8日朝日新聞掲載論評。
この法律をつくることで政府の情報操作がより強まるのでは、と非常に懸念しています。イラク戦争前、「大量破壊兵器がある」という情報だけが出て、「ないかも」という情報が封鎖されたように、自らの政策に有利な情報だけが出て、それを疑うような情報は国民や政治家に示されなくなるのではないでしょうか.
これまで、我が国の外交・安全保障分野では、情報が漏れて国益が害された例より、国民や政治家が正しい情報を与えられなかったために判断を間違い、国益が損なわれた例の方が圧倒的に多かった。
尖閣諸島問題も、北方領土問題も、竹島問題も、過去の相手国との詳しい交渉・合意が、今日の方針を決める上で重要な役割を果たすのに、十分に知らされていない。歴史の出発点がわからないと、後世の政治までゆがんでしまう。
この法案の背景には、「海外で自衛隊を使いたい」という日米両政府の戦略がある。
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コメントを書く日本人の不思議な論理構造
1.我々の政府は自分たちを蔑ろにしている。2.我々の政府は米国の属国である。→ここから導かれる帰結→
3.それでも政府は権力の後ろ盾である米国よりも支配対象である我々を優先してくれるはずである。
はっきり言えば米国、政財界、官僚たちにとって鳩山、小沢を選出する潜在能力のある国民は抑圧こそすれ奉仕するインセンティブがまるでない。自分らの既得権益、特権を認める気のない農奴と交渉する地主なぞ存在しない。
キューバを見て欲しい。カストロ兄弟のうち兄のフィデルは保守政党に所属していて共産主義者ではなかった。ただ米国の支配から開放しよう試み、社会的に抹殺され国外追放された。キューバ国民は彼が死んだというバティスタ政府の放送を信じ込まされていた。そして革命後は米国によって今に至るまで正当性のないキューバに対する制裁が続いている。
我らが日本もそう遠くない未来にバティスタ時代のキューバと同様の様相を呈するだろう。毒が回るのが少々遅いだけで。そして米国からの独立は困難を極める。単に既得権を追い出すだけでは到底成功とは呼べないのだ。
我々は外交面でも成功しなくてはならない。幸いなことに我々はキューバより遥かに大国であり、ソ連よりも当てに出来る諸隣国がいる。独仏にとってのEU同様、東アジア共同体はまさに日本の国益に不可欠なのだ。