8日朝日新聞掲載論評。

この法律をつくることで政府の情報操作がより強まるのでは、と非常に懸念しています。イラク戦争前、「大量破壊兵器がある」という情報だけが出て、「ないかも」という情報が封鎖されたように、自らの政策に有利な情報だけが出て、それを疑うような情報は国民や政治家に示されなくなるのではないでしょうか.

これまで、我が国の外交・安全保障分野では、情報が漏れて国益が害された例より、国民や政治家が正しい情報を与えられなかったために判断を間違い、国益が損なわれた例の方が圧倒的に多かった。

尖閣諸島問題も、北方領土問題も、竹島問題も、過去の相手国との詳しい交渉・合意が、今日の方針を決める上で重要な役割を果たすのに、十分に知らされていない。歴史の出発点がわからないと、後世の政治までゆがんでしまう。

この法案の背景には、「海外で自衛隊を使いたい」という日米両政府の戦略がある。