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「経済的関係が深まると戦争しなくなる」というテーゼはリベラリズムの主張のひとつであり、孫崎さんもたぶんそれに近いお考えなのだろうと推察している。
しかし、今回たぶんあきらかになったのは、ロシアが、資源的に依存しているから西欧は露宇戦争に反対できまいと考えていたことだ。つまり、「経済的関係が深まるとロシアの戦争を誘発する」という結果だったことだ。
この結果の影響範囲は広いとおもう。脱原発、温暖化などの議論に及ぶことはもちろん、米中関係にも大きな影響があるだろう。いまのところ結末まではわたしには見通せないが。
ところで本日の朝日新聞には東欧現代史研究者へのインタビューがのっている。
この研究者は、東欧・旧ソ連圏の小国が史実から得られる教訓として
1,自国の命運を左右する大国の狙いを適格に把握し、安易に大国を頼って付け込まれる隙を見せない
2,自国の選択が何をもたらすかを冷静に見極め、ナショナリズムの熱に過度に踊らされない
に二点をあげている。方向性としては孫崎さんの考えと一致するのではないかとおもう。
味わい深い具体例もあげている。
そして、「ロシアの’(略)侵略は絶対悪だ」としつつ、
「この戦争は旧社会主義圏にグローバル経済の「新自由主義」が浸透する過程で起きた出来事の一つと言える。(略)ロシア側の主張に一片の合理性を見いだすならば、(略)プーチン氏は戦争ではなく、(略)欧米型の新自由主義に代わる「新たな普遍的価値」を示すことを目指すべきだった」と結ぶ。
わたしもこの結びに賛成だ。そして「普遍的価値」として古い大ロシア主義しか持ち出せなかった点で、すでに思想的に敗北しているのであろうと自分としてはおもうが、いずれにせよこの方向で議論することは露宇戦争についてくだらない議論の多いなか、少しは生産的であろうとおもう。
しかしプーチン支持のヒトビトは、単なる反米マニアが多く、この方向の議論をしているひとびとは少ない。
いくつか話題を書いておきます。
その1
ミアシャイマーは孫崎さんも取り上げているし、ほかでも米国批難の論拠として取り上げられているけど、ミアシャイマーの本領はこの英文の部分↓です。だれが「敵」かを見誤るなということですね。言い方は悪いですが、孫崎さんはミアシャイマーをつまみ食いしているとおもいます。孫崎さんだけというよりも、本来リベラルな主張をしているひとびとが、ミアシャイマー的な議論をするところには、本質的な相性のわるさがあるわけです。なお、このミアシャイマー理論は、実際に安倍首相の対露政策に影響を与えていたとおもいます。
If you live in a world where there are three great powers—China, Russia, and the United States—and one of those great powers, China, is a peer competitor, what you want to do if you’re the United States is have Russia on your side of the ledger. Instead, what we have done with our foolish policies in Eastern Europe is drive the Russians into the arms of the Chinese.
https://www.newyorker.com/news/q-and-a/why-john-mearsheimer-blames-the-us-for-the-crisis-in-ukraine
その2
Foreign Affairs のアンケート結果。原文にあたって写真をみながらコメントを読むのもおもしろいが、さしあたって、紹介しているツイの図だけみれば要点はわかるとおもう。ツイにあるとおり、「(NATOの東方拡大は誤りか?に対する回答として)、欧州出身もしくは同地域での研究機関に所属経験のある人、若手の研究者は誤りではないと回答し、米国出身で比較的シニアな研究者は誤りと回答する傾向」。優秀な若手には、露より米のほうが魅力的なようです。(それにミアシャイマーも上で述べたように、露が魅力的だから米のウクライナ政策に反対しているわけではない)。
https://twitter.com/rena_in_dc/status/1517640642796695565
https://www.foreignaffairs.com/ask-the-experts/2022-04-19/was-nato-enlargement-mistake
その3
記事と関係ありませんが、チャイナ肺炎の話題が出ていたので。認知機能障害とチャイナ肺炎罹患との関係の研究がすすんでいるというはなし。
(略)says the University of Oxford’s Douaud, “as evidence from studies on long COVID, and our study, show that even mild infection can be damaging.”
https://www.nationalgeographic.com/magazine/article/even-mild-covid-19-can-cause-your-brain-to-shrink
書き忘れてました。
その4
宇都宮けんじのツイ「NATO拡大に弾みをつけているのはロシア自身の行動だ」。
https://twitter.com/utsunomiyakenji/status/1516634263432867840
かれのほかのツイも味読すべきだとおもいます。
西側の対ロシア経済制裁など、所詮「天に唾する」だけなのか、ここでも結局ショック・ドクトリンでDSがまたボロ儲けなのか、よく分からない。だが、どの道、日本の大衆にいいことはない。昨日の生放送-
“昨夕食時、日本酒を運んできたウエイター氏が「見てください、ここにウクライナの国旗があるでしょう、私達は売上の一部をウクライナ支援に回すんです」と得意気に話していたが、これには驚いた。一体、この方々がウクライナの問題をどれくらい知っているのだろうか。しかし、この現況は、今の日本の空気を完全に表していると思う。もう、一億総「ロシア批判」「ロシア糾弾」「ロシア制裁」、一億総「ウクライナ支援」、これが全てに染み渡っている。
更に、その場にいた人が「いやいや、それだけではないんです。今、高校に募金箱が置いてあるのです」━この募金もウクライナ支援に使われる...”
ここまで愚鈍な大衆に「いいこと」が起こるわけがない。ここまでDSの「仕込み」通りに振舞う国民には、世界広しと言えども そう滅多にはお目にかかれまい。窮状を訴え続けるパレスチナの人々などは、もう やってられないのでないか。
>>19
全く同感です。
米国の肩など持ってませんよ。
因果関係とか情状酌量とかの議論と、違法性の議論を峻別できないヒトビトが多いと思いつつ見ています。
>>17
見えてきました。あなたの顔が外務省筋の方のようですね。
また後日コメントしますが、高級官僚なら相手を罵倒する品のない言葉をつかわないようにね。
>>21
また二人の本名そっと教えてください。