『カナダの教訓』は1992年に書かれたものである。

 「20年前に書かれた本が、現在でも読むに値する内容を持っているか」、それが読者の最初の質問であろう。

 「残念なことに」、意義を持っている。なぜ「残念か」は、この文章を読むことで次第にわかっていただけると思う。

 私は2012年8月『戦後史の正体』を書いた。この本は発売2か月で20万部を超えるという大変な関心を呼んだ。

私は、アメリカとの関係で、いかに対米隷属が幅をきかせているか、さらに自主を貫く日本の首相などがいかに政治的に抹殺されるかを書いた。そして『戦後史の正体』のあとがきで次のように書いた。

「長期政権となった吉田茂、池田勇人、中曽根康弘、小泉純一郎の各首相は、いずれも“対米追随”のグループに属しています。

  年代的に見ると一九九〇年代以降、積極的な自主派はほとんどいません。細川と鳩山という、自民党から政権を奪った首相