筋トレのすすめ 週3040分でがん予防効果:がん社会を診る 東京大学特任教授 中川恵一(日経)
このコラムでも取り上げましたが、運動はがんを予防します。ウオーキングなどの活発な運動を週に5日以上行っている人では、ほとんど運動しない人に比べ、がんの発症リスクが2割も減ることが、144万人を11年間追跡した大規模な調査から明らかになっています。これは米国や欧州で行われた12件の研究を分析した結果ですが、日本人約10万人を追跡した研究でも、男性の大腸がん・肝臓がん・膵臓(すいぞう)がんで、女性の胃がんでリスクの低下が示されています。
日本人を対象とした評価でも、運動によりがんの予防効果は、大腸がんではほぼ確実、乳がんでも可能性ありとされています。
運動によるがん予防のメカニズムは完全に解明されているわけではありません。ただ大腸がんの場合、運動で消化管の活動が高まって便通がよくなり、便に含まれる発がん