他力本願になれない子供だった。親の力に頼らねば生きられない自分の無力さがもどかしかった。子供ってなんて不自由なんだろう。大人になればこの不自由さから抜け出せして自由になれるんじゃないだろうか。ずっとそんな風に思っていた。 

 だから、七夕の短冊にはいつもこう書いていた。

 「はやく大人になりたい」

 精一杯の大人びた字で書いていた。