私は防衛大学校の教授をしていた時、学生に、外務省時代を振り返り、「植えられた所で花を咲かせなさい」としばしば助言した。「これから任務に就く。人事異動が頻繁に起こる。

決して、常に、自分がしたい仕事ばかりが来るわけではない。その時でも、植えられた所で花を咲かせなさい。必ず将来につながる」

 私が総合研究開発機構に国際部長として出向した時、国土開発省次官との会食に出た。

 彼はもともと大蔵省の人であったが、国土開発省の次官になったのだから、役人人生で成功した人である。話が人事になって彼はこう言った。

「大蔵省の仕事は大きく言って霞が関(本省)、地方自治体や公団などへの出向、海外がある。全ての人は霞が関(本省)で仕事をしたい。ここでは全力を出して働く。でも必ず、霞が関を出て、地方自治体や公団などへの出向する時がある。この時、どうするか。多くの人は、ここは休んで、次、霞が関に戻った時に全力にな