岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/09/07
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/08/05配信「人類は、人工知能ではなく、機械に職を奪われる?!」の内容をご紹介します。
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2018/08/05の内容一覧
- 今後の予定
- サブテキストの紹介
- 機械に仕事を奪われる?
- 『母をたずねて三千里』で描かれた機械による失業
- 機械に仕事を奪われることの怖れが現れた、ジョン・ヘンリーの伝説
- 農地を捨て都市に出てきた労働者の悲惨を描いた『怒りの葡萄』
- 現在のAIは「人工知能」ではないけど、役には立つ
- シンギュラリティでお金を集める起業家達
- 人工無脳の世界
- 人工知能を作ることは原理的に不可能?『AI原論』
- 人の8割が計算機に負ける
- 岡田斗司夫が考える未来
- ジブリ『熱風』の特集「移民大国日本」
- 20年後にシンギュラリティはやってこない
シンギュラリティでお金を集める起業家達
なぜ、僕がIBMのWatsonの話をしたのかというと、ベンチャーの起業家とか一発当てたい学者というのは、こういう研究結果を持ち出して「ほら! Watsonはここまで進歩してますよ! 人間を超える日はすぐです!」とか言うもんだから、それを信じてしまう人が後を絶たないからなんですよ。
その1人が、僕がこういうトンデモ技術のことを話す時に、いつも例に出す、孫正義です。
ソフトバンクの孫社長は、騙されやすいのか、もしくは、大げさに言うのが好きなのか、「シンギュラリティ……つまり、コンピューターが人間の知性を超えて、自分自身のプログラムを自分で組み直して、ひたすら高性能になっていき、ついには人間が理解できない存在となる日が来る!」と、自分で言うには本当に信じているそうで、講演でそんな話を言いまくって、その結果、自分のビジネスをどんどん大きくしようとしているんですね。
これ、別に孫さんだけじゃないんですよ。
この間、ある大学の教授が語った「シンギュラリティを起こすようなAIは開発可能だ。僕はこれから、それを実現するベンチャーを立ち上げる」という話を、頭から信じちゃった某・超一流のマスコミの人が、僕のところに話に来たんですよ。
「岡田さんはシンギュラリティに疑問みたいですけど、ベンチャーを立ち上げようとしている教授までいるんですよ!」って。
だから、僕は思わず「いや、その人がまともな学者だったら、まずベンチャーを起こさずに「学会」で発表するよ」って言ったんですよね。「20年後に可能になるから」って言ったそうなんですけど、「可能になるのが20年後なのに、今日明日から金を集めるようなヤツを、俺は信用しない!」って(笑)。
なんか、「ベンチャー立ち上げよう」という時点で、その人は、学者じゃなくて「ビジネスマン」に足を突っ込んじゃってるんだから、その人の言っていることは、以後は学者としてではなくて、ビジネスマンとして聞かないとダメなんじゃないかと。
もちろん、カール・セーガンみたいに、ビジネスマンと学者を両方やったり、もしくは自分の研究発表っていうのでベンチャーを立ち上げてお金を集めようとした立派な人はいっぱいいるんですけども。
でも、「20年後の話なのに、今から金を集める」というところに、僕はものすごく信用ならない何かを感じたんですけどね。そして、シンギュラリティを信じている孫さんと同じような、「これを信じてはいかん!」という電波を受信してしまいました。
僕は、こういうのも、ザ・タークと呼ばれたチェス人形と、同じなんじゃないかと思うんですよね。
本の話に戻ります。
この本の中で、「コンピューターというのは、所詮、数学で動いている」と書かれています。
「数学で記述可能なもの、つまり、コンピューターが理解可能なものは、たった3つしかない。その3つというのは「論理」、「確率」、「統計」だ」と。
論理というのは何かというと、「足し算」と「掛け算」。引き算というのはマイナスを足し算することだし、割り算というのは「○分の1」を掛け算することですから、コンピューターにできることっていうのは、足し算と掛け算しかない。
ただ、この足し算と掛け算を、ものすごく複雑に組み合わせると、論理というものが出来る。だから、コンピューターは論理を理解できるし、扱える。
次に、「確率」というものも扱える。そして、「統計」というものも扱える。
この3つしかないんですね。
そして、この3種類をうまく組み合わせて、やりくりすると、WatsonとかSiriが出来るわけです。
WatsonもSiriも基本的には統計です。まあ、Watsonの場合は、それよりちょっと上等に論理という回路も使っているので、すごく知性があるように見えるんです。
「じゃあ、これらの「AIもどき」、人工知能ではなく「人工無脳」たちというのは、本当にペテンなのか? 役に立たないのか?」というと、違うんです。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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