孫崎享のつぶやき
米国は東アジアの安全保障政策構築上、米・日・韓の強固な関係の構築をめざす。特に対中。この中、徴用工問題が阻害要因。米国は大統領選挙で米国との関係重視の尹錫悦を支援。バイデンは「米の緊密な同盟国間の新章」として 元徴用工「解決策」を歓迎。
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コメント
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個人的には、アメリカ帝国の東アジア戦略がどうあれ、朴裕河教授が唱えた日韓の「和解」が大事だと考えている。勿論、このことにより日本人の歴史に刻まれた侵略植民地支配の責任が「免罪」されるわけではない。
徴用工問題については、個人的には、民事訴訟上の個人としての不法行為責任の請求権は理論上あり得る、と考えていた。
ただ、従軍慰安婦問題において、こじれにこじれた日韓の戦後処理問題の延長に徴用工問題を位置付けると、日本側の「抵抗感」も想定せざるを得ない、と考えていた。
従軍慰安婦問題では、1995の「女性のためのアジア平和国民基金」は募金による償い事業であったが、公金=税金による賠償でない、として被害者側は受け入れを拒んだ。
その後、2015年の慰安婦問題日韓合意により、韓国政府が元慰安婦支援のために設立する財団に日本政府が、募金でなく、公金=税金を拠出する枠組みが作られた。しかし、これも正義連(旧挺対協)が主導する原理主義的運動論や韓国世論の反対により、失敗に終わった。
総じて言えば、日本側は「金出せばよいのだろ」的姿勢。実際、安倍政権時の慰安婦問題日韓合意では、安倍は歴代総理が被害者に渡してきた「お詫びの手紙」を渡さなかったと聞く。
一方、韓国側には強烈な反日ナショナリズムがあった、と考えている。ナショナリズムは民族解放闘争の文脈なら正当化されると考えているが、それ以外の場面、即ち帝国主義による植民地再分割戦争が終わった現代においてナショナリズムは正当化される余地は、ほぼ無いと考えている。
韓国側正義連が見せる原理主義的ナショナリズム運動の論理に、日本側が翻弄され、疲弊した印象が、私には拭えない。
「帝国の慰安婦」の著者、朴裕河教授が刑事訴追されるに至っては、弱者支援の運動団体というより、正義連は一種の権力ではないか、と私は残念な印象をもっていた。
>岸田文雄首相が既存の日本政府の立場である植民地支配への「反省とおわび」を継承することを表明するだろうと政府筋は伝えた。
謝罪は当然だが、戦後80年近く経過する今、当事国双方の顔を立てる、或いは足して二で割る解決策を模索することが現実的であると考えている。
我々日本国民は被害者に寄り添うという形で、戦後責任から免罪されないことを意識し続けなければならない。
岸田政権がメデイアの公平に関わる行政の内部文書を捏造から一転して本物だと言い出したのには私は正直驚いた。破廉恥を筆頭に掲げて独裁を続ける自民党だから、捏造で通すと私はスペキュレイトして自民頑張層の主張にも異論付けなかったくらいだったが、岸田政権に見事に裏切られた感は免れない。
と同時に、何と徴用工問題が解決したと発表されるに及び、私は「はハーン、そういうことですか」という心境です。日本が米国の命令により第二次朝鮮戦争を仕掛けるには、韓国と日本は仲良くしとかなくちゃならない。そう、日韓にとっては戦争です。仲良く出来ない理由は徴用工だとネオコンも思っていたから、今回の仕儀になったんでしょうけど、その暗さを吹き飛ばすために捏造を本物に替えたんでしょうかね。
思い出すのは、岸田氏が外務大臣だった時、徴用工は解決したが、なし崩しにうやむやになって、今回、前回と同じ枠組みで解決に至ったというのだが、今回も間違いなくうやむやに終始すると私は自信をもって断言できる。その理由は次の二つ。
1.日本人の心に問題がある。特に自民党は歴史を知らない。韓国人は心を重要視し、その反対に、自民党の岩盤層は心を無視し、目先の私利私欲で動くから、韓国と日本は水と油なんです。
2.朝鮮半島は北と南に二分されているが、同胞意識で括られている。日本のチョッパリと同盟して北を攻めることは韓国人には絶対に出来ない。
思慮の浅いバイデンやブリンケンが徴用工が解決付いたから、韓国と日本が合体して朝鮮半島と日本をウクライナ化すると喜んでいるようだが、滑稽至極と言えよう。そしてもう一つのブレーキは捏造と本物が自民党内部で分裂し、戦争へのべくテルが壊れること。この米の二人はそのことには気が付かないだろう。私みたいな反戦有意の人間には「岸田君、やるじゃん」ということになる。深謀遠慮と言えななくもない。
> 米政権は、北朝鮮などによる安全保障上の脅威に連携して対処することを重視し、
米国(DS)こそが「安全保障上の脅威」━これは もはや全世界の共通認識だろう。ロシア、中国、イラン等、非西側国が具体例を出して何度も指弾している通りだ。ならば、アジア諸国がDSから身を守るには「東アジア共同体」を構築するのが最善策だ。だが、覇権を死守したい米国(DS)は、だからこそ、そんな共同体作りを絶対許さない。哀れ、DSの召使い国である日韓は、中国/ロシアと戦うDSの前線基地にされる運命ということだ。
> この中、従軍慰安婦問題、徴用工問題で日韓関係は悪化している状況である。
覇権国家の常套手段である分断統治上、日韓関係の悪化は好都合でもあったろうが、そんなものは状況次第でコロコロ変わるのだろう。今は、召使い同士に喧嘩されては対露/対中戦略上困るというだけのことだ。所詮、DSにとって日韓は単なる駒でしかない。
> 他方韓国も、戦前の日本の行動に対する謝罪を求める声がある。特に文在寅大統領...の時には...日本の戦前問題の追及を重視した。
韓国(あるいは朝鮮)にとっての「日本の戦前問題」とは何か。私も、殆ど知らない大勢の一人だが、従軍慰安婦問題、徴用工問題だけに留まるまい。これらを引き起こすに至った日本による非道な植民地統治にまで遡って追求するものに違いない。日本の非道ぶりは秀吉の朝鮮出兵が布石となった。1年半前だったか、岡山県津山市東一宮で行われた「耳塚(耳地蔵)鎮魂・供養式」には鳩山由紀夫氏も出席されたが、こんなことを言っても一般の日本人には何のことかサッパリ分らないのが現状だ。だが、朝鮮側の人には、今もって許せない史実に違いない。ドイツと違って、日本は自らの非道を勝手に御破算にし続けてきたからだ。「非道」DNAを受け継ぐ日本の支配層の多くが、戦後も鉄槌を下されることなく、支配階級に返り咲いてしまったことが諸悪の根源だ。
”歴史家のハリー・ハルトゥーニアンが言い放った含蓄のあるコメントを引いておきたい。ハルトゥーニアンは、東京裁判とは「最初から最後までペテンであり、うまく演出されたシナリオの上演」(『歴史と記憶の抗争』301頁)だったと言う。その「演出されたシナリオ」の制作には、米国の世界戦略を背負ったマッカーサー率いるGHQと、日本側の政治エリートとの合意があったと見る...東京裁判が、まるで一方的な「勝者による敗者の裁き」だったと論難する向きが多いだけに、双方の合意に基づく「ペテン」だったというハルトゥーニアンの東京裁判観ほど、戦後日本像に、新たな息吹を吹き込むものはない。”(中尾茂夫著「世界マネーの内幕」/2022)
この「日本側の政治エリート」人脈こそが、嬉々として米国(DS)の「召使い」に成り下がる輩だろう。日本がやらかしてきた国内外での「非道」を決して まともに認めず、ドイツのように総括しない この連中に日本人大衆が鉄槌を下せなければ、「日本の戦前問題」も決して解決に至らないということだ。