──ライフハッカー[日本版]より転載
コンタクトレンズの技術は、眼球に硬いプラスチックを乗せる以外に選択肢がなかった時代から、劇的な進歩を遂げています。しかし、光学的にいくら進歩していても、コンタクトレンズ装用時は避けるべきだと医師が勧告している行為がいくつかあります。
そのリストにシャワーと水泳が含まれているとしたら、あなたは驚くでしょうか? 私もかつてはコンタクトレンズ使用者(現在はメガネ愛好者)で、コンタクトレンズをつけたままシャワーをしていました。
無駄毛を処理するときに足をはっきりと見ることができて、本当にありがたいと思っていました。それは水泳のときも同じでした。しかし本当は、どちらもコンタクトレンズをつけたままではすべきではなかったということです。
今回は、2人の眼科医からコンタクトレンズの安全性について話を伺ったので、以下に重要事項をまとめておきます。
コンタクトレンズは有害物質が付着しやすい
image via Shutterstockアメリカ眼科学会のガイドラインは、コンタクトレンズをつけたままシャワーを浴びたり、水泳をすることについて、非常に明確な態度を示しています。つまり、しないことをすすめています。
その主な理由として、カリフォルニア州サンタモニカのProvidence Saint John's Health Centerの外科神経眼科医Howard R. Krauss博士は、米Lifehackerに対し、「コンタクトレンズはスポンジのようなものであり、アメーバやバクテリア、ウイルス、有毒化学物質が吸着しやすく、目を痛めるリスクが高まるため」だと説明しました。
カリフォルニア州ファウンテンバレーにあるMemorialCare Orange Coast Medical Centerの眼科医Benjamin Bert博士によると、プールやお風呂の水には、深刻な、時には失明に至る角膜感染を引き起こす可能性のあるアカントアメーバ寄生虫が潜んでいることが知られているそうです。
Krauss氏が指摘する通り、アカントアメーバは水道水や淡水池、湖、川のなかにも存在します。「目の中に水が入ると、アカントアメーバがコンタクトレンズに付着し、最終的には角膜に侵入して感染症を引き起こす可能性がある」とBert博士は説明しています。
アカウントアメーバが引き起こす症状
image via ShutterstockBert氏によると、アカントアメーバ角膜炎にかかる人の80%は、コンタクトレンズユーザーなのだそうです。つまり、コンタクトレンズを使わない人たちに比べて著しくリスクが高くなるということ。
この感染症にかかったら、ただちに治療を受けることが重要です。感染すると激しい痛み、かすみ目、光過敏などの症状が見られる、と同氏は説明しています。
悪いニュースは、感染が進行すると角膜に深刻なダメージが引き起こされ、瘢痕化したり、緊急の角膜移植を必要とする穿孔に至る可能性があるということです。
良いニュースは、アカントアメーバからの感染は非常にまれだということです。「コンタクトレンズの衛生状態が良好で、アカントアメーバを含む可能性のある感染源との接触がなければ、感染のリスクは非常に低い」とBert氏は言っています。
コンタクトレンズ装用時に目に水が入った場合の対処方法
image via Shutterstockコンタクトレンズを着用中に、誤ってシャワーを浴びたり、水の中で泳いでしまった場合は、「コンタクトレンズを取り外して、新しいものと交換するのが最も安全である」とKrauss氏は言っています。
もっとも、この対処法が実用的なのは使い捨てレンズを使っている人に限られます。使い捨てでないレンズを使っている人は、レンズを徹底的に洗浄するようにと同氏は言っています。
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Krauss氏「コンタクトレンズは可能ならつけない方がいい」
image via Shutterstockもちろん、Krauss氏が指摘するように、人生にはさまざまな落とし穴があり、いかなる決定においても完全に安全な選択肢というものはありません。目の健康のためには、「基本的にはコンタクトレンズをつけないほうがいい」と同氏は言っています。
とはいえ、コンタクトレンズを使っている推定4500万人のアメリカ人が、寄生虫に感染するリスクがあるという理由で、メガネに切り替えたり、レーシック手術を受けたりはおそらくしないでしょう。
「コンタクトレンズを使い続けるなら、くれぐれも就寝前にはコンタクトレンズを外すように」とKrauss氏は念を押しています。目を閉じている間は角膜が酸素不足ぎみとなり、起きている間と比べて、感染リスクが14倍に跳ね上がるからです。
一方で、視力が非常に悪いのに、アカントアメーバを恐れてコンタクトレンズをつけないことを選択する人たちは、「滑って首の骨を折る危険が高まるだろう」とKrauss氏は言っています。
シャワー中や、川でのラフティングや水泳中の怪我や死亡事故のほうが、アカントアメーバ角膜炎よりも高い確率で発生している、と同氏は指摘します。
つまり、あらゆることにリスクがつきまとうということですので、それぞれができる限りのことをしてください。ただし、シャワーや水泳をする前には、コンタクトレンズを外すことをおすすめします。
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