半沢直樹は東京セントラル証券の部長として出向した。直後にIT企業の電脳雑技集団の平山社長夫妻が会社に訪れ、IT企業の雄東京スパイラルの買収(1500億円規模)の話を持ち込み、東京セントラル証券のアドバイザーを依頼する。半沢が担当部長となる。しかし後日、平山社長はこの依頼を取り消し、半沢直樹の親会社東京中央銀行にアドバイザーの依頼を変えた旨通告する。ここから、半沢の立場は一転し、電脳雑技集団の東京スパイラルの買収阻止の側につき、親会社東京中央銀行と対峙する立場を選択する。
筋書きは面白い。
一気に読んだ。沖縄への旅行中に読んでおり、疲れていたが、ホテルについても読み続け、終えたのは夜12時半だった。
何故、「半沢直樹」の本が読まれるのか。
根底に、現在の社会への不信がある。
過去我々は上司は「仕事、人格で上の人々」という漠然とした意識を持っていた、
しかし、社会の実像は違う。
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このところ一流ホテルやデパートのレストランなどで、食品の不正表示が続いている。これこそ今の大企業経営者が、目先の利益だけを考え、社会への貢献とか、信頼を無視しているかの表れだと思う。彼らは若い時から上司にかわいがられるように意識し、ゴマすりを続けてきたのだろう。その結果、経営者の地位についても、企業の発展より大過なく任期を全うすることを考えている。世界のトップを独走していた日本の電器業界が、韓国などに抜き去られたのも、そのためだろう。
こんな連中へ、ロスジェネが倍返しの逆襲。話しとしては面白いが、彼らは「保身」に関しては年季が入っている。なまじっかな作戦では、叩きつぶされてしまうだろう。むしろロスジェネが結集して起業し、企業競争でたたきつぶしてやる方が、可能性が高いのでは?。
半沢直樹的人間が活躍できる環境は、どういうものか。
組織のトップダウン伝達がスムーズに伝わらない、即ち、組織が同じ方向に向かわないので、業績が予定した成果を得られない状況が考えられる。
このような状況にあって、上司が個人的動機であろうが、社会情勢世間情勢を的確に判断し、ポストにこだわろうが、こだわらなくとも、真に会社に意見を具申し続けることは、会社の存続を考えても正しい行動といえる。また、会社にとって不可欠な行動とも言える。しかし、半沢直樹の行動が、己の考え方に相違した方向に会社が進むのに対抗して手練手管を使うとしたら正当性はきわめて薄い。また。半沢直樹の行動理念が個人的正義に執着するものであれば、当然正当性が弱い。私には、土下座を強要する半沢直樹には、人間性の面で同感できないが、多くの人が、其処に魅力を感じるとしたら、少し異常性を感じないわけにはいかない。