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むしマガ Vol.56【フロリダタクシードライバー・チョップ】
2012-08-31 14:48220ptこんばんは。フランスに帰ってきてから激しい時差ボケに悩まされています。そしてただいまのパリの気温は14度。冬がやって来たかのような気候です。・クマムシさんてぬぐい お待たせいたしました。予告通り、むしマガ読者限定にクマムシさんてぬぐいの先行販売を開始します。 価格はむしマガ読者特別価格1000円+送料350円(レターパックライト)です。誠に買ってながらお一人様につき1枚限定とさせていただきます。 購入希望の方は、お名前・住所・電話番号をhorikawadd@gmail.comまでメールにてお送りください。その後、振込先の銀行口座をお知らせいたします。 皆様からのご注文をお待ちしております。★クマムシ研究日誌「フロリダタクシードライバー・チョップ」 国際クマムシシンポジウムが終わった後、フロリダを一人旅に出かけた。シンポジウムが行われたタンパからディズニーランドのあるオーランド、そしてNASAケネディ宇宙センター、マイアミの先にあるエバーグレース国立公園とキーウェストと訪れる予定にしていたのだ。ここでは、特に想い出深かかったオーランドからマイアミに向かうまでの物語をお話ししたい。 NASAケネディ宇宙センターは、この旅で最も訪れたかった場所だった。それはもちろん、ここが何度も人類を宇宙に送り出している宇宙への窓口であり、輝かしい科学の象徴の場でもあるからだが、僕が大好きなジョジョの奇妙な冒険の舞台にもなっていたことも大きかった。 NASAケネディ宇宙センターに行く手段はレンタカー、タクシーかバスを使うしか無い。車の免許証は無かったので、バスを使うことにした。バスは前もって予約しておく必要があったので電話で予約しておいた。 ところが当日の朝、ホテルの前でバスを待っても一向に来る気配がない。20分過ぎても来なかったのでバス会社に問い合わせると、バスが故障したからキャンセルするとのこと。いやはや。こちらが泊まっているホテルにも連絡せずにキャンセルとは。 しかしNASAケネディ宇宙センターにはどうしても行きたかった。日程的に、NASAに行くのはこの日しか無かった。この機会を逃すと、もう一生行かないかも知れない。そんな気がした。 そこで街中に出て1台のタクシーを捕まえた。運転手は巨漢の黒人で、名をチョップと言った。体重は優に130キロを超えているだろうか。 NASAまでの値段を聞くと、100ドルという。高すぎると思い値切るが応じてくれない。すると、NASAの後はどこまで行くのか、と聞いてきた。すかさずマイアミのエバーグレース国立公園までと言うと、一日チャーターしてそこまで行ってやるから300ドルでどうだ、とタクシードライバー・チョップ。 それでも高い気がしたが、オーランドからNASAを経由してエバーグレースまで行くと500キロくらいになる。そんなに高くもないかもしれない。便利で時間も節約できると考え、思い切ってタクシーをチャーターすることにした。 これが、これまでの人生で最も長い一日を作り出した決断となった。 -
むしマガ Vol.55【既得権益と日本人】
2012-08-27 14:46220pt★むしコラム「既得権益と日本人」 フランスにもアメリカにも、数多くの移民が暮らしています。多数の異なる人種が混在しているー日本に住んでいるとあまりにかけはなれた世界がそこにはあります。 2ヶ月ほど前、パリのチャイナタウンに行った時のことです。50歳前後くらいのアラブ系の女性が、警察官によって地面に押さえつけられていました。女性は聞き慣れない言葉で叫び、泣いていました。どうやら、不法滞在で捕まったようでした。 警官たちはひとつも表情を変えることなく、女性の両手を背中側に回して手錠をかけ足にも錠をかけました。そして、担架に乗せて護送車の中に押し込みました。警官たちのその一連の動作は、まるで荷物を仕分けている運送業のお兄さんたちのように事務的でした。 このように、世界にはリスクを冒してまで他の国に移動する人たちがたくさんいます。不法滞在で捕まったり、ホームレスになる可能性が高いのに、それでも自分の国に絶望して祖国を捨てた人たちです。それとは対照的に、私たち日本人は、ここまでして自分の国を脱出する人はいません。それは、日本という国の豊かさを物語っています。 それに加え、日本人に与えられた日本国発行のパスポートを持っていれば、世界中の国に行くことが可能です。このような権利を与えられた国民は、アジアでも日本くらいのものです。 つまり、日本人は、日本人として生まれた時からこのような特権をもっており、言い方を変えれば既得権益層の人間なのです。 私も外国に住み始め、様々な国の人々と出会い、自分がたまたま日本人であるが故に受けている恩恵に気付きました。もしもずっと日本にいたら、このようなこと、つまり自分が既得権益層側の人間ということに気付かなかったかもしれません。 実際、大半の既得権益層というのは、自らが既得権益層の中にいるという自覚がありません。 -
むしマガ Vol.54【国際クマムシシンポジウム2003】
2012-08-26 14:38220pt・大阪 今、この原稿を大阪に向かう新幹線の中で書いています。大阪ではクマムシさんのイラストを描いていただいている阪本かもさんと、クマムシさんのぬいぐるみを作っていただいている薄毛ぬいぐるみファクトリーさんにお会いして今後のことを色々とお話しさせていただく予定です。・クマムシさんプレミアムぬいぐるみ 先日行ったクマムシさんプレミアムぬいぐるみの抽選販売、予想をはるかに上回る数の応募がありました。本当は皆様全員にお届けしたかった。これが私とぬいぐるみ作者の薄毛さんの思いです。 むしマガを購読していただいている方々からも応募がありましたが、中には当選しなかった方も出てしまいました。本当に本当に申し訳ありません。この埋め合わせは必ず何かの形で、例えば、むしマガ読者限定グッズの販売などの形でさせていただきたいと思っています。・むしマガ読者限定グッズ先行販売 ということで、今決めました。むしマガ読者限定に、クマムシさん手ぬぐいの先行販売を来週実施します。詳細は次週のむしマガで。ぜひお楽しみに!★クマムシ研究日誌「国際クマムシシンポジウム2003」<前回までのあらすじ> 国際クマムシシンポジウムに発表のために作成したポスターを成田空港で盗まれ、意気消沈の堀川青年。発表資料がないままシンポジウム会場に到着したが・・・<本編> 真っ青な空、眩しい砂浜、そして繰り返し流れる陽気なアメリカンミュージック。 そんなリゾート地特有の浮かれた空気の中、発表資料を無くして憂鬱気分の自分。何とかしてこの嫌なコントラストを消すために、行動を起こした。 まず、発表資料作成を手伝ってくれた先輩の所さんに国際電話で資料を無くしたことを報告。ばかーっ!と言われる。そりゃそうだ。 しかし不幸中の幸い、所さんはパソコンの中に僕の発表資料のデータを保存していた。そのデータをメールで送ってもらい、それをシンポジウムオーガナイザーの協力を得て会場でプリントアウトし、なんとか作成することができた。 学会発表用のポスターは通常、1枚刷りのきれいなものが多い。しかし僕の場合はA4サイズのものを壁にペタペタと貼った、あまり見栄えしないものであった。とはいえ、生まれて初めての学会発表をすることができた。 -
むしマガ Vol.53【日本人の海外サバイバル術】
2012-08-24 14:31220pt・日本 研究以外の色々な用事があって、火曜日から日本に帰ってきています。先週はパリも暑かったのですが、やはり東京の暑さは比べ物にならないですね。電車の中で通勤通学の方々を見るたびに、お疲れさまと言いたくなります。実際に言ってみたらどんな反応するんだろう。★むしコラム【日本人の海外サバイバル術】・ルーマニアで女子大生が殺害される ルーマニアにインターンをしに行った20歳の女子大学生が現地の男に殺害されるという、何とも痛ましい事件が起きました。ブカレストの空港に深夜に到着し、この男性に声をかけられて車に乗ったようです。犯行現場が空港から車で5分ほどの場所であったことから、この容疑者は最初から犯行目的で大学生に近づいたものと思われます。 この大学生がブカレストの空港に到着したのは深夜で、迎えの手配もなかったようです。このような旅程を組んだインターン仲介団体に非があるのではないかとも言われていますが、詳細は今のところ不明です。いずれにしても、トラブルを誘発するような危険な要素がいくつも揃っていたことになります。・日本人の特徴 これに関連して、僕が海外生活をしている中で感じたことをお話ししたいと思います。 日本というのは例外的に安全な国で、僕も帰ってくるたびに精神的にも肉体的にも弛緩してしまいます。逆に言えば、フランスでは知らず知らずのうちにどこか構えながら生活しているということです。路上を歩いていても電車の中で座っていても、どこか注意を払っていないと財布を盗まれたりする可能性があるからです。 僕はなぜだか人の分類能力に長けているところがあり、ある人を見てその人が何人なのかを割と高い確率で当てることができます。同じ東洋人でも日本人、中国人、韓国人、台湾人の区別も大体できます。日本人旅行者の場合は、目視して1秒もかからずに見抜けます。なぜなら、ほぼ全ての日本人旅行者が「狙われやすいオーラ」を発しているからです。無防備で無害なオーラとでもいうか、歩き方とか表情とかが「弱そうな人間」に見えてしまうんです。 これはきちんと定量的に説明することが難しいのですが、 -
むしマガ Vol.52【ヤマトシジミチョウ論文についてのその後2】
2012-08-20 00:16220pt -
むしマガ Vol.51【ヤマトシジミチョウ論文についてのその後1】
2012-08-19 00:13220pt★むしコラム「ヤマトシジミチョウ論文についてのその後1」 先日琉球大学の研究グループが発表した、福島第一原発周辺の奇形ヤマトシジミに関する論文。この論文について私が批判的に書いたブログ記事は割と大きな反響をよんだようで、他の研究者のブログやネットニュース記事にも取り上げられました。「原発事故でチョウに異常」という論文は、壮大な「釣り」ではないのか?「原発事故でチョウに遺伝的異常」准教授論文に異論相次ぐ Twitterなどでも私の他に多くの研究者が今回の琉球大学グループによる研究の妥当性に疑問を投げかけています。 -
むしマガ Vol.50【クマムシさんのてくてくレポート:ポルトガルのすてきカフェ】
2012-08-13 14:08220pt★クマムシさんのてくてくレポート1【ポルトガルのすてきカフェ】やあ、こんばんくまむし。ぼく、クマムシさん。ここはポルトガルのみなとまち、ポルト。ポルトガルといえば、そう。おいしいたべものだよね。ポルトガルはもともと物価がやすいし、いまはユーロ安もあっておいしいたべものがやすくたべられて、とってもおとくなんだ。このポルトには、世界でベスト10に入るといわれる、すてきカフェがあるんだよ。そのカフェの名は「カフェ・マジェスティック」。きょうは世界トップレベルのカフェのごちそうをたんのうしてくるよ。わくわくまむし~。てくてく、てくてく、てくてくまむし。おや、ここだ。さすが世界トップレベルのカフェ、いりぐちで、バイオリンをえんそうしている人がおでむかえしてくれたよ。すみませーん、ヨコヅナクマムシひとりなんですけど~。【バイオリンひき】アッ、ゴメン。ボクハ、カフェノヒトジャナインダ。え、そうなんだ。それじゃ、中に入ろうっと。ひらけ~ごま~。(ドアをあけて入る)うわ~。なんてアンティークかつロマンチックな内装なんだろう~。ずっとむかしにタイムスリップしたようだよ。ちなみにこのカフェは、1921年からあるんだって。かつては芸術家たちがつどうカフェで、最近ではハリーポッターの作者もここで本をかいていたとか。それじゃさっそく、メニューをたのもうかな。うーんっと。よし、スープとメインディッシュをおまかせでおねがいしようっと。あっ、あとデザートもね。ふたつ。ね、いいかな?【ウェイター】カシコマリマシター。たのしみだなー。【ウェイター】オマタセシマシター。わーい。スープがきた~。これ、何のスープ?【ウェイター】メロンノ、スープデス。えっ?メロンのスープ?これ、デザート??【ウェイター】イイエ、スープデス。そうなんだ~...なんだかあまそうだなぁ。ちょっとへんな感じだけど、いただきま~す.....!!つめたくておいしい!あまいことはあまいけど、なんかこう、スープに「だし」がきいているっていうか。こしょうもほんピリ(ほんのりピリリ)で、いいアクセントになっているよ。いや~、ほんとうにおいしいなぁ。【ウェイター】オマタセシマシター。わあい、メインディッシュだ!これは、なに?ウェイター「カモトポテトノ、ケーキデス」かもにくのこまぎれの上に、マッシュポテトがのせてあるね。 -
むしマガ Vol.49【昆虫の放射線感受性について】
2012-08-13 00:02220ptこんばんは。今号はちょっと遅れて夜の配信となりました。次週以降はまた朝の配信となる予定ですので、よろしくお願いいたします。・クマムシさんプレミアムぬいぐるみ 昨日まで応募がなかったクマムシさんプレミアムぬいぐるみ、twitterで呼びかけたところ何人かの方から応募いただきました。ありがとうございます。 本日からむしマガを購読していただいた方。ありがとうございます。クマムシについてマニアックに綴るむしマガをどうぞお楽しみください。むしマガではクマムシさん関連グッズのプレゼント企画だけでなく、ブログやtwitterでは見られないクマムシさんコンテンツも発信していきますのでお楽しみに。★むしコラム「昆虫の放射線感受性について」 原発事故に由来する放射性物質の影響によりヤマトシジミに奇形が生じた、という研究結果が琉球大学の研究グループによって報告されました。チョウの羽や目に異常=被ばくで遺伝子に傷か-琉球大 低線量の放射線被曝で昆虫に奇形が生じるというのは、かなり違和感を覚える主張でした。元の論文を読んでいてやはり穴が多く信頼足りえないものだと分かり、私のブログに反論記事を掲載しました。ヤマトシジミの奇形は原発の影響によるものなのか そもそも昆虫というのは放射線に強いので、今回の研究に使われた数十ミリグレイ程度のガンマ線照射では奇形が発生したり死んだりすることはないのですね。 -
むしマガ Vol.48【クマムシの生と死をどう判断するのか】
2012-08-12 23:57220pt・フランス人と日本人 フランスではバカンスシーズンまっただ中で、街中がとても静かです。こちらでは、大体夏は3週間くらい仕事を休むのが普通らしいです。研究室に行っても僕と後一人くらいしか来ていません。平日なのに郵便局が閉まっているという、日本ではちょっとありえない事態も発生しています。正直困ります。 ありえないといえば、たまに警察官や消防士がストライキデモをやっていたりします。消防士が発煙筒を焚きながらデモ行進するんですよ。火を消すことを使命としている人たちが、火をつけてねり歩いているんです。すごいですよねー。その間に放火事件とかあったら、どうするんだろうか? しかしながら、そんなフランスの1人あたりのGDPや平均寿命や科学技術力は、日本と大差ありません。 小さい頃から塾に通いながら必死で勉強し、社会に出たら残業漬けで余暇をなかなか撮れない日本人と、2時間のランチタイムを毎日取り、6時以降に仕事をすることなど滅多にないフランス人。この両国の生産力がほぼ同じというのは、ずっと不思議に感じていたところであります。 この原因の一つに、日本では無駄なことに時間を費やしている、ということがあると思います。根回しのための根回し、サービスの準備のための準備、形だけの会議、などなど。 まぁ、日本人は小学校の頃から朝の校庭で校長先生の毎回同じような話を延々と聞かされたり、行進の練習を毎日させられたり、ぞうきんがけ競争をさせられたりと、何ら生産的でないことを小さい頃から経験しているので、そのような「儀式」があるのが当たり前になっているのでしょう。 日本で無駄な時間を費やさずに生産性を高めるには、そういう儀式に付き合うのをやめるべきでしょうね。空気を読んだら負けだと思います。★クマムシトリビア その19 読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答...の予定だったのですが、前回からクマムシさんとクマムシ助手のゆうさんにバトンタッチしています。◆ 質問: 森山さんのサイエンスメールも購読しているんですが、今やってる堀川さんのインタビュウのなかで「復活しないクマムシ」ドゥジャルダンヤマクマムシの話をされてましたね。森山和道:サイエンスメール それでちょっと思い出したんですが、前にクマムシを観察したときには、心臓のような臓器は観察できませんでした。多分、小さいので循環器系はほとんど要らないんだと思いますが、だとすると乾眠後に死んだかどうかの判定は「動くかどうか」なのでしょうか。まあ「死とは何か」という面倒な問題も横たわっていますけど、計測するということを考えると、「動くかどうか」というのは面倒なように思うんですが、どうなんでしょうか。◇ 回答: とても本質を突いた、そして難しい問題ですね。おっしゃるように、「生とは何か」そして「死とは何か」に関わる問題です。これは「生」と「死」をどのレベルで定義するかにかかっいきます。個体なのか、組織なのか、細胞でのレベルなのか。はたまた分子のレベルなのか。 慣習的には、クマムシが生きているかどうかは個体が動くかどうかで判断します。具体的には、あるストレスを乾眠クマムシに与えた後に水をかけてから24時間以内に動いた個体を「生きた」、動かなかった個体を「死んだ」ものとして判断します。 ここで同じ「動いた」でも、例えば元気よく8本の肢で歩行した場合、弱々しく肢を伸ばしたり縮めたりするだけの場合、肢の動きはまったく見られず体を少しねじらせる程度、などなど色々なレベルがあります。歩行行動が見られない場合、ストレスによるダメージが個体にあることは明らかでしょう。 ただ、個体が動かない場合でも組織や器官が動いていることもあるわけです。 -
むしマガ Vol.47【消えた学会発表資料】
2012-08-10 23:54220pt・クマムシさんぬいぐるみ 先日、クマムシさんプレミアムぬいぐるみ1体をtwitter上でプレゼントするキャンペーンを実施しました。クマムシさんが出したクイズに最も早く正解した1人が、ぬいぐるみをゲットできるというルールです。 緊張感高まる中、8/8の22時にクマムシさんからクイズが出題されました。すると、数秒後から一斉に回答が寄せられました。5分後にはざっと200ほどに達したいったでしょうか。 来週はいよいよ、30体限定でこのプレミアムぬいぐるみを販売し始めます。価格は1体2980円。ちょっと高いですが、薄毛ぬいぐるみファクトリーの職人さんが1体1体手作りで作っているので、どうしてもこれくらいの値段になってしまうのですね。 ということで、こちらのクマムシさんプレミアムぬいぐるみももむしマガ読者のみなさまの中から抽選で1名様にプレゼントいたします。商品をご希望の方は、住所・氏名・電話番号を明記の上 horikawadd@gmail.com までご応募ください。 みなさまからのご応募、楽しみにお待ちしています。★クマムシ研究日誌「消えた学会発表資料」 アメリカで開催される国際クマムシシンポジウムが、自分にとって初めての学会発表であった。それまでは国内でも学会発表の経験はなかったのだ。 海外に一人で行くのも初めてだったので、ちょっとワクワクしながら一人札幌から成田に移動した。 しかし、ここで思わぬ事態が起こる。 成田空港で買い物をした後、自分の荷物が一つ無くなっていることに気付いたのだ。それは、小さなプラスチックのスーツケースだ。 そして、そのスーツケースには、クマムシシンポジウムで発表するためのポスター資料が入っていた。つまり、最も大事なモノが、無くなっていた。 こ、これは大変。しかし、あたりを探しまわるも全く見つからない。自分の移動した範囲はたかが知れたものだ。この辺に、必ずあるはずなんだ。しかし、見つからない。 そこで、係員の方に落とし物の届け出がないか聞いてみたが、そのような届け出は全くないとのこと。どうやら、盗まれてしまったらしい。
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