくらいの頻度で投稿するとなると、クラウド期間中で合計10記事ほどが必要になる。これだけ記事を投下すれば、1本か2本の記事が拡散して多くの人に読まれるだろうし、クラウドファンディングの支援も集まりやすくなる。 ただ、 -
むしマガ Vol.384号 2017/5/23【クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(前編)】
2017-05-23 17:54220ptこんばんは。だいぶ間が空いてしまいました。月末に向けて出すべきメルマガを耳をそろえてお送りいたします。・クマムシ研究クラウドファンディング終了 3月から行ってきたクマムシ研究クラウドファンディングが無事に終了しました。最終結果として、317人の支援者から総額3,555,840円の支援をいただきました。最強生物クマムシの耐性の謎をゲノム編集で解明する!: academist むしマガの読者の方からも多くのご支援をいただきまして、この場にて厚く御礼申し上げます。 開始当初は200万円という大きすぎる目標を掲げたおかげで不安も大きく、だいぶ胃が痛くなる思いをしたのですが、終わってみれば目標額を大きく上回る350万円以上のサポートをいただくことができました。 この結果だけを見ると大成功で、まあ実際に大成功なのですが、終了した今から振り返ってみると反省点や「もっとこうすべきだった」と思う点も多いものです。 そこで今号と次号では、クマムシ博士が初めて挑戦したクラウドファンディングの報告と総括を兼ねて、クラウドファンディングの実情や効果的な取り組み方について書いていきます。 クラウドファンディング挑戦に興味のある研究者やその他すべての人に役立つよう心がけた内容になりますが、そうでない人にとってもインターネットでの個人のエンパワーメントの最前線を知れる内容なので、読んでもらえれば幸いです。★むしコラム「クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(前編)」 アカデミアの研究に必要な資金をまかなうためには、政府や財団の研究費を獲得するのが通例だ。そんな中で、クラウドファンディングで研究費を募る研究者も徐々に出始めている。 日本では研究特化型クラウドファンディングサイト「academist」が2014年に始動した。また、近畿大学、徳島大学、筑波大学も、独自に、あるいは民間との共同でクラウドファンディングサイトを運営しており、アカデミアにおける研究費獲得の選択肢は広がりつつある。 年々、クラウドファンディングに挑戦する研究者は増えている。だが、それでもクラウドファンディングに挑戦した経験のあるアカデミア研究者の割合は、全研究者のうち0.1パーセントにも満たないのではないだろうか。今回は、そんなマイノリティーである経験者側から見たクラウドファンディングの実情について考察していく。・クラウドファンディングを必要とするのはどんな研究か クラウドファンディングを必要とする研究や研究者はどのようなタイプのものだろうか。「研究資金がもらえるなら皆やったらよいのでは」と思われるかもしれないが、必ずしもそうではない。 現在、クラウドファンディングで集められる研究費の範囲は概ね数十万円から500万円ほどであり、100万円を集められれば上出来とされる。しかも、ここからクラウドファンディング運営会社への手数料、リターンの制作費や配送費、そして所得税などが引かれるため、実際に使用できる研究費は、集まった総額の60パーセントほどになる。研究費としては、決して大きな額ではない。 このレベルの研究費をクラウドファンディングで集めるために、研究者は研究計画を書いたり、リターンを用意したり、SNSで情報をこまめに発信したりと、それなりの労力をかける。それに比べて、科研費など既存の研究費であれば、やはり手間はかかるものの、当たれば数百万円から一千万円以上と、割と大きな額をもらえる。 つまり、既存の研究費を獲得できるだけの研究テーマや、安定して予算を獲得できるような業績をもつ研究者であれば、手間をかけて少額のクラウドファンディングに挑戦するメリットは、あまりない。逆にいえば、研究テーマが挑戦的だったり、まだ十分な業績のない研究者などは、クラウドファンディングを活用するだけのメリットは十分にあると言える。 研究分野による有利不利もある。天文学や昆虫学など、そもそも一般人にファンが多い研究分野はクラウドファンディングと相性が良い。これらの分野の研究者はクラウドファンディングを考えても良いだろう。 クラウドファンディングのメリットのひとつとしては、目標金額を達成しやすいことが挙げられる。科研費などは採択率が20パーセントほどだったりするが、academistでは挑戦したプロジェクトの80パーセントほどが目標支援額の獲得を達成している。一生懸命に研究計画書を書いても1円ももらえない可能性の高い科研費に比べれば、クラウドファンディングは確実性の高い選択肢というわけだ。 ただし、気をつけなければいけないのは、
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