出典:『風土の日本 自然と文化の通態』(ちくま学芸文庫、一九九二年)

■解説

オギュスタン・ベルクは一九四二年生まれ。フランスの地理学者でフランス社会科学高等研究院教授である。一九六九年に初来日し、宮城大学教授等として通算十数年、日本に滞在した。彼は、日本の国土と日本人の関係を研究し、前掲書では風土と日本人の関係について考察している。

オギュスタン・ベルクについては先にも触れた。

ベルクは和辻哲郎氏の考えにも十分に配慮し、日本人の気質の特徴である「受容性」と「忍従」について、次のように語っている。

〈和辻によれば、モンスーン気候の影響によって証明される。というのも、モンスーンは厳しい暑熱と湿潤を伴い、人間は台風の抗し難い猛威に耐えるのと同じように、それを耐え忍ばねばならないからだ。対抗するには及ばない〉(○○頁)

 更に和辻を引用し、〈自然が猛威をふるう、その荒々しい力は克服し難いもので、