孫崎享のつぶやき
中国GDP成長目標、23年は5%前後と控えめな水準-全人代開幕、昨年は5.5%目標コロナ等で実績は3%(ブルムバーグ)李克強首相「今年は、経済の安定を優先し、安定確保しながら進歩を追求」、国防費は約31兆円 7・2%増
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コメント
コメントを書くGlobal Times「中国は2023年のGDP目標を約5%に設定、質の高い成長に注目」
(2023 年 3 月 5 日)によると「中国経済が新型コロナウイルス感染症への対応を最適化してから 2 か月で予想よりも速いペースで回復したこと」を考慮するなら、中国当局の5%の目標設定はやや保守的と言えるかもしれない。
https://www.globaltimes.cn/page/202303/1286688.shtml
「IMF は最近、今年の中国の GDP 成長率を 5.2%、世界の成長率を 2.9% と予測しています。」とあり、北京大学のエコノミスト、Cao Heping 氏は、「ロシアとウクライナの紛争と国際的な一国主義が大幅にエスカレートしなければ、中国のGDPは2023年に6%以上上昇する可能性がある」
と述べている。
引き続き、中国が世界経済の成長エンジンであることは間違いない。
「不確実性の最大の要因は、一部の先進国経済が景気後退に突入するかどうかなど、外部環境の変化にあると述べ、それが中国の輸出需要を押し下げるだろうと述べた。」
この不確実性とは、アメリカ帝国の利上げによる景気悪化や債権金融システムの崩壊懸念=ドル崩壊を指していると見るべきだろう。また、欧州のエネルギーコスト上昇による経済悪化や生活困窮もある。
「Tian Yun 氏は、利上げによって国際市場の流動性が失われているため、米国の利上げによるマイナスの影響も強まる可能性があると述べました。中国にとっても、資本流出を引き起こし、中国の経済回復に危険をもたらすでしょう。」
ドルへの信認が崩壊し、ドル覇権が崩壊すれば、いよいよ中国が世界経済をリードすることになるだろうが、その過程では世界経済の不安定は避けられないということだろう。真にアメリカ帝国とは厄介な存在だ。
ともかく、Tian 氏は、「中国の政策は独立しており、さらなる政策の余地が十分にあると強調した。これに加えて、中国経済が上向きのサイクルにあるという事実により、今後のリスクに耐える上で、中国は西側市場よりも有利な立場に置かれるでしょう。 」と述べている。
中国経済の政策的「幅」に比べて、日本には金融政策にも財政政策にも「幅」が少ない。その意味で、経済の下支えには、日本はインバウンドを含め、中国と緊密な経済関係の構築こそが、生き残りの道だと考えている。
RT 4 Mar, 2023
中国はついに超大国としての役割を果たすべく歩み出した。これは世界を変えるだろう
https://www.rt.com/news/572465-china-is-finally-superpower/
国際社会は2つのブロックに分かれている、一つは米国とその同盟国が主導するもの、もう一つは北京とモスクワが主導するものだ-
外交防衛政策評議会議長etc. フョードル・ルキヤノフ記
中国は外交活動をかなり活発化させている。これは、これまで外交活動を妨げていた長年のパンデミック的孤立から脱却したからというだけではない。国際舞台における中国の役割と比重が、もはや静観/傍観が不可能なまでに大きくなったからである。これは、中国の自己認識における重要な変化であり、問題は、それが国際的な実践にどのような変化をもたらすかである。
不作為を最高の美徳とし、対立するものを相反させずに相互浸透させることが、中国の伝統的哲学の原則であるが、国際活動のあり方としてもかなり応用されている。この現象の詳細な分析は専門家に委ねるべきだが、このような世界観から、もっとよく知られているイデオロギー的/地政学的な対立への移行は、中国が概して異質な西側共産主義の教義を採用したときに起こったことは特筆すべきことである。
毛沢東は、社会秩序だけでなく、中国人の文化も変えようとした。しかし、彼の治世は米国との交渉で終わり、それは中国の世界観に より適した戦略的均衡への回帰であった。相互承認は、合意や調和を意味するものではなかったが、当時の当事者の目的に沿ったものであった。つい最近まで続いたこの時期が、今ようやく終わりの兆しを見せているところである。
米国では、この数十年について多くの議論があり、相互作用から最も利益を得たのは中国であるという不満の声が上がっている。その基準はさまざまだが、一般的には、北京が主要な受益者であることに異論はない。少なくとも、国の変貌と国際舞台での地位という点では、中国がそうである。鄧小平の静かで緩やかな上昇戦略は、完全に中国精神に則ったものであり、その結果は間違いなく正当なものであった。
それだけに、この超優位・有利な状況が終焉を迎えることを北京が理解するのは至難の業だった。
これは、ある単純な理由から必然的に起こったことである。中国は、その意思や意図がどうであれ、米国の潜在的なライバルとなり得る力を手に入れたのである。そして、このことは、米国の北京に対するアプローチの自然な進化につながった。結局のところ、米国のスタイルは、上記のような古典的な中国のスタイルとは正反対である。そして、2010年代後半から2020年代前半にかけて、後者が米国の圧力の高まりを抑えようとする試みは、この関係を戦略的競争のカテゴリーに移行させようとするワシントンの確固たる意図とぶつかることになった。公平を期すために、中国の自己主張と自信も高まっていたが、もしすべてが北京だけに依存していたなら、有益な協力の期間はさらに数年続いていただろう。
ともあれ、新時代が幕を開けた。中国の外交的復活は、北京が世界政治の中で役割を果たすことを恐れていないことを示すことを意図している。ウクライナ問題に関する中国の和平提案の文言が無害な内容に徹していることがその証拠である。しかし、これもまた変化する可能性がある。中国が外見上、善意の中立を維持しようとするのはモスクワにとって好都合である。片や西側はすぐに不誠実さを主張し、中国に無礼な口調でそうするのである。北京には、その弁えている礼儀作法に反する急激なUターンを期待してはならないが、方向性は定まっている。
そして、ウクライナで起きていることについて、中国がロシアの評価を共有しているかどうかは問題ではない。北京は、自分たちの(死活的に重要な)問題とは考えていないので、慎重に意見を述べることを避けてきた。しかし、中国とロシアが好むと好まざるとにかかわらず、一方に、米国とその同盟国がいるという、世界舞台での勢力再編が進行しているのである。そしてこれから、このことはますます明らかになっていくだろう。習近平は10年間、自国の舵取りをする中で、内政と外交を一変させた。
一方では、習近平は古典的な中国観を強調し、他方では社会主義のスローガンや思想を尊重してきた。前者は自給自足の調和を意味し、後者は内向きであると同時に外向きの傾向もある。この共生が、習近平政権の次の5年、10年における中国の位置づけを決めると思われる。敵対的な国際環境は、受け入れ可能な均衡を維持するための北京の能力をますます試すことになる。ロシアを含め、こうした試みがどれだけ成功するかによって、多くのことが決まるだろう。
>>1 訂正
6億元は6兆元の誤りです。
RT 5 Mar, 2023
欧米ブランドが残した隙間を埋める中国企業-モスクワ
https://www.rt.com/business/572475-chinese-firms-filling-gaps-russian-market/
ウクライナ関連の制裁で、過去1年間に1,000社以上の企業がロシア市場から撤退-
駐北京ロシア大使のイーゴリ・モルグロフ氏は、土曜日の中国中央テレビのインタビューで、ロシアと中国の経済協力はここ数ヶ月で急速に拡大しており、さらに拡大する「良い見通し」を持っていると述べた。
大使によると、中国企業は、ウクライナ関連の制裁により欧米企業の数百社がロシアからの撤退を余儀なくされた後、残されたロシア市場の隙間を積極的に埋めているとのこと。
「我々は、中国からロシアへの輸出が急増していることを歓迎する。主に機械や洗練されたタイプの商品で、我々の中国の友人たちは、西側企業のロシア市場からの撤退によって空いたニッチを満たしている」
「コンピュータ、携帯電話、自動車などである。街角で中国製の車を見かけることも多くなった......中国からロシアへの輸出が増加する見込みは十分にある」とモルグロフは述べた。
また、ロシア製品も中国市場で人気を博しているという。
「北京に4ヶ月滞在して言えることは、ロシアの食品は中国人の間で非常に需要があるということです。これは本当に喜ばしいことだ」と述べた。また、外交官は、現在ロシアは中国の農産物輸入のわずか2%を占めているに過ぎず、「明らかに不十分である」と指摘した。
「ロシアは、含油植物、穀物、肉、水産品など、もっと多くの農産物を供給できると確信している」
さらに、パルプ・紙工業、化学工業、肥料製造、冶金などの分野で、ロシアの対中輸出の範囲をさらに広げることが期待されると付け加えた。
エール大学のアナリストによると、ロシアのウクライナでの軍事作戦開始後、制裁の圧力で1000社以上の欧米企業がロシア市場から撤退したとのことだ。その結果、ロシアは非西洋的なパートナー、特に中国とインドに方向転換を迫られた。
ここ数カ月、中国はインドと競ってロシア最大の石油の買い手となり、EUを抜いてロシアの農産物の輸入トップとなった。
露中貿易高は2022年に3分の1近く増加し、1850億ドルに達し、ロシアは中国の上位20パートナー国の中で貿易増加率で首位に立つことになった。モスクワと北京が2024年に設定した2,000億ドルの貿易額目標は、予想よりも早く達成される可能性があると、両国の関係者は確信を持って指摘している。
昔のことですが、経済学で混合経済というのが大流行りだった時期がありました。日、米が経済成長していた時に実際に両政府ともに公的投資に公益の立場から鋭意踏み込んでいたのです。しかし、今では、混合経済と言う言葉が全く使われなくなっているのです。その理由として、米国ではロビーが政府と国会に働きかけ、ロビーの為の経済に代わっているからですし、日本では自民党の為の経済に代わってしまっているからだろうと私は推察しています。
一方、中国の経済運営はそれまでの計画経済を完全に放棄して、日米の混合経済(厚生経済学とも言われる)を模倣し、大躍進を遂げて、今では堂々と社会主義市場経済と言う名のもとに更なる大躍進を目指すことになってます。しかし、一方で、中国経済への羨望と嫉妬も手伝ってか、米国の中国への嫌がらせは年々しつこくなり、それに業を煮やした中国は本格的に中国経済の米国依存度減らしに取り組むことになっているのです。行く行くは米国経済からの完全独立を果たすことも目標に加わって、当面、経済成長で多くを望むことは出来ないのです。その代わりに非米グループとの経済交流を拡大し、これまで手付かずだった内需拡大と格差是正に向けて邁進するでしょう。
私利私欲が原動力故に過度の投機が災いして、米国経済と日本経済の屋台骨そのものに存する矛盾がこれから亀裂を起こし爆発し、社会主義市場経済の優位性がこれからの10年間で証明されるでしょう。
>>1
ウクライナの戦況と同じく、貴殿は貴殿を喜ばす記事が満載のモノを読めばそういうことになるんでしょうね。中国の財政赤字は日本に比べれば(勿論、GDP比)は小さいと思いますが。
私以外の他の方のご投稿を折角ですからご覧くださいな。勉強になりますよ。
★ビル・トッテン氏が紹介するこの2023年2月26日の記事は石油・ガスのパイプライン網の敷設構想のようで中国の一帯一路構想と同じく注目されているようです。
https://kamogawakosuke.info/2023/02/26/no-1714-%e3%82%a4%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%81%a8%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ae%e6%88%a6%e7%95%a5%e7%9a%84%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%83%e3%83%97/
No. 1714 イランと中国の戦略的パートナーシップ
投稿日時: 2023年2月26日
Iran-China strategic partnership
The big picture
イランと中国の戦略的パートナーシップ、その全体像
by Pepe Escobar
エブラヒム・ライシ大統領の北京訪問で得られた重要な成果は、20の二国間協力協定に調印したことだけに留まらない。
これは非常に興味深い、複雑な、数十年にわたる進行中の歴史的プロセスにおける重要な変曲点である。それはユーラシア大陸の統合だ。…………………………
マスコミに載らない海外記事の2023年3月5日に紹介されている記事を読んで見ました。
ウクライナの天王山
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-7a6c80.html
衰退しつつある優位を維持するため戦争に頼る苦境のアメリカ
マイク・ホイットニー
2023年2月26日
Unz Review
人類の未来はウクライナの戦場で決定される。これは誇張ではない。アメリカとロシアの対立は、進化する多極システムの中で世界経済統合が拡大するのか、それとも「ルールに基づく秩序」が欧中心モデルに反対する敵を粉砕するのに成功するかを決定する。これがウクライナで起きていることであり、実際、最近政府が作成した国家安全保障関連文書は全てロシアと中国をアメリカ覇権に対する最大の脅威と特定している。たとえば2021年の議会調査局報告書「新たな大国競争:防衛への影響—議会の問題」という題名のこの短い抜粋をご覧願いたい。
ユーラシアにおける地域覇権国の出現を阻止するアメリカの目標は...(1)ユーラシアの人口、資源、経済活動を考えると、ユーラシアの地域覇権は極めて重要なアメリカ権益を脅かすに十分な大きさの権力集中になるという2つの判断を反映した政策選択だ。……………………………………………………
この記事で超大国は中国の「一路一帯」構想に対して戦争以外のビジョンが無いことを指摘しているようです。
第二次世界大戦以降超大国になった米国は世界の破壊者として競争相手を破壊して行ったと思います。冷戦終結以降に更にそれが極まり、ユーゴスラヴィア解体、イラク破壊、リビア破壊、シリア破壊と今回のウクライナのロシア語系住民地区にネオナチを侵入させてロシアの進攻を誘発させてウクライナの土地とウクライナ人男子の破壊を進めたとも感じます。
米国は広大な沃野と資源を持ってこの国土だけで3億人が豊かになれる生存権を確保出来るのに何故か惨事を続けているようです。
これは満州事変で暗躍した参謀石原莞爾がこれで日本の生存権を確保されたので以後国力を高めるべきだと反対したにもかかわらず、日中戦争を推し進めた大日本帝国東条英機ら日本軍部軍閥と重なる部分があるようです。戦いは止まらず日米戦争まで至り、日本人は無差別空襲や原爆や護送船団からの兵站が途切れた戦地の日本人将兵戦病死、沖縄戦の将兵民間人などを合わせて310万人が亡くなる惨事になりました。
戦後の日本は石油が安く入ってきたこともあり、旧田中派経世会の政策の道路行政・総合病院と言われる政策や日本列島改造の時代を経てオイルショックを克服して経済大国として再起しました。
米国は広大な沃野と資源を持っているので本土だけでも公共事業を上手くやれば3億の民でも豊かになれると思えるのですが。やはりアメリカの田中角栄が必要と思われます。
フレデイ タンさんが混合経済(厚生経済学)と伝えてられているのは日本では護送船団方式と経世会の政策が上手く組み合わさったものではないでしょうか。
欧米諸国の金融バブル崩壊からの経済の停滞を中国の一路一帯構想やイラン中国が進める石油・ガスのパイプライン網の敷設で穴埋めをする必要はあるような気がします。
>>9
貴兄のご投稿を興味深く熟読しました。
私にはロックフェラーが独裁する市場経済はコントロル不可に陥り、中国の社会主義市場経済がユーラシアを基盤にして大きく発展し、西欧をも呑み込み、米国へ手が伸びていくような予感を持っております。
>>8
米国が中国に歯をむき出して挑んでいる姿が貴殿には見えませんか?
>>10
ありがとうございます。2本の紹介された記事を基に考えて投稿してみました。