なぜ日本は軍国主義化したか

〈当時の日本で、国家主義的かつ権威主義的な反動の裏には、数世紀に形成された日本人の

特質があった。ナショナリズムは常にくすぶり続け、煽りたてずとも燃え上がったし、武家

政治の下にあった日本人は、軍国主義者の主導権主張を唯々とうけいれた。〉

〈幾世紀もの間の権威政治におとなしく服していたせいで、日本人は、再び権威主義を押し

つけけられてもほとんど無関心であった。〉

出典:エドウィン・ライシャワー著『日本《過去と現在》』(時論社、一九四八年)

■解説

 前出のエドウィン・ライシャワーは一九一〇年生まれ。ハーバード大学教授。一九六一年に駐日アメリカ大使。著書『日本《過去と現在》』(時論社、一九四八年)から関連箇所を引用する。

〈事実、彼らの多くは、せっかく手に入れた知的・政治的自由にぎこちなさを感じて、むし

ろもう一度天下り権威のもとで感情的な安住を得たい、とさえ考