私は防衛大学校にいる時、しばしは学生に次のように述べていた。「講義の内容は忘れていい。覚えていて出世に役立つことはない。だが次は実行しなさい。『無償の手助けをしろ。それが多くなればなるほど、貴方を助ける』。
私が上の認識をし始めたのはウズベキスタン大使の時である。初代なので何もない。人もいなければ予算もない。それでも日本が経済協力を行い、大統領、外務大臣、財務大臣、貿易大臣などが訪日した。その中、ウズベキスタン側から苦情がくる、何で日本から首相も大臣も、議員の一人も来ないのか」。日本の議員に対して「ウズベキスタンへおいで下さい。貴方にとって、政治的にこんなにいいことがありますよ」という科白は見つからなかった。
そうした時代、神戸の生協の幹部である女性がウズベキスタンを訪れた。大使館に来られて、「自分はこれからウズベキスタンの砂漠に木を植えに行く。大使、一緒に来ませんか」と言われた。ウズベ
孫崎享のつぶやき
随想㉕無償の手助けーその①、今日、書籍、X,ニコニコで活動できるのも契機は『日米同盟の正体』が出版できたから。出版は無償の行為が契機
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コメント
コメントを書く孫崎さんは「赤子のような心」を持った方と受け止めているが、今回そのことを実感している。
人間の心は様々なことを考え、思考を繰り返す中で、思考純化してしていく。純化していけば「時、場所、人」を超えた
志向であり理想郷でもある。なかなかその境地にはわかっていても到達できない。
ウズベキスタンでのご体験は、孫崎さんが、細川政権の武村氏理解者と出会ったことであり、「時、場所、人」が同化できた結果ではないかと見ています。ただ、同化できない政権が続くと心休まるところがないのが悩ましいところである。
『無償の手助けをしろ。それが多くなればなるほど、貴方を助ける』
孫崎先生のおっしゃるとおりです。
ですが、残念ながら、世間の移ろいを見渡すと、どうも逆の流れに進んでいるように思えてなりません。
卑近な例で恐縮ですが、労働組合の組織率はどんどん下がり、組合員の数も減り続けています。労働組合の精神は、一人は万人のため、万人は一人のため、というように、お互い様というか、無償のボランティア精神に支えられています。
私自身、現場の労働組合活動家として四半世紀、無償のボランティア活動に自分の時間を費やしてきました。とはいえ、それも実態を言えば、労働組合役員と言っても、当時から成り手がいない、人材不足で、私のようなものでも、誰でもよいから、担ってもらえないか?みたいなお寒い状況でした。
それでも、先輩や仲間と愚痴をいいながら、和気あいあいと取り組んだことは良い思い出ではあります。
とはいえ、現実には新自由主義改革とか、非正規労働者の増大、即ち解雇規制緩和が推し進められ、労働者の分断が始まりました。労働組合はなす術もなく、時代の奔流に押し流され、組織率続落のまま、今日に至ります。
貧すれば鈍する。最近では、労組ナショナルセンターの幹部も人材難に見えます。昔なら、あんなヘンナ”オバチャン“がリーダーに選ばれることはなかったと思います。
誰かのため、何かのため、という、「今だけ、金だけ、自分だけ」ではない、無償の精神が労働組合に今も生き続けていたなら、ここまでの体たらくにはなっていなかったのではないか、そんなふうに思えます。
日本では、ボランティア精神に支えられている「中間組織」(労組、PTA、町内会等)が崩れかかっている。そのことが、お互い様の精神を急速に失わせ、損得や金銭を介した冷淡な関係性にとって変わられつつあるのではないか?そんな心配を強くしています。
最近も、ご近所の若夫婦が町内会に入らないと、古参のご近所さんが嘆いていました。災害や防犯等で地域が助け合うことは多いのに・・・。
「今だけ、金だけ、自分だけ」という金銭や損得勘定の外側にあるものを、少し想像力を働かせて、見ようとする努力は、人には必要だと考えています。
とはいえ、労組とか、PTAとか、町内会とか、ヨコの繋がりのようなネットワークがドンドン薄くなり、断たれていく傾向が顕著になっています。そうしたヨコの繋がりが、タテの関係即ち権力や支配の体系から身を守るセーフティネットの役割はたす面があるのに、どんどん人びとから軽視されているのではないか?日本の将来が、その点からも心配になる今日この頃です。
私のお友達は腰の手術を受けたが完治せず歩くとき杖が欠かせません。
階段を使わざるを得ないとき困るのですが、彼は独力で上り下りするのを主義として他人の手助けを頑なに拒みます。
それは、都心の駅でのことでした。いつもの通り、私の手助けを拒み、右手で杖を持ち左手で手すりを掴み階段を下り始めたのです。それを目撃した若い学生が彼を手助けしようとしたのです。しかし、彼は拒みました。
彼が下り終わった後、「ああいう善意は受け入れた方がよいのではないか」と彼に言ったら、彼は「善意に甘えるわけにはいかないんだ」と答えました。
私はこういう若者の無償の手助けは喜んで受け入れるべきだと内心思ってます。
以下余談ですが、最近の若者には私たちの若い時より無償の手助けを惜しまない若者が多いように感じてます。その私のお友達もそう感じてると言ってます。
>>2
私も日本の将来を案じてます。
私のもう一人のお友達の次男坊は大型トラックの運転手さんです。このお友達は息子の重労働を心配してます。5年ほど前にこのお友達と一緒に米映画のアイリッシュマンを観ました。私は主人公の殺し屋役のロバート・デニーロには興味がわかずトラック運転手の労働組合チームスターの組合長役のジミー・ホッファに強い関心を持ちました。この組合は巨大な年金ファンドまで有し、大統領まで動かす実力組合だということでした。ジミー・ホッファがのSOLIDARITY!と労働者に呼びかける姿に私は感動しました。チームスターは今も健在だということです。一方、USSTEELの労働組合は新日鉄の買収に異議を唱えています。米国はいろいろ言われますが、組合は強そうです。この部分については日本人は大いに学ぶべきだと思うのですが、日本の現実を知りすぎる私のお友達は私のそんなはしゃぎには沈黙するばかりです。
>>4
アイリッシュマンは、私も早速見てみたいと思いました。ご紹介いただき、ありがとうございます。
それにしても、SOLIDARITYが強固なのは、我が国では、保守層、支配層のような印象が否めません。しかも、彼らは、柔軟かつ変幻自在でもあるような。
対する我が方、即ち被治者或いは庶民は団結には程遠いカンジです。悔しい限りです。
>>5
我が国の保守層は手詰まりに直面していて何やるか分かりません。団結して有事に手を染めることになるんじゃないかと心配です。