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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『ジョーカー』を見て落ち着かない人へ〜ネタバレあり考察」

    2019-10-31 07:00  
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    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/31
     今日は、2019/10/13配信の岡田斗司夫ゼミ「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」からハイライトをお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
     では、ここから先はネタバレで語ります。さっきの「ネタバレ注意」のフリップが出ている時は注意してください。
     ここから先は、以下の3種類の人向けです。  なぜ、今日、この話をするのかと言うと、この『ジョーカー』という映画、なんだかんだ言っても見ない人が多いと思うからなんですよ。それはもったいないと思うんです。  なので、これから話すネタバレありバージョンは誰のためかというと「1.そもそも『ジョーカー』をもう見た人」。  あと「2.見る前にどんな話かを十分に吟味したい人」。つまり、全部どんな話かを聞いた上で「ああ、1800円の値打ちがあるな」と思ってから見に行きたい人。  そして「3.見るつもりが全くない人」ですね。    そういう人のために向けた「だいたいどんな話か?」という解説です。  じゃあ、ここからはネタバレです。
    ・・・
    (「ネタバレ注意」のパネルを出す)
    【画像】ネタバレ中パネル ええと、もう、ネタバレが嫌な皆さんは音を消してくださいね? 見ちゃダメですよ?
     まずは、正しい映画を見る順番です。  まず『ジョーカー』を見てください。明日でも結構です。さっきから「明日行く」って言ってる人がいるんですけど、ぜひ明日行ってください。  その次に、帰ってきたら『タクシードライバー』を見てください。  さらにその次に『キング・オブ・コメディ』を見てください。  で、最後にもう一度『ジョーカー』を見に行ってください。
     この4段階で『ジョーカー』というのは出来ています。  まあ「正しい」ということはないな。これが岡田斗司夫オススメの見方です。  まずは普通に『ジョーカー』を見てから『タクシードライバー』を見て『キング・オブ・コメディ』を見て、もう一度『ジョーカー』を見る。この順番が、僕は一番オススメなんですけど。  この理由は後で説明します。
    ・・・
     「この『ジョーカー』は、悪のカリスマ映画ではなく、悪のインフルエンサー映画だ」というふうに言いました。  どういう意味かというと……ネタバレだから話しちゃいますけども。
     実は主人公のアーサーというのは、天才でないどころか、逆に障害者なんですね。子供の頃に母親の彼氏から受けた暴力が元になって、脳に障害を負ってしまった、と。  アーサーはいつもノートを持っているんです。これは彼にとって日記帳であり、おまけにコメディアンとしてのネタ帳なんですけど。そのネタ帳が、誤字脱字だらけなんですよ。この誤字脱字具合というのは、明らかに知能障害というか、そういうタイプの人のスペル間違いだったり文章なんですね。  「教育されてないから」じゃないんですよ。そうじゃなくて、純粋に「知能そのものに問題がある」んです。だから主人公アーサーは、まともな職にもつけず、友達もいないんですね。  ここら辺は、もうすごくサラッと描いているんですけど。「なぜ、彼に友達がいなくて、まともな仕事がないのか?」というのは、あのネタ帳の文字を見せたところで、だいたいわかるように出来ているわけですね。
     彼は「他人を笑わせたい。幸せにしたい」とずーっと語ってるんですけど。これも、セリフでそう言っているだけであって、本音じゃないんですね。  映像的に見たら、冒頭で「ピエロのメイクをしながら涙を流す」というシーンを見せている時点でわかる通り、本音ではなく、母親から植え付けられたものなんです。  「人を幸せにしなさい」とか「そういうふうにしている時、あなたはすごくかわいいわよ」と言われ続けた。つまり、母親に植え付けられた洗脳なんですよ。  だから、冒頭のピエロメイクで笑う練習をしている時、やっぱり涙を流しちゃうわけですね。それは、抑圧されてるから。  「本人でも意図しない時に笑ってしまう」というアーサーの特徴も、なんか病気みたいに言われてるんですけど、これも脳の機能性障害ではなく、明らかに「いつも自分の本音を押し殺しているから、意図しない時に笑いが出てしまう」んです。  だから、ラストの「他人を殺して笑うシーン」では、ちゃんと、本人が意図した通りに笑えているんですね。脳の機能性障害だったら、やっぱりあの時も違う反応をしていたはずなんですよ。  押し殺されているものが解放されたから笑っている。他人を自分が殺した時に心の底から笑えるというのは、脳の機能性障害ではない証拠なんですね。
    ・・・
     じゃあ、アーサーが「目指さなきゃいけない」と思っていた笑いというのは何かというと、これも危険なネタで。  僕は、これまでにも、このニコ生ゼミで「笑いとは攻撃の裏返しだ」と言っているんですけど。  僕らは、だいたい、ダメなヤツとか憎らしいヤツがやっつけられた時に、笑うわけなんです。  だから、それをひっくり返すといじめになる。いじめって、いじめる側が笑ってるじゃないですか。で、いじめられている側も、自分を守るために、無理矢理笑わされますよね?  笑うことで自分を守るフリをするんですけども、いじめるヤツらは楽しそうに笑う。  これ、なぜなのかというと、笑いというのは本来「ハッピーなこと」ではなくて「攻撃性の証明」だからなんですよ。  お笑い芸人の笑いというのは、いじめの要素というのをいつでもかなり孕んでいる。なので、それを指摘されると、お笑い芸人さん達はみんな逆ギレするわけですね。  Aマッソという芸人さんが、最近、ちょっと差別の問題で炎上したりしたんですけども、あの例を見るまでもなく、笑いというのは基本的に差別であって、いじめなんですね。その分「危険で面白い」んですよ。  たぶん、天国には笑いなんかなくて、微笑み程度しかないんです。逆に、地獄には笑いが溢れてると思うんですけど。  「お前、バカだな!」という言い方でも、仲のいい友達同士という関係性があれば、笑いが生まれるんですよ。  でも、それがなかったら、「お前、バカだな!」というセリフも、いじめになっちゃう。  例えば、ワンマン社長が、悪気なしに、自分の手下だと思っている社員に「お前、バカだな!」と言うと、言われた社員の中には「ワンマン社長からこんなこと言われた!」って、パワハラだと感じる場合があるんですね。  ワンマン社長にしてみれば「俺とお前は家族みたいなものじゃないか! そういう関係性があれば、こういう言葉も冗談だってわかるだろ?」と思ってるんですけど、ところが雇われている平社員の方は家族だなんて思ってないんです。  そういった関係性を否定しているから、この言葉もパワハラにしかならない。こういうことって、よくありますよね?
     つまり、いじめと笑いとの差って何なのかというと「仲がいい関係が成立しているかどうか」なんですよ。  仲のいい関係が成立していたら、それは急に許される笑いになる。逆に、全く同じことを言ったとしても、彼らの間に仲のいい関係が発生してなかったら、それはいじめになってしまう。  これをちょっと押さえておいてください。
     で、ここで問題です。  アーサーというのは、障害者で、知能が低いわけですね。なので、友達がいないんですよ。つまり「彼は誰からも関係を求められていない」。  「アーサーには友達がいない」ということを、さっきから繰り返していますけど、これなんですよ。アーサーというのは、誰からも関係を求められずに、みんなから放って置かれているわけですね。「お前はおとなしくしてろ!」と言われている、と。  つまり、アーサーにとっては、誰に何を言われても全てがいじめになっちゃうし、逆に、アーサーから誰かに関係を持って言おうとしても、それは全て「気持ち悪い人が、いきなり変なことを言い出した!」になっちゃう。  これが『ジョーカー』の切ない真実っていうやつなんですよ。
     だから、アーサーはコメディアンになれないんです。笑いを生み出せないんですね。  だけど、いじめる側になれば、笑うことが出来る。なので、最終的に彼は社会をいじめる側に回ったんですけどね。
    ・・・
     この映画を見てたら、途中、ゴッサムという街中で、ピエロのマスクを被って、デモをやったり暴動を起こしたりする人がでてくるんですけど。  やっぱり、ああいう人らもみんな、アーサーほどではないにしろ、周囲から求められていない人ばっかりなんですね。  電車の中にピエロ姿のヤツらが乗ってるシーンがあったんだけど、ほとんど誰も会話していない。  あれって何かと言うと「ここに乗っている1人1人が、この社会の中で孤独に生きていて、誰も友達がいない連中だから」なんですね。  だから、そんな中で一度喧嘩が起こると、もう誰にも止められなくて、ひたすら暴走していく。  あそこで喧嘩が起こった瞬間に、警官を誰かを殴った瞬間に、彼らの中に初めて敵と味方というのが発生したんです。彼らはそれまで友達がいなかった分、そこで自分の仲間というのに「ああ!」って気が付いたんですよ。  だから、彼らはゴッサムの中で、街に火をつけたりするような極端な暴動が出来るんです。
     僕らは、特に男性のは、こういう孤立の仕方が多いんですね。  なので、友達がいない系の男の人らには、あの映画って、メッチャクチャ魂に来るわけです。  僕も僕で、魂に来て、これを見てる時はたまらなかったんですけどね。  だから、「タクシーですれ違う人の中に、アーサーがピエロを見る」というシーンが必要だったんですよ。  このピエロを見るシーンというのは、本当にすれ違ったタクシーの車内にピエロ姿の男がいたかどうかはわからないんですね。これは、単に、アーサーの妄想かもわからないんですよ。それが、この映画の作り方の上手いところなんですけど。  ただ、このシーンからわかるのは「タクシーの後部座席には、3人いた」ということ。その内、2人は話をしていて、その話に加わらずに窓の外を見ている人がピエロのマスクを被っていたんですよ。  これってどういうことかというと「3人で移動している最中に、仲間外れになりがちなヤツが、ピエロになる」ということなんですね。  この映画の中で「ピエロになる」ということは、つまり、「必要とされていない存在である」ということなんです。  「お前は大人しくしてろ!」と、いつも言われている人達というのが、あの映画の中では暴れる側なんですよね。  そういう人達というのは、いつもこの社会では「大人しくしてろ!」と言われる側なんです。清掃業者がストライキしてゴッサムの街がゴミだらけになっても、失業率が高くなっても、「とりあえずお前らは大人しくしてろ!」と。「頭のいい人達が解決してくれるんだから、お前らみたいなのが何か言っても始まらないぞ!」と言われているわけです。
    ・・・
     『デビルマン』という永井豪が描いたマンガの、確か5巻だったと思うんですけど、「人間がデーモンに変身する」というデマが流れたおかげで、政府がデーモンになりそうな人間たちを駆除するという、そういう機動隊の話があったんです。  その中で、機動隊がとある地区に突入する時に「この地区の人民は、以前、政府に対してデモをしたことがある、暴動を起こすかもしれない人民である! なので、先に制圧する! もし彼らが暴動を起こさないんだったら、暴動を起こすように仕向けろ!」って言ってから、突入していくシーンがあるんですけど。  やっぱり、これは、永井豪が小柄でビビリな人間だったから描けるシーンなんですね。永井豪は、いわゆるこちら側の人間だったから、ああいう恐怖というのを描けるわけなんです。  「彼らはやがて立ち上がって襲ってくるに違いない」という恐怖から生まれたストーリーなんですよ。  例えば、煽り運転とかをした人に対して……もちろん、煽り運転をするような人達というのは、本当に嫌なヤツばっかりで許せないんですけど。でも、そういう人達に対して、またネットの人達というのは、リンチ的な「晒し」というのをやるじゃないですか。  この、リンチみたいなことをやるのも「ああいうヤツがいる」という恐怖心があるからなんですよ。  実は、さっき話したような、スマホを持って歩いている女の人に体当たりするような男も、煽り運転をやるようなヤツらも、実社会ではあんまり仲間がいないようなヤツらなんですけど。「そういうヤツらを大人しくさせておきたい」とか「そんなヤツらの正体が見えた瞬間に、みんなで潰そうとする」というのは、やっぱり、そういう人達に対する恐怖心があるからなんです。  僕らは、そういう人らに対する対処法を知らないんですね。  現実の問題の例えとして、煽り運転とかそういうのを使うと、もう本当に生々しくなり過ぎるんですけど。
     「じゃあ、どうすればいいんだ?」と。  「あんなヤツらは全員捕まえて、刑務所に放り込め!」って言えりゃあ楽なんですよ。でも、本当に全員に対してそれをするというのは問題ですよね。  この「捕まえて刑務所に入れろ!」というのは「僕らの見えないところへ連れて行ってくれ!」という意味なんですよ。「そういうヤツらは見たくないから、僕らの生活を邪魔しないところへ連れて行ってくれ!」と。  これは、この『ジョーカー』という映画の中で、アーサーが言われていることと全く同じなんです。  アーサーがいつも言われている、「お前らは、乱暴者だったり、知的障害だとか、障害者だったりして、この社会の中で俺達が見えるところにいたら邪魔だから、どこかで大人しくしてくれ!」というのと、全く同じなんですけど。
     さっきも言ったように、僕らは、ああいう人達に対する対処法を知らないので、誰からも嫌われてたり、疎まれてたり、なんか周りから浮いている人に親しく話しかけられたら、なんかこう、逃げちゃうんですね。無視して笑うか、逃げるかしたり「大人しくしてろ!」と思っちゃうんです。  だから、劣っている者が他者と関係を持つためには「友達になる」のではなく「恐れられる存在になる」しかないんですよ。  アーサーみたいな人が周りの人間と関係を持とうと思ったら、「優しい人を探して友達になる」よりも、もっと簡単で単純なのは「怖がられる」ことなんです。  昔、落ちこぼれが暴力団に入ったのは当たり前で。子供の頃は、ある程度、クラスの中を暴力でシメたり出来るんですけど、中学生くらいになってきたら、暴力を振るってると、周りから段々浮いてきて、避けられるようになってしまう。仕舞いには、誰も相手にしてくれなくなる。そうなったら、もう、暴力団みたいなところに入って、周りからビビられることで、関係を作り直すしかなくなってきちゃうんですね。
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    2019/10/13 #303 「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」
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    ジブリ特集
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    岡田斗司夫ゼミ#258:アポロ計画と4人の大統領
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    岡田斗司夫ゼミ
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『ジョーカー』が描くカッコよさと美しさ、そしてリアリティ」

    2019-10-30 07:00  
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    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/30
     今日は、2019/10/13配信の岡田斗司夫ゼミ「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」からハイライトをお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
     ところが、この『ジョーカー』はそういう映画ではないんですよね。  この辺、ネタバレじゃないから話しておきますけど。  で、僕は「そういう映画じゃないからこそ、すごい」と思うんです。
     さっきも話したように、タイツを履いたスーパーヒーローがビルをぶっ壊したりするような極端な映像がないので、画面の中にCG加工というのがあまり見えない。これ、「CG加工がない」わけじゃないんですよ。「あまり見えない」んですね。「なので、没入感がすごくてリアリティがある」と、さっき話したんですけど。  それと同じように、この映画に出てくるジョーカーも、非現実的な悪のカリスマじゃないんですよ。あのね、悪のインフルエンサーなんです。「悪のカリスマであり、悪の象徴」ではなくて「悪というものを人々の間に上手く流行させるインフルエンサー」として描いているところがすごいと思うんです。  この『ジョーカー』というのは「それに影響された人達が、勝手に祭りを起こす」という映画なんです。これは、YouTubeとかインスタ時代のインフルエンサーとまるで同じで、設定的にもすごくリアリティがあるんですね。  この絵としてのリアルさと、設定のリアルさが、ダブルで迫ってくるから、ヒーロー映画なのにわりと文芸っぽい高級感が映画全体から出てるんですね。
     例えば『スーパーマン』の青とか『バットマン』の黒のように、ヒーローものにはシンボリックなカラーというのが出てくるんですけど。  この『ジョーカー』では、黄色の出し方がオシャレで良いんですよね。 (パンフレットを見せる)
    【画像】パンフレット ©2019 Warner Bros. まあ、本当に画面のカラーのシーンとかでも、こういうモノクロっぽい感じにのシーンにしても、この黄色いチョッキみたいな色の出し方とかが、ものすごくオシャレなんですよ。  他にも、このパンフレットの表紙になっているシーン。 (パンフレットを見せる)
    【画像】パンフレット表紙 ©2019 Warner Bros. これは、アーサーという人間が、ピエロのメイクをして、笑う練習をしているシーンなんですけど。ここで早くも、彼の頬には涙が一筋流れてメイクが落ちかけているんですね。  これ、何かというと、冒頭のシーンなんですよ。本当に映画のド頭のシーンで、主人公がピエロのメイクをしているんですけど、そこで涙がちょっと出ちゃう。つまり「彼は笑われるピエロになりたかったんじゃなくて、笑わせるコメディアンになりたかったんだ」ということです。  そういう本音を押し殺しているので、その本音が、セリフではなく、メイク中の映像として、一瞬だけ出ちゃうわけですね。  このシーンって、もう本当に、冒頭の5秒か10秒くらいなんですよ。それだけで、この映画が持っている高みというのを、一番最初っから見せてるわけですね。  演技も本当にすごいんですよ。「あのタイミングで、よく涙を出せたな」って思うんですけど。片目だけスッと出て来るところに、演技の上手さというのがあります。  後にジョーカーと呼ばれることになる主人公のアーサーは、この映画の中で「善良で悪いことが出来ない人」という設定から始まって、ゴール地点であるラストでは「明らかに悪い人」にちゃんと変化して行くんですよ。  でも、この変化の理由は「悪の魅力に取り憑かれたから」ではないし、「正義の嘘に気がついたから」というような、よくある理由でもないんです。「俺はそういう正義の欺瞞を暴いてやるんだ!」っていう『ダークナイト』のジョーカーみたいなタイプでは全然ないんですね。  これが、もう本当に、まるでドキュメンタリーを見ているかのような衝撃感なんですよ。  その反面、ドキュメンタリーを見ている感じなので、観客としても悪のカリスマの魅力に酔いしれたり出来ないんですね。  この映画を見ている時、観客には「自分も悪になるかもしれない」という恐怖感があるんですけど。これは、ドキュメンタリー映画やドキュメンタリー番組を見た時……障害者のドキュメンタリーとか、貧困への転落のドキュメンタリーってあるじゃないですか。あれを見た時の不安に近いんですよ。  「自分も、いつ交通事故に遭って車椅子生活になるかもしれない」とか「自分もいつリストラをされて、運が悪かったら、こんなふうに貧困に落ちていくかもしれない」という、あの恐怖感に近い。  そういうリアリティを持って「自分も悪に落ちるかもしれない」という恐怖感を描いた映画なんですね。
     そこが本当に新しい。  そういうことを普段、想像していない人、「自分は悪の側なんじゃないか?」とか「自分こそが悪なんじゃないか?」だなんて想像していない普通の善い人に対して「いや、悪になっても仕方がないよ?」というか「もしかしたら、その方がアーサーのように楽になれるよ?」と誘惑する悪のインフルエンサー映画なんですよ。  まさに恐怖の映画ですね。
    ・・・
     キリスト教における悪魔というのは「悪いことをするバケモノ」じゃないんです。「人間に対して悪いことを持ちかける存在」なんですよ。悪の道へと誘惑する者を悪魔と呼ぶんですね。  「そういった悪魔的な行動を、アーサーがしてしまう」という話です。
     悪に落ちて行く人間を取り上げること、映画の中に出すこと自体は、そんなに珍しいことではないんです。  例えば、さっき話した『まどマギ』だって、そういう話なんですよ。『まどマギ』に登場する魔女と呼ばれる巨大な怪物みたいなヤツは、みんな、悪に落ちて行った人間の成れの果てなんですね。それが敵役になるんですけど。  ところが『まどマギ』という作品は、最後には魔女になる人間の主観を途中までは描くんだけど、最後まで描いたりはしないんですね。  魔女になる直前くらいまでは、魔女の視点で描くんですけど、でも、闇落ちしてしまったら、必ずカメラは主人公であるまどかたち魔法少女の側に行って「なんでそんなことになってしまったの!?」と嘆きはするんですけど、魔女になってしまった人間の気持ちを描いたりはしないんです。
     昔、『前略おふくろ様』という70年代のホームドラマがあったんですけど。  その中に、お兄ちゃん役のショーケン(萩原健一)の妹分として、桃井かおりが演じる海ちゃんっていう女の子が出てくるんです。その海ちゃんも、こういう堕ち方みたいなものをするんですよね。  海ちゃんは頭が良くないから騙されて堕ちて行く時に「私はもう仕方ない。これでいいの! お兄ちゃん、余計なこと言わないで! 構わないで!」って、意地になっちゃうんです。それを見ている主人公のショーケンは、自分の無力さに打ちひしがれるしかない。  これもやっぱり、ショーケンの側からしか描けないんですよ。
     でも、それを海ちゃんの側から描いたらどうなるか?  『まどマギ』の魔法少女だって、魔女になってしまったかつての仲間を見て、自分の無力さに嘆くけど、最後は「魔女っ子達の勝ち」で、やっぱり終わるわけなんです。  だけど、この『ジョーカー』という映画は、ショーケンとか、まどかたちのような正義の味方が存在しない世界なんです。  「ヒーロー不在のリアルな世界で堕ちて行くとはどういうことか?」というのを、もう本当に、正面から描いちゃったんですね。
     だから、そこには、カッコよさとか美しさが全くないんですよ。  なので、ヒーロー映画を見に行った人、いわゆる悪の魅力を見に行った人は、やっぱりガッカリするわけですね。  本当にカッコよさとか美しさはないんです。まあ、ゴミに溢れたゴッサム・シティよりも、ゴミも含めて全てが燃やされて行くゴッサム・シティの方が、まるでテレビの中とかネオンサインのように、ジョーカーには美しく見えただろうけども。  なので、そっちの方を期待していくと、ちょっとシンドいかもしれません。
     はい、ネタバレなしで『ジョーカー』を話すというのは、やっぱり、この辺が限度なので、ここらでネタバレなしは終わりにしたいと思います。
    記事全文は、アーカイブサイトでお読みいただけます。
    2019/10/13 #303 「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」
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    岡田斗司夫ゼミ#299:『Dr.STONE』元ネタ『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』徹底解説!
    岡田斗司夫ゼミ#300:雑談スペシャル&視聴者からの悩み相談
    岡田斗司夫ゼミ#301:『なつぞら』総決算+マンガ版『攻殻機動隊』解説 第3弾
    岡田斗司夫ゼミ#302:味を超越した“文化としてのハンバーガー論”
    岡田斗司夫ゼミ#303:映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史
    マンガ・アニメ夜話
    ガンダム完全講義1:虫プロの倒産とサンライズの誕生
    ガンダム完全講義2:ついに富野由悠季登場!
    ガンダム完全講義3:『マジンガーZ』、『ゲッターロボ』から始まる映像革命
    ガンダム完全講義4:第1話「ガンダム大地に立つ!!」解説
    ガンダム完全講義5:第2話「ガンダム破壊命令」解説Part1
    ガンダム完全講義6:第2話「ガンダム破壊命令」解説Part2
    ガンダム完全講義7:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part1
    ガンダム完全講義8:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part2
    ガンダム完全講義9:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part3
    ガンダム完全講義10:第4話「ルナツー脱出作戦」解説
    ガンダム完全講義11:第5話「大気圏突入」解説
    ガンダム完全講義12:第6話「ガルマ出撃す」解説Part1
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    ガンダム完全講義14:第7話「コアファイター脱出せよ」解説Part1
    ガンダム完全講義15:第7話「コアファイター脱出せよ」解説Part2
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    ガンダム完全講義17:第8話「戦場は荒野」解説Part2
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    ガンダム完全講義19:第9話「翔べ!ガンダム」解説Part2
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「今日のニコ生は、岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話「ガンダム完全講義〜第30回」です!」

    2019-10-29 07:00  
    9999999pt
    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/29
     今日は、岡田斗司夫のコンテンツ情報をお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
    本日の岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話は 10月29日(火) 20:00~ 「機動戦士ガンダム完全講義〜第30回
    『岡田斗司夫ゼミ (無印)』会員
    『岡田斗司夫ゼミ・プレミアム』会員
    です。
    ニコ生テキスト全文公開
     2019/10/15配信の岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話テキスト全文をアーカイブサイトで公開中!

    2019/10/15 マンガ・アニメ夜話 #28 「ガンダム完全講義28:第12話「ジオンの脅威」解説Part1」

    自宅と事務所について
    富野監督vsスポンサーの影響と大河ドラマ『ガンダム』
    「ニヒルなキャラは華々しく死ね」補足
    初めてロボットアニメに持ち込まれた「自然主義の描写法」
    観客シーンとアニメの自然主義について補足
    自宅と事務所について
     こんばんは、岡田斗司夫の『機動戦士ガンダム』完全講座。  今日から、第12話「ジオンの脅威」に入ります。  急にまたアロハに戻りましたけど。これは「なんとなくスーツを着るのが面倒くさかったから」で、正直、ちょっと肌寒いんですけど。  先週『ジョーカー』を見たので、なんとなく黄色っぽいのを着たいなと思って、着てみました。  このシャツの上にいきなりスーツを着るのもいいんじゃないかなと、ちょっと考えているんですけど。まあまあ、そういう僕のオシャレなどの話はどうでもいいですね(笑)。
     前回の「イセリナ、恋のあと」はイベント会場での録画映像だったんですけども、今回から始まる「ジオンの脅威」の解説は、久しぶりにニコ生のスタジオというか、自宅というか、事務所での講義です。  なんで「事務所」と「自宅」って言い換えているのかというと、前に住んでた場所が、事務所なのか自宅なのか、もう自分でもわからなくなってて。  今、ようやっと、事務所というか、仕事場と自宅が完全に分かれて、歩いて何分かかかるところに移動したんですけど。  かつては、仕事場と自宅が随分遠い、30分くらいかかる場所にあって、その後、歩いて数分になって、一時期はそれが一つになっていて、そして、また分かれてということをやってきたので、もう、自分の中でもすごい混乱しているんですよね。  今日の映像は、そんな事務所の一角に、こういう感じでセットを組んでやっていた、懐かしい時代の映像です。
     今日は「ジオンの脅威」の全6回ある解説のうちの第1回なんですけど。  前半の無料部分は、内容に入る前の前フリの部分だけです。  これについては後で話しますから、とりあえず見てください。どうぞ。
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    ジブリ特集
    岡田斗司夫ゼミ#212:『天空の城ラピュタ』完全解説① 〜超科学とエロス
    岡田斗司夫ゼミ#213:『天空の城ラピュタ』完全解説② 〜幻の産業革命が起こった世界
    岡田斗司夫ゼミ#297:『天空の城ラピュタ』完全解説③ 〜スラッグ渓谷とポムじいの秘密
    岡田斗司夫ゼミ#296:『崖の上のポニョ』を精神分析する〜宮崎駿という病
    岡田斗司夫ゼミ#298:『崖の上のポニョ』はどうやって生まれたか 〜空想で現実を書き換える
    月着陸50周年特集
    岡田斗司夫ゼミ#269:恐怖と贖罪のホラー映画『ファースト・マン』完全解説
    岡田斗司夫ゼミ#258:アポロ計画と4人の大統領
    岡田斗司夫ゼミ#250:白い悪魔“フォン・ブラウン” 対 赤い彗星“コロリョフ” 未来をかけた宇宙開発戦争の裏側
    岡田斗司夫ゼミ#291:アポロ宇宙船(前編)〜地球が静止した1969年7月21日とアポロ11号の打ち上げ
    岡田斗司夫ゼミ#292:アポロ宇宙船(後編)〜月着陸と月面歩行
    岡田斗司夫ゼミ
    岡田斗司夫ゼミ#287:『アラジン』特集、原作からアニメ版・実写版まで徹底研究!
    岡田斗司夫ゼミ#288:映画『君の名は。』完全解説
    岡田斗司夫ゼミ#289:NASAとLINEの陰謀、スパイダーマンをもっと楽しむためのガイド
    岡田斗司夫ゼミ#290:『進撃の巨人』特集〜実在した巨人・考古学スキャンダルと、『巨人』世界の地理
    岡田斗司夫ゼミ#293:『なつぞら』特集と、『天気の子』解説、“禁断の科学”の話
    岡田斗司夫ゼミ#294:『千と千尋の神隠し』の不思議な話と、幽霊、UFO、怪奇現象の少し怖い話特集
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「11月3日のニコ生ゼミから19時スタートになります」

    2019-10-28 09:50  
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    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/28
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
    岡田斗司夫です。 実は11月3日のニコ生ゼミから、夜の19時にスタートしようと思っています。
    夜の20時にスタートすると、長いときになると終わるのが22時ぐらいになるじゃないですか。 それでプレミアムまで入れると22時を過ぎることもあって、そこから結構しんどくなるので。 すみませんけども、11月からのニコ生ゼミは夜の19時スタートにさせてください。
    10月29日のガンダムゼミは、まだ10月なので20時からです。 19時スタートは、本当に11月3日のニコ生ゼミからという事です。
    それで、ニコ生ゼミは毎週4回になります。 まず毎週日曜は新作ゼミ。 これは変わらずですね。 それで火曜日にガンダム講座。 これも変わらずなんですけども。
    毎週、木曜日と金曜日に過去放送を再放送しようと思います。 つまり、これまでのYouTubeでやっている事と違って、ニコ生としてやるという方法ですね。 なので、YouTubeライブでは同時にする事になると思います。   それでこの再放送には前説が付いてますけど、この前説は生出演ではなくて録画になります。 それで結局その録画も僕がやるわけですから、作業量は増えてるんですけどね(笑)。 まぁ、キツイはキツイんですよ。 キツイんですけども、このために新聞連載をやめたわけですからね。 この為に他の仕事を全て整理して、ようやっと4月から言っていた11月からの改革が出来るわけですね。 それでもう仕事場も新しく借りましたので、100歳になるまで働くつもりです(笑)。
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「映画『ジョーカー』の評価が真っ二つに分かれる理由とは?」

    2019-10-28 07:00  
    9999999pt
    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/28
     今日は、2019/10/13配信の岡田斗司夫ゼミ「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」からハイライトをお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
     では、映画『ジョーカー』の話なんですけど。最初はネタバレなしで話します。  すごく面白かったですよね。僕、5段階評価で言うと「4.1点」くらいなんですよ。
     まあ、ぶっちゃけ「タイツを履いたヒーローが出てこないから面白い」というところもあると思うんですけどね。  なぜかと言うと、スーパーヒーローものって、やっぱり見る時に「ちょっとだけ知能指数を下げる」というか、そういう操作を自分に課さないと、なかなか難しいところがあると思うんですよ。  この例が良いかどうかわからないんですけど、『魔法少女まどかマギカ』って、見る時に、ちょっと自分の知能指数を下げるじゃないですか。やっぱりこういう「女の子が世界を救う話」というのは、頭から真剣に見るのではなくて、一旦、階段を1段か2段下りるつもりで見て「おっ! すごいすごい!」って。こういう見方が正しいと思うんですけど。  スーパーヒーローものというのも、マーベルにしてもDCにしても、やっぱり、知能指数を一旦下げないと、人間が空を飛んだりとか、目から怪光線を出したりとか、エネルギー保存則に反するような現象を起こしたりというところで、なんか納得できない部分があるんですけども。  まあ、1段か2段下げた後なら、存分に物語世界に入り込むことが出来るんですけどね。まあ、ヒーロー映画というのは、多かれ少なかれ、この操作が必要だと僕は思っています。
     その点、この『ジョーカー』には、こういった操作の必要性がゼロなんですよ。「最後まで自然に見れる」というのが、ちょっと不思議なところですね。  そして、そのおかげで没入感がすごいんですよね。  なんと言うかな? スーパーヒーローものでもリアルなものってあるにはあるんですけど、やっぱりそれは「よく出来たCG」っぽく見えちゃうんですよ。その中にスーパーヒーローがいたり、不思議な現象が起こったり、あまりにも力が強いヤツとか、あまりにも能力高いヤツが出てくると、やっぱり嘘の世界っぽい要素が入って来ちゃうんです。  だけど、『ジョーカー』には、そういう、よく出来たCG映像と、ちゃんとしたロケ映像という差があるんですよね。そのおかげで、とにかく映画世界のリアリティと、没入感がすごくなっているんです。
    ・・・
     しかし、これを見に行く前には注意が必要です。  例えば、映画.comには、こういう紹介文が載っているんですよ。この紹介文くらいではネタバレにならないから、ここで紹介しますけど。  これがね、困ったことに、微妙に嘘が書いてあるんですね。

    「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督で映画化。 道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのか。原作のDCコミックスにはない映画オリジナルのストーリーで描く。 「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。 しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。

     これが、映画『ジョーカー』の宣伝文句なんですけど。実際のストーリーは、これとは違うんですよね。  どの辺が違うのかと言うと「悪のカリスマ」って書いてあるところなんですよ。  これを期待して見に行く人がわりと多いんですけど、だいたいそういう人はガッカリして、コメント欄に「大したことなかった」とか「ガッカリした」と、書き込むことになるんです。
     ためしに、映画.comの評価欄を見てみてください。本当に、評価が極端に2つに分かれるんですよ。  評価「4.5点」か「5点」の「ものすごく良かった!」と言う人と、評価「2点」とか、酷い人になると「1点」の「ダメだ」とか「ガッカリした」「つまんない」「寝ちゃった」と言う人に、完全に分かれるんです。  こんなふうに「悪のカリスマ」という言い方とか、そういう内容に過剰な期待をした人というのは、やっぱりガッカリしちゃって、そこをあまり期待しなかった人は、逆にメチャクチャ衝撃を受ける映画になっています。
    ・・・
     でも、悪のカリスマを期待している人は、みんなこれを見に行っちゃうんですよね。  これは『ダークナイト』というバットマン映画の中に出てきたジョーカーなんですけど。 (パネルを見せる)
    【画像】『ダークナイト』版ジョーカー © 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. © DC Comics. 「映画史上最高の悪役!」とか「悪のカリスマ!」と言われたのは、このバージョンのジョーカーなんですね。  これが好きな人が多いから、今回の映画も、かなりの人がこの路線で見に行っちゃうんですよ。このジョーカーの誕生秘話として、見に行っちゃうんです。  だけど、それを期待すると、やっぱり映画.comのように評価が極端に分かれることになるんですよね。
     一応、どういうことになっているかを説明するために、映画.comに投稿されていた評価が低いレビューの中から、ネタバレにならないものを紹介してみます。

    星2つ  映画鑑賞する前にジョーカーに対するイメージがあったため、自分の中のジョーカー像と作品の中でのジョーカーの精神の変化に隔たりがありました。  あらゆる極悪な犯罪に手を染めることに何の抵抗もない、そんなジョーカーにそんなことでなっちゃうのって思ってしまいました。  人ってそんな簡単に変わらないでしょって。  私は個人的にジョーカーがあのジョーカーにどうやってなってしまったかを観たかったので、そこをつなげてしまうと時代背景とか気になってしまいますよね。

     こんなふうに、やっぱり「『ダークナイト』のジョーカーに繋がらない」ということで、気になっちゃうみたいです。
     星1つのレビューは、もっと酷いですね。

    星1つ  どうしてもダークナイトと比較してしまうのが悪いのであろうか  いや、贔屓目にみたとしてもただの低予算スピンオフ金集め映画としか感じない  途中で席を立とうかと思ったのは久しぶりだった  芸術性があるだろ? といいたいようなマッドでなく変な演出演技  ここが見せ場ですよ? 感動してねというようなわざとらしいシーン  薄すぎる内容なのに、that’s lifeを流してしまうとは  いろいろな映画やドラマを見ている人は感じるかもしれないが   その変な演出演技さえ全て借り物で、使い方に統一性や信念というものが感じられない  はっきりいって軽薄で根性が悪い映画だ  ぜひ見に行って、金をどぶになげいれてみてください

     これが星1個のレビューなんですよ。  さらに、もっと低い、星0.5個という人がいるんですね。

    星0.5個  アーサー・フレックとかいう人の物語ではあったけど、俺の見たいジョーカーじゃなかった。  あんなわかりやすい不幸な背景がジョーカーの発端だとしたらがっかりだね。  あの程度で狂ってたら世界は狂人だらけだぞ。  同情すら寄せつけないのがジョーカーなんだよなあ。  こんなのに賞あげるベネチア映画祭は品位を落としたね。  予想を超えることが全く起きなくて、3回くらい寝た。

     と、ここまで怒るんですよね。
    ・・・
     なぜ、こんなに評価が低い人がいるのか?  僕はこれを、こういうのが好きな人には申し訳ないんですけど、『羊たちの沈黙』現象って呼んでいるんです。
     『羊たちの沈黙』現象というのは「悪というものには、何か理由があるはずだ。ヒーローというのは平凡でつまらない。そんなヒーローには決して届かない深みのようなものが悪にはあるに違いない」と。  『羊たちの沈黙』に出てきたレクター博士というのは、そういう考え方が好きな人にとっては、本当に、リアルな意味でのヒーローだったんですよ。  誰よりも頭が良くて、教養深くて、オシャレで、芸術にも詳しい。そんな完全無欠の人間が悪人だったら、どんなにスカッとするだろう? そういうふうに考える人が『羊たちの沈黙』を好んで見る人には多かったんですね。  でも、こういうふうに考えちゃうのは、だいたい、現実の世界ではあんまり悪いことをしない善い人が多いんですよ。こういう悪に憧れを持つ人というのはね、お坊ちゃんやお嬢ちゃんという善人が多いんです。  これは、凶悪犯罪と言われる事件の裁判記録とか、そういうドキュメンタリーとかを見ればわかるんですけど。実際に起きた残酷な事件とか犯罪、大量殺人の記録では、そういった犯人の証言というのは、あまりにも単純で乱暴な場合がほとんどなんですね。  まあ、テッド・バンディみたいな例外中の例外も、いるにはいるんですけど。現実のシリアルキラーのほとんどは、退屈で平凡な、単なる乱暴者のオッサンが多いんですよ。  煽り運転をするヤツや、歩きスマホをしている女の人に体当たりする輩って、いるじゃないですか? ああいうオッサンも、捕まえて言い分を聞いてみたら、やっぱり単なるバカという場合が多い。  つまり、どういうことかというと、実は「現実の悪というのは凡庸でつまらない」んですね。  それに対して、正義というのは、まあ残酷で多様なんです。  本当にいろんなロジックがある。ヒットラーもそうですし、スターリンもそうですし、イスラム国も発端はそうなんでしょう。  そういう正義の理想を掲げて、多くの人にから「いいぞ! いいぞ!」と支持されて、結果的に悪魔のような所業をして大惨事を生み出すところに、正義というもののヘンテコさ、面白さというのがあって。その正義が別の正義に負けて、悪と認定されることで、ようやっと悪のカリスマっぽさが生まれるんです。  ここからわかる通り、悪のカリスマというのは、もともと正義だった人達が、後から「お前達は正義じゃない!」と言われた結果、生まれる場合がほとんどなんですよね。  この『ダークナイト』のジョーカーみたいなカッコいい悪のカリスマというのも、正義からスタートしていなければ、カリスマとして存在できないんですよ。「なんで、それがわからないかな?」と思って。  『ダークナイト』のジョーカーって、映画の中で部下を裏切ったり使い捨てにするんですけど。そんなブラックな親分に従う子分がいるはずがないんですよ。  つまり、あの『ダークナイト』のジョーカー自体が無理設定なんですね。ジョーカーという個人のキャラクターを立てるために、部下を次々と使い捨てるようなシーンがあるんですけど。あんなことをやってたら、本当に保たないんですよ。  でも、やっぱり、あれを本気にしちゃう人が多い。で、そういう悪に憧れる人っていうのは、そういう現実的な話には、なかなか納得してくれない。なんか「すごい悪のカリスマがいて、忠実な手下がいて、もしくは、手下たちを洗脳したり、暴力や恐怖で操ったりして、その理屈には思わず正義の味方も黙るしかない」という、そういう展開を欲しがっちゃう。  もう、みんな「ちょうだい、ちょうだい!」っていうふうに、悪に憧れてしまうんです。
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    2019/10/13 #303 「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」
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    岡田斗司夫ゼミ#299:『Dr.STONE』元ネタ『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』徹底解説!
    岡田斗司夫ゼミ#300:雑談スペシャル&視聴者からの悩み相談
    岡田斗司夫ゼミ#301:『なつぞら』総決算+マンガ版『攻殻機動隊』解説 第3弾
    岡田斗司夫ゼミ#302:味を超越した“文化としてのハンバーガー論”
    岡田斗司夫ゼミ#303:映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史
    マンガ・アニメ夜話
    ガンダム完全講義1:虫プロの倒産とサンライズの誕生
    ガンダム完全講義2:ついに富野由悠季登場!
    ガンダム完全講義3:『マジンガーZ』、『ゲッターロボ』から始まる映像革命
    ガンダム完全講義4:第1話「ガンダム大地に立つ!!」解説
    ガンダム完全講義5:第2話「ガンダム破壊命令」解説Part1
    ガンダム完全講義6:第2話「ガンダム破壊命令」解説Part2
    ガンダム完全講義7:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part1
    ガンダム完全講義8:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part2
    ガンダム完全講義9:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part3
    ガンダム完全講義10:第4話「ルナツー脱出作戦」解説
    ガンダム完全講義11:第5話「大気圏突入」解説
    ガンダム完全講義12:第6話「ガルマ出撃す」解説Part1
    ガンダム完全講義13:第6話「ガルマ出撃す」解説Part2
    ガンダム完全講義14:第7話「コアファイター脱出せよ」解説Part1
    ガンダム完全講義15:第7話「コアファイター脱出せよ」解説Part2
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    ガンダム完全講義17:第8話「戦場は荒野」解説Part2
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    ガンダム完全講義20:第10話「ガルマ散る」解説Part1
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    ガンダム完全講義24:第11話「イセリナ、恋のあと」解説Part3
    ガンダム完全講義25:第11話「イセリナ、恋のあと」解説Part4
    ガンダム完全講義26:第11話「イセリナ、恋のあと」解説Part5
    ガンダム完全講義27:第11話「イセリナ、恋のあと」解説Part6
    ガンダム完全講義28:第12話「ジオンの脅威」解説Part1
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「【岡田斗司夫 最新情報】2019年10月27日号」

    2019-10-27 07:00  
    9999999pt
    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/27
     今日は、岡田斗司夫のコンテンツ情報をお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
    【ニコ生】
    『岡田斗司夫ゼミ (無印)』
    『岡田斗司夫ゼミ・プレミアム』
    今夜のニコ生では、思考実験教室という試みをやってみたいと思います。
    今僕はいろんなことを考えてて、論になるかならないかわかんないような、かけらみたいなものがあるんですよ。それをちょっと話してみます。
    例えば「映像資産主義論」。 みんな、人気のYouTuberをついつい目指しちゃうんだろうけども、それは『金持ち父さん貧乏父さん』でいうと貧乏父さんルートだよと、思うんだよね。 そうじゃなくて“資産形成のためのYouTuber”みたいなものを考えた方が、結局いいんじゃないのかな。 そういうところから考えてみる「映像資産主義論」とか。
    あと、これは本当に2〜3ヶ月前からちょっと考えてたんですけど、中規模有名人が実は有利ではないのかという論。 そういうものも、ちょっと話してみます。
    それにプラスして、月末ですからお便りも大量にあります。 前回と同じようにお便りを読んで答えるつもりです。 いらすとやのイラストをまた20点以上使ってフリップ作って、向こうに金払いながら、楽しくやってみる予定です。
    そういう形で、来週は雑談やお便り、Q&A、にプラスして、ちょっと「論」を話したりすることになるでしょう。
    論の方は、「ああ、これはちょっとまだ論になってないな、マズイかな」と思ったら、限定の方に回したりするかもしれません。 そこのところ、どうぞよろしくお願いします。
    前回のニコ生岡田斗司夫ゼミ#304は【悩みのるつぼ卒業記念講演】 でした。
    表放送+裏放送
    表放送+裏放送+放課後放送
    表放送 00:00 岡田斗司夫るつぼ卒業記念講演 回答の作り方 裏放送 65:10 岡田斗司夫るつぼ卒業記念講演 会場からの質問に回答 02:02:11 Q:本の読み方 放課後 02:10:00 Qレゴとプラモデルの違い       Q:漫画家続けるべきか       Q:Vチューバーとお近づきになる方法 02:19:29 Q:レコダイを長続きさせるには       Q:死んだ後のこと       Q:オーディオ環境について       Q:教育的なアニメ      Q:『フリクリ』感想 02:30:04 Q:編集者との対応      Q:レゴ動画楽しかった      Q:老害にならないために
    明後日(火)の岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話は 10月29日(火) 20:00~ 「機動戦士ガンダム完全講義〜第30回
    『岡田斗司夫ゼミ (無印)』会員
    『岡田斗司夫ゼミ・プレミアム』会員
    です。
    ニコ生テキスト全文公開
     2019/10/13配信の岡田斗司夫ゼミテキスト全文をアーカイブサイトで公開中!

    2019/10/13 #303 「映画『ジョーカー』特集&試験に出るバットマンの歴史」

    台風とレゴ動画紹介
    『ジョーカー』の評価が極端に分かれる理由
    『ジョーカー』が描くカッコよさや美しさ
    「必要とされてない存在」が他者と関係を持つ方法
    『ジョーカー』は『バットマン』の再解釈
    次回予告
    『アクション・コミックス』とスーパーマンの誕生
    売れすぎた『バットマン』とアメコミのゴールデンエイジ
    ポップカルチャーとしてのテレビ版『バットマン』
    コミックスと映画の『バットマン』と『ジョーカー』の歴史
    次回告知
    ゼミ、マンガ・アニメ夜話 電子書籍販売中!
    AmazonのKindleストアで、岡田斗司夫ゼミ、岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話の電子書籍を販売中です(「岡田斗司夫アーカイブ」でもご覧いただけます)。
    ジブリ特集
    岡田斗司夫ゼミ#212:『天空の城ラピュタ』完全解説① 〜超科学とエロス
    岡田斗司夫ゼミ#213:『天空の城ラピュタ』完全解説② 〜幻の産業革命が起こった世界
    岡田斗司夫ゼミ#297:『天空の城ラピュタ』完全解説③ 〜スラッグ渓谷とポムじいの秘密
    岡田斗司夫ゼミ#296:『崖の上のポニョ』を精神分析する〜宮崎駿という病
    岡田斗司夫ゼミ#298:『崖の上のポニョ』はどうやって生まれたか 〜空想で現実を書き換える
    月着陸50周年特集
    岡田斗司夫ゼミ#269:恐怖と贖罪のホラー映画『ファースト・マン』完全解説
    岡田斗司夫ゼミ#258:アポロ計画と4人の大統領
    岡田斗司夫ゼミ#250:白い悪魔“フォン・ブラウン” 対 赤い彗星“コロリョフ” 未来をかけた宇宙開発戦争の裏側
    岡田斗司夫ゼミ#291:アポロ宇宙船(前編)〜地球が静止した1969年7月21日とアポロ11号の打ち上げ
    岡田斗司夫ゼミ#292:アポロ宇宙船(後編)〜月着陸と月面歩行
    岡田斗司夫ゼミ
    岡田斗司夫ゼミ#287:『アラジン』特集、原作からアニメ版・実写版まで徹底研究!
    岡田斗司夫ゼミ#288:映画『君の名は。』完全解説
    岡田斗司夫ゼミ#289:NASAとLINEの陰謀、スパイダーマンをもっと楽しむためのガイド
    岡田斗司夫ゼミ#290:『進撃の巨人』特集〜実在した巨人・考古学スキャンダルと、『巨人』世界の地理
    岡田斗司夫ゼミ#293:『なつぞら』特集と、『天気の子』解説、“禁断の科学”の話
    岡田斗司夫ゼミ#294:『千と千尋の神隠し』の不思議な話と、幽霊、UFO、怪奇現象の少し怖い話特集
    岡田斗司夫ゼミ#295:終戦記念『シン・ゴジラ』特集、「ゴジラと核兵器」
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    ガンダム完全講義8:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part2
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『宇宙戦艦ヤマト』傑作オープニングの見どころ解説と、ハンバーガー誕生物語」

    2019-10-26 07:00  
    9999999pt
    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/26
     今日は、2019/10/06配信の岡田斗司夫ゼミ「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」から無料記事全文をお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
    スーツと引っ越し
    【画像】スタジオから はい、こんばんは。10月6日、10月最初の岡田斗司夫ゼミです。  なんとかアロハから脱してスーツに戻りました。そしたら、スーツの前のボタンが留まらなくなっていて。まあ10月中は留まらない状態でもいいとして、11月になったら、ちゃんと留まるようにしたいと思います。  やっと涼しくなってホッとしました。  仕事場の引っ越しが始まって、やっとジブリ関係の本が1箇所にまとまってきた感じですね。  家具はIKEAなんですけど、テーブルはIKEAの電動式のスイッチを押したら上がったり下がったりするやつにしました。これで、やっている仕事によってテーブルの高さ変えるということをやってみようと思います。  まだね、パソコンは全然出してないんです。箱に入ったままなので。来週の『バットマン』の資料は全部仕事場の方だから、明日から仕事場で仕事しようと思ってるんですけど、ノートパソコンを持って仕事に行く感じです。  一応、一軒家なので「将来はここで博物館をしたいな」という野望も持っておるという話であります。
    『宇宙戦艦ヤマト』オープニングがいかに優れているか
    【画像】スタジオから じゃあ、最初はこいつの話からしましょう。 (机の上のヤマトの模型を見せる)
    【画像】ヤマト模型 おっ、いいね。ご機嫌。「1つの砲塔を動かすと、全部が連動する」というこの感じですね。  今日はヤマト記念日ということで、『宇宙戦艦ヤマト』の初放送が1974年の10月6日なので、今日でちょうど45周年なんですね。  『ヤマト』については、そのうちゆっくり話したいと思ってるんで、今日はさわりだけ。『宇宙戦艦ヤマト』のことを少しだけ話したいと思います。  やっぱね、『ヤマト』のデザインなんですけど。デザインのすごさは松本零士の功績ですよね。 (模型を見せながら)
    【画像】ヤマト第3艦橋 この「第3艦橋」と言われている部分の説得力というのかな? これ1つあるおかげで……なんだかんだ言って、宇宙戦艦ヤマトって戦艦大和なんですよ、やっぱり。下半分が赤く塗ってあって、上と下がキッパリあって「これのどこが宇宙戦艦なんだ!?」って思うんですけど。  ところが、この一番下に第3艦橋と言われているブリッジ(指揮所)が1つついているだけで、なんか、これ、この形だったら着陸できないんですよね。なので「ずっと宇宙にいる」という感じが出てて、なかなか見事なデザインだと僕は思ってます。  本当にね、好きなデザインなんですよ。
     その他にも……これを出すのを忘れてた。 (パネルを見せる)
    【画像】『宇宙戦艦ヤマト』タイトル 初っ端から、ちゃんとタイトルのフリップを出しておけばよかったな。この「宇宙戦艦ヤマト」というロゴも好きなんですけどね。まあ、その話はそのうちするので、置いといて。
     あとは、『宇宙戦艦ヤマト』のメインブリッジ、第1艦橋の内部のレイアウトですよね。 (パネルを見せる)
    【画像】ヤマト第1艦橋 ©東北新社 この「上に大きいモニター、スクリーンがあって、人がいっぱいいて、艦長が1段高いところにいる」っていうデザイン。  やっぱり、このヤマトのブリッジを見ると「『機動戦士ガンダム』に出てくるホワイトベースのブリッジというのは、これのアンチだ」というのがよくわかります。  ヤマトのブリッジのデザインが、もう、あまりにもよく出来過ぎていて、カッコ良過ぎるので、どうにか違うものを見つけよう、違う雰囲気を見つけようとしたと思うんですけど。これが出来過ぎていたために、なかなか違うものを見つけにくい。その結果、ホワイトベースは、これの反対を選んだデザインになっています。  この辺は、まあ、そのうち宇宙船のデザイン講座みたいなことをやりたいと思いますので、そっちの方で話してみようと思います。
     あとは、まあ、イメージのすごさですね。 (パネルを見せる)
    【画像】第1話ラストシーン ©東北新社 これは『宇宙戦艦ヤマト』第1話のラストシーンですね。  九州の沖に沈んだ戦艦大和。しかし、この時代には、地球の海はガミラスの放射能爆弾の攻撃によって、真っ赤に干上がっている。そんな中、夕日が沈む。  古代進と島大介の2人は「こんなところにガミラスはいったい何を偵察に来たんだろう?」と見に来て、この戦艦大和の残骸を見つけ、愕然とするというラストシーンなんですけど。  ものすごいカッコいいですよね? 僕、このカットがあまりにもカッコよかったので、『宇宙戦艦ヤマト』の再放送の時、テレビの前に35ミリの一眼レフを構えて写真を撮って、それを自分で引き伸ばしたものを、15年くらい、自分の部屋の一番良いところに飾ってました。それくらい、僕が好きなシーンです。  やっぱり、この滅亡感。地球が滅亡して「もう人類はダメなんじゃないか?」という感じを出しつつも美しいシーンというのは、難しいと思うんですけど。それを可能にしたという名シーンですね。  もう1つ、「地球が滅亡しているのに~」という意味では、同じく第1話のこのカット。 (パネルを見せる)
    【画像】真っ赤な地球 ©東北新社 沖田艦長が「ダメだ。もう我々は勝てない」と言っている時に、この真っ赤になった地球が映るんですね。  これ、「地球がもう滅びつつある」という状況をたった1枚の絵で表現しているんですよね。これ以上のビジュアルというのは、僕、世界の映画史上に存在しないと思っているんですけど。  「地球が滅びている」という状況を説明するためには、やっぱり、何段階かの絵を見せないと絶対に表せないんですけど。これをポンと1枚出して、それを説明している。この真っ赤な地球に雲が適当にかかっているところで「ああ、巨大な惑星なんだな」と思わせて、そこに砂漠化した日本列島みたいなものを見せることによって「ああ、これが地球なんだ……」という、絶望感を伝えるというのが、やっぱり、すごい上手いと思います。  本当に、世界の映画史上、これ以上のビジュアルというのはないと思うんですけど。
    ・・・
     まあ、ここからは「僕の好きな『宇宙戦艦ヤマト』のオープニングが、いかに素晴らしいか」という話なんですけども。  もう本当に、今日は『宇宙戦艦ヤマト』の話がしたいんです。
     映像のすごさで言うと……まず、歌から始めますね。この主題歌って、前奏が長いんですよ。  「チャーン、チャッチャ、チャーン、チャッチャ、チャッチャチャーン、チャカチャ、チャチャチャチャ、チャーン、チャカチャ、チャーン♪」って。まだ前奏が終わらないですよ。「チャーン、チャッチャ、チャーン、チャン、チャーン、チャッチャ、チャーン、チャン♪」まだ始まらなくて「チャカチャ、チャカチャ、チャカチャチャーン、チャチャン♪」と来て、いきなり「さらば~♪」って始まるんです。  この前奏の長いフリの後、「さらば、地球よ、旅立つ船は、宇宙戦艦~♪」って。またここで溜めるんですよ。「宇宙戦艦~(パパパパー)♪」という風にトランペットが入って、で、「ヤー、マー、トー♪」と。  この「ヤー、マー、トー♪」の3文字のところだけ、男性コーラスが入るんです。  で、最初、佐々木功のボーカルで始まって、男性コーラスが入るから、てっきり「これは男臭い歌かな?」と思ったら、次の展開部「宇宙の彼方、イスカンダルへ~♪」というところで、佐々木功の歌声に、今度は女性スキャットが重なるんです。  女性スキャットが「宇宙の彼方、イスカンダルへ、運命背負い~♪」ってほぼ同じメロディラインのところに「アーッ、アーッ、アーッ♪」って、上がりながら入ってくるから、なんかこうゾクゾクするんですよね。
     「宇宙の彼方~♪」と歌っている時に、画面に映るのは、ヤマトのブリッジ。 (パネルを見せる)
     窓から見えるのは、沖田艦長と、古代、島、森雪の4人です。  そこからカメラが下がって行くと……これ、ごめんなさい。画像の順番が間違ってました。真ん中のが一番目で、上のが2番目ですね。 (パネルを見せる)
    【画像】艦橋に立つ4人 ©東北新社 カメラが下がって行くと……まだ何が映っているのかわからないですね。実はこれ、ヤマトの艦橋構造物が映ってるんです。 (パネルを見せる)
      で、「宇宙の彼方、イスカンダルへ、運命背負い、今飛び立つ~♪」まで行って、ようやっとヤマトの全貌が見えてくる。
    【画像】ヤマトオープニング ©東北新社 この「運命背負い~♪」の時には、ヤマトの主砲が目の前を通り過ぎて行って、目の前が少し混乱するような映像になるんですけど。  しかし、「今飛び立つ~♪」に入ったところで、やっと全身が見えたと思ったら、今度はこの船体が右へ傾くんですね。「えーっ?」って思うんですよ。
     この部分の作画、でも、本当にすごいんですよ。「宇宙の彼方、イスカンダルへ~♪」で、この艦橋の艦長席のドアップからカメラが下へ降りてきて……メチャクチャ複雑な形を描いているわけですよ。  主砲の砲塔の間をカメラが通って……この時、砲塔も同時に動いているんです。船の前の方までカメラが行って「今飛び立つ~♪」で、全身が見えたと思ったら、この船体が右へゆっくりと傾き始める。
    【画像】ヤマトオープニング ©東北新社 そして「必ず、ここへ~♪」の歌詞になったら、こいつが加速し始めるんですね。  加速する直前に、このヤマトという宇宙船は、船体を右へ傾けている。つまり、これで「右旋回しつつあるところだ」というのがわかるんですよ。  これをですね、その1カットで見せているんです。
     この模型でいうと……すみません、わかりにくくて。 (模型を使って解説する)
    【画像】ヤマト模型 最初は、こういう状態になっているわけですね。この位置から始まって、カメラがゆっくりとここを通って、動き続けるこの第2砲塔の砲身の間を通って、前へ行って、ここまで来ると、ゆっくりと船体から右へ傾いていて、加速が始まるという、かなり複雑なことをやっているんです。  だけど、あんまり、そこら辺を「この時代に、こんな難しいものを手書きで動かすことのすごさ」というのを、あんまり見てくれる人がいないんですけど。
     で、「必ずここへ~♪」の部分です。  さっきの「運命背負い、今飛び立つ~♪」という歌詞の時には、画面に映っているものと歌詞とが合ってるんですよ。  でも、「必ずここへ~♪」って時は「あれ? 歌詞と絵が合ってないぞ」と思うんですけど。そうすると、ここで、さっきのブリッジの絵が映るんですね。 (パネルを見せる)
     ここは「必ずここへ、帰ってくると、手を振る人に、笑顔で応え~♪」という歌詞なんですよ。  その歌詞とこのシーンの何が合っているかというと、ここで映るブリッジには徳川機関長という人がいて、ちゃんと手を挙げて、挨拶してくれてるんですよ。  つまり、「必ずここへ、帰ってくると、手を振る人に~♪」という、人間ドラマっぽい、湿っぽい歌詞の時には、ちゃんと人間のいる空間を映すというような配慮をしているんです。  「宇宙の彼方、イスカンダルへ~♪」という時は、宇宙空間を進むヤマトを映し、「帰ってくると、手を振る人に、笑顔で応え~♪」のところでは徳川機関長を映して、焦らすわけですよ。  そして「笑顔で応え~♪」の「え~♪」と盛り上がるところで、ヤマトが半分土の中に埋まっているところからドーンと上がってくるという盛り上がりを見せるわけですね。
     この「笑顔で応え~♪」というところで「ウーッ、ワーッ♪」という男性コーラスが入るんです。  まあ、こうやって歌を無理矢理、言葉で説明するのは難しいんですけど。「笑顔でこた~♪」の辺まで、男性の声で「ウーッ♪」って入ってて「応え~♪」で上がったところで「ワーッ♪」って。これ、あとでYouTubeでオープニングを探して見てください。  男性女性のコーラスの切り替えも、メチャクチャ上手いんですよ。つまり「どの部分で男性なのか? どの部分で女性なのか?」という使い分けの際に、勇気が出そうな歌詞は男性が、そして、宇宙空間を自分達だけで旅しなきゃいけないという不安さが出ている歌詞の時には、女性の「アーッ、アーッ、アーッ、アーッ♪」というコーラスが入るという、この上手さがすごいですよね。
     で、最後「銀河を離れ、イスカンダルへ~♪」という時は、ヤマトは、もう後ろ姿が見えているだけ。ヤマトのお尻と星空が映っていて、ヤマトが段々段々と小さくなるだけなんですね。  ここでは、また、女性コーラスで「アーッ、アーッ、アーッ、アーッ♪」ってかかってて、ちょっと寂しい感じを出しています。  そして「はるばるのぞむ~♪」という、「おっ盛り上がってるぞ! サビの最後だぞ!」という感じで「宇宙戦艦~♪」まで行ったら、最後「ヤー、マートー♪というところだけ、佐々木功のボーカルに、また男性コーラスの「ヤー、マー、トー♪」というのがついていて。  「わあっ、勇ましくなった!」と思ったら、「ヤー、マー、トー♪」の「ト」の音と同時に、女性の「アーッ、アーッ、アーッ、アーッ♪」というスキャットがエンドレスでかかって、また、なんだか寂しい切ない感じに持って行く。
     もう本当にね、曲も名曲ですし、この絵の合わせ方もあまりに上手くて。  『宇宙戦艦ヤマト』って、自衛隊とかがよく演奏してくれたり、あと「アニメソングの傑作を見せます!」みたいなテレビ番組で、佐々木功さん本人が出てきて歌ったりするんですけど。  やっぱり、このテレビ尺の、コーラスとかが完全に入ってるやつが一番良いんですよ。  あの、やっぱりね、生のボーカルとか、オケをオーケストラにしたバージョンってね、このスキャットの声が小さすぎたり、男性のコーラスのタイミングが変わってたりするから、違うんですよ。  そうじゃなくて、一番最初のテレビ尺の『宇宙戦艦ヤマト』が、男性コーラスの入る場所、女性コーラスの入る場所、ボリュームのバランスまで、全て完璧なので「皆さんは是非こっちを見てください」という、60男からの心からの忠告でした。
     僕は、テレビアニメの歴史上、一番優れている最高だと思う作品は『機動戦士ガンダム』なんですよ。  もう本当に、テレビアニメの歴史上、一番すごいと思う作品は『機動戦士ガンダム』だと思っているし、その次は『ガンバの冒険』かなとか、色々思うんですけども。  ただ「一番好きなアニメは?」と聞かれたら、もう、1も2もなく「『宇宙戦艦ヤマト』です!」って、僕は答えるんですね。  テレビ版のこの『宇宙戦艦ヤマト』が、あらゆるアニメの中で、僕は一番好きなんですよ。「好き」という意味で。  なので、皆さんにも『ヤマト』を味わっていただきたいなと思います。ちょっと、そんなふうに語ってみました。
     『ヤマト』については、もう少し語りたいので、申し訳ないけど後半で語ります。よろしくお願いします。
    ハンバーガーについてお便り紹介
    【画像】スタジオから じゃあ、今日の特集のハンバーガーです。  ハンバーガーについてお便りを貰いました。ハンドルネームコウコウ(koukou)さん。

    私にとっての初めてのハンバーガーはモスバーガーです。

     ああ、モスバーガーね。

    私の地元(福井)では、確か中学1,2年生の1980年~81年頃にモスバーガーが初めて出来て、その頃はまだマクドナルドはありませんでした。

     地方あるあるですね。

    田舎育ちなので、中2頃に初めて友達同士で駅前に買い物に行って、帰りのバスを待つ間、ドキドキしながら「モスバーガー」を食べました。 マクドナルドが地元に出来たのは、5年くらい経った、1985年(昭和60年)頃でした。 駅前にあった「モスバーガー」も「マクドナルド」も、10年前くらいに店じまいして、今は郊外店や、ショッピングセンターにあるだけです。 田舎の駅前は今はそんな寂れた感じです。

     そうですね。「いつ自分の街にマクドナルドが来たのか?」とか「モスが来たのか?」とか「ケンタが来たのか?」って、やっぱりあるじゃないですか。  東京に住んでいると、そういうことを感じないんですけど。やっぱり、地方に住んでいると「どのファーストフードが自分のところに来たのか?」っていうのが、あるあるでね。やっぱり、思い出すといい思い出なんですね。  コウコウさんには、新しいステッカーあげます。 (ステッカーを見せる)
    【画像】新しいステッカー これ、新しいステッカーです。ハンバーガー特集ということで、ちょっと太った自分を「『かりそめ天国』のマツコ・デラックスのイラストをパクってくれ!」とイラストレーターにお願いして、完全にパクった感じに作って貰いました(笑)。  このステッカーを差し上げます。  僕も、モスバーガーじゃなかったんですけど、一番最初に近所に出来たのが、沢ノ町という駅に出来たドムドムバーガーで。僕はそこに散々通ってました。  まあ、マックがなかったから我慢してたんですけどね。
    ・・・
     次は、ペンネーム麻ぴー最高さんからのお便りです。

    ハンバーガー、それは『ポパイ』のウィンピーが食べてるモノ。 当時6歳以下だった自分にとって、ハンバーグは未知なる食べ物で「それがパンに挟んである!?」という、ほんとにおいしそうに見えて食べたい食べ物でした。 幼稚園での昼食時、友達の弁当にハンバーグなるものが入っているのを見て、すごくいい匂いでおいしそうに見え、どうしても食べたくなって、家に帰って母に「アレが食べたい!」と必死で訴えました。 『ポパイ』でハンバーガーの名称は知ってはいても、実物は見たこともないし、それこそがパンに挟まってたハンバーグだと気が付くはずもなく、「アレがどのような食べ物か」「お肉でできた外見」とか「ケチャップがかかってた」とか、なんとか説明したのだと思います。 後日、ほんとうにハンバーグを作ってくれて、お弁当にも入れてくれて、それがほんとにおいしくて、強烈な記憶として残っています。もうじき58になりますが、今でもハンバーグは大好物です。

     ああ、もうあるあるですよね、これ。  あのね、僕みたいな昭和30年代生まれの人間というのは「いつコカ・コーラが入って来たか?」とか「いつピザが日本に入って来たか?」とか「ピザの前にはピザトーストというのが喫茶店で入った」とか「ハンバーガーが来た」「チキンが来た」というのが、本当に鮮明な記憶としてあるんですね。  それが後ろの方になって、平成生まれの人になってきたら、「いつタピオカが来た」とか、そういう記憶に変わっていくのかもわからないんですけど。  こういう話、僕ね、わりと好きなんですよ。なので、ステッカーを差し上げます。  「ウィンピー」と言われてもピンと来ない人もいると思いますけど、『ポパイ』の中に出て来る、こういう、ちょっとダサいオジサンのキャラなんですね。 (パネルを見せる)
    【画像】ウィンピー このウィンピーというのは、ハンバーガーが好きで、バーベキュー用のグリルで焼いているのを食べてたんですけど。本当に、何を食べているのか全くわからないわけですね。  当時の『ポパイ』って、モノクロのアニメだから、余計に色がわからなくて「何を食べてるんだろう?」と思ってたんですけど。
    ・・・
     ペンネーム海じじいさん。

    岡田さん、ハンバーガーのお話楽しみにしています! 日本でハンバーガーの売上に最も貢献したのは、スレッガー・ロウ中尉と狸だと思っています! 特に『ぽんぽこ』を見た後は、マクドナルドにダッシュしたくなります!

     ああ、スレッガー中尉のことを忘れてたな。  確かに、『機動戦士ガンダム』で、ソロモン戦いの途中で、燃料補給に来たスレッガー中尉がハンバーガー食べているシーンがありましたよね。 (パネルを見せる)
    【画像】スレッガー中尉 ©創通・サンライズ ただ、このハンバーガー、美味しくなさそうなんですよ。というのは、パンがやたら硬そうで。「ああ、これ、軍の支給のハンバーガーで、おまけに自動販売機から出てくるようなやつだから、パンが硬いんだろうな」と。  スレッガー中尉も、ものすごい力こめて、こう、むしり取るように食べてたんですよね。それが印象的でした。
     『平成狸合戦ぽんぽこ』のハンバーガーのシーンは、食べ方が小汚くてあんまり美味しそうに見えないんですけど。 (パネルを見せる)
    【画像】『ぽんぽこ』 ©1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH でも、確かに見た後に、マクドナルドとかのジャンクな感じがするようなハンバーガー、それも一番安いような、ノーマルのハンバーガーかチーズバーガーが、やっぱり食べたくなりますね。
    「狸ってハンバーガー食えるの?」(コメント)
     狸は基本的に食べますよ。  あれね、実話だったんじゃなかったかな? 「所沢かどこかでゴミに出されたハンバーガーを狸が食べていた」というニュースがあったと思いますよ。
     ステッカー差し上げます。  この他にも、アニメの中の食べ物って、『ハイジ』のチーズとか、あと『カリ城』のパスタとか、『ラピュタ』の目玉焼きトーストとかがあるんですけど。  それに比べれば、スレッガーさんのハンバーガーは、あんまり美味しそうじゃなかったんですね。
    存在しなかったアメリカ料理とその土台の歴史
    【画像】スタジオから ということで、ここからは「試験に出るハンバーガー年表」というのを見てみましょう。今日ハンバーガー特集なので、ハンバーガー年表ですね。 (パネルを見せる)
    【画像】ハンバーガー年表 19世紀末にハンバーガーが誕生して、まあ、いろんなところがあるんですけども。  この中で大事なこと、皆さんに覚えておいていただきたいことが、1876年のフィラデルフィア万国博覧会です。 (パネルを見せる)
    【画像】フィラデルフィア万博 このフィラデルフィア万国博覧会でアメリカンチョッパーと言われる挽き肉器が発売されました。  それまで挽き肉というのは、肉屋が鋭い包丁で、デカい肉の塊をこそげ取るようにして作ってたんですね。なので、挽き肉って、作るのが結構大変だったんですよ。  そんな中、この19世紀末のフィラデルフィア万博で、手回し式の挽き肉器というのが発表された結果、5年か10年くらいでアメリカ中に広まったんです。
     やっぱりね、肉屋さんも苦労してたんですよ。というのは、柔らかくて美味しい肉は売れるんだけど、硬い肉とか、すじ肉とか、内蔵みたいなものは、やっぱりなかなか売れないんですよね。  それを挽き肉にして他の肉に混ぜると、まとめて柔らかい肉として売ることが出来る、と。  というわけで、万博で発表されたアメリカンチョッパーと、他にもパシフィックチョッパーというメーカーもあったそうなんですけど、こういった挽き肉器は、あっという間にアメリカ中に普及しました。
    ・・・
     19世紀末には、一応、焼いた挽き肉をパンに挟んだハンバーガーという料理が誕生したらしいんですけど。  アメリカ中に「うちこそが元祖だ!」と言う店があるんですよ。  例えば、1880年にテキサス州アセンズで、同じ頃にウィスコンシン州シーモアで、1885年にはニューヨークで「うちが最初だ!」って言うところがありますし、1900年にはコネチカット州のニューヘブンという土地にある店が「うちが元祖だ!」と言ってます。
     こんなふうに、アメリカ中に「うちの街が~」とか「うちの店が元祖だ!」と言うとこがあるんですけど。
    【画像】ルイーズ・ランチ(「別冊Lightning vol.49 ハンバーガーの本」枻出版社より) まあ、一応、コネチカット州ニューヘブンにある、1900年に作ったというルイーズ・ランチという店が、当時の調理器具とか写真とかがそのまま残っているので、証拠を辿っていった場合、ここが最初と言えるかもしれません。  それ以前の、1885年とか1890年にやったというところもあるんですけど、証拠がないんですよね。  その点、このルイーズ・ランチは「当時、幌馬車のワゴンでステーキサンドイッチを売っていて、そこでハンバーガーを始めた」という証拠があるので、まあ、ここが最初じゃないかと思います。
    ・・・
     こういうふうに、ハンバーガーというのは、アメリカ料理の代表みたいなものなんですけど。  この「アメリカ料理」ってね、実はちょっと難しくて。もともと、アメリカ料理なんていうものは存在しなかったんですよね。
     正確に言うと、黒人料理とか、インディアン料理……これは「いわゆるインディアン」ですね。アメリカ原住民のことです。そういうものは存在するんですよ。ところが、アメリカ料理というのは存在しなかった。  なぜかと言うと、ヨーロッパ人がアメリカを発見してから、この新大陸アメリカに来たのって、みんな金儲け目的の人らばっかりだったんですよ。  投機目的の農場主が来たわけですね。それも、大部分が不在農家というやつで。ヨーロッパでアメリカの土地の権利を買ったり、もしくは船団だけを出したんだけど、実際に米国に来るのは大金持ちに雇われた手下とか、身分は低いけれど信頼されている召し使いだったんです。  そんな人らがアメリカ大陸まで来て、もう本当に追放みたいに一方通行で送られて、アメリカの現地に着いてから、アフリカの奴隷を買いまくって、現地で農業を始めるわけなんですよ。  なんかね、すごい特殊でしょ? アメリカという国は建国時点から、なんかすごい特殊なんですけど、その理由は、まず「ほとんどが金儲けで来る人ばっかりだった」ということなんですね。
     金儲けで来る人達というのは、現金を持っているので、それで黒人奴隷を買って農業を始めようとするんです。  ところが、その農業というのはサトウキビの栽培なんですよね。小麦じゃないんですよ。  「小麦みたいに、自分達が食えるものを作って自活していこう!」というのではなくて、完全に貿易目的、金目的なんですね。金目的なので、使える土地には全部サトウキビを植えちゃうんですよ。  だって、全員召し使いですから、主人に命令されているわけですよ。「とりあえず、土地を耕したら、そこにはサトウキビを植えろ!」と。「サトウキビを作っとけば、ヨーロッパでメチャクチャ高く売れるから、とにかくサトウキビ作れ、作れ!」と言われているんです。  しかし、そういう人達が「ああ、サトウキビを作るのか。俺たちが食べる食料は、まあ、現地に行ったらなんとか買えるだろう」なんて思ってたんですけど、この時点でのアメリカには、まだ農産物の取引市場なんか成立してないので、手に入らないんですよね。  なので、食べるものにいきなり困っちゃって。さっきも言ったように、小麦の種も持って来ていませんから。  とりあえず、サトウキビをヨーロッパに輸出して儲かるんですけど、その儲けた金は、やっぱり「農園をどんどん広げて、奴隷を買って~」というふうに使われるわけですよ。  仕方がないから、インディアン達、現地の原住民からトウモロコシの調理方法を聞くんですね。  トウモロコシというのは、ヨーロッパ大陸ではみんな見たこともない食材で、下手に加熱すると弾けてポップコーンみたいになってしまうし、粉を作るにも、小麦とは全然勝手が違うんですね。なんか、こう、小麦よりもずっと固まってて、おまけに粘り気もあるし、湿ってるし、扱いにくくて扱いにくくてしょうがない。  「これどうやって食べたらいいんだ?」というのも、まずインディアンに聞くしかなかったんです。  と、同時に、アフリカの奴隷を買って来る時というのは、前からいる奴隷に混ぜるわけですね。現地のアフリカ奴隷に。  最初にアフリカから来た奴隷たちというのは、アメリカ大陸に来て、もう10年20年も経っているので、アメリカでの暮らしに慣れてきているわけです。  なので、アメリカ原産の作物を使って、なんとか食い物を作る方法がわかってきている。  ここで、黒人の奴隷料理というのが生まれて来るわけですね。アフリカは、もともと、アジア圏のような米食文化なので、彼らは米をちょっと持ち込んだりしてたんです。  そういう、ヨーロッパ人にとっては「なんじゃこれ?」というような、米文化とトウモロコシ文化、それぞれインディアンと黒人が持ってた文化というのが混ざってきて、徐々に徐々にアメリカ料理の土台が出来つつありました。
    アメリカ料理のベースとなった食材、料理人、調味料、労働者
    【画像】スタジオから このアメリカ料理ってのは面白くて、これに限らず、基本的に「その後に来たドイツ人」「その後に来たポーランド人」「その後に来たイタリア人」というふうに、新しく来たいわゆるイギリス人が差別するような人達から、次々に料理法を教えてもらって、取り入れるんですね。  もともとあったイギリス料理というのは、もう、影も形もなくなって来て、全部、後から来た奴隷とか、もしくは貧しい移民たちの料理というのが混ざっていった結果、アメリカ料理というのが出来ていく。そこら辺が特殊なところだと思います。
     さっきも言ったように、ヨーロッパから来るのは、投機目的の商売人に雇われた農夫か、または、カソリックの締め付けが厳しくて逃げてきたピューリタン(清教徒)か、そんな人らしかいないんですよ。  つまり、とにかく、圧倒的な料理人不足でもあったんですね。  これも特殊なところで。人がこんなに来ているのに、ヨーロッパ人が食べる小麦がなく、採れる魚も、採れる肉も、バッファローの肉みたいな、それまで見たことのない食材ばっかり。そんな中で、料理人が圧倒的に少ないという状態が、まず、アメリカの建国から100年くらい続くわけです。  この100年くらい続いている状態で、さっきも言ったように、奴隷歴が長い黒人や、現地での料理に慣れている人に、トウモロコシとかバッファローの料理をやらせて、徐々に徐々に「黒人が料理を作る」という文化が出来ていく。  つまり、西洋と違って、奴隷から上がって来て、家の中に入って来た「ハウス奴隷」とでもいう人達が、調理を担当するようになってきたわけですね。  このような「ヨーロッパから来た本職の料理人がいない」、あと「未知の食材ばっかり」という条件によって、インディアンや黒人の料理を、なぜか白人までもが食べるようになってしまうという、アメリカ料理のベースが出来上がりました。
    ・・・
     しかし、そんな中、唯一定着しなかったのが、最初期の移民であるイギリス人のイギリス料理なんですよね。  それはなぜかというと、アメリカへの入植が始まってから、50年か100年くらい経った時に独立戦争が始まって、これによってアメリカ全土に「愛国ブーム」というのが起こったんですね。  まあ「愛国ブーム」と言うか、ハッキリ言って「アンチ・イギリスブーム」なんですよ。「とにかく、イギリス製のものは食べない、飲まないことが愛国的だ!」という国民運動が、独立戦争の時にザッと広がった。  そのおかげで、みんなウィスキーを飲まなくなったんです。「ウィスキーでない! 俺達はアメリカ人だ! アメリカ的な飲み物はないのか!?」という時に「トウモロコシから酒が作れるぞ?」って、またインディアンが教えてくれたんです。その結果、バーボンを作ったわけですね。  なので、『キングスマン』に出てくる、アメリカ版の諜報員、ステーツマンの本拠地がバーボンの工場なのは「バーボンこそがアメリカの酒だ!」と言われているからで、それは、元を辿ればアンチ・イギリスなんですよ。  とりあえず、「俺たちはウィスキーなんて1滴も飲まない!」って言ってたんだけど、ワインは作れないので「なんとか俺たちでも作れる酒はないか?」ということで、バーボンなんです。  あと、紅茶についても、入植初期のアメリカ人は結構飲んでたんですけど、独立戦争の辺りから、これまたやっぱりアメリカ人は意地でも紅茶を飲まなくなって、その結果、まだ未知の飲み物だったコーヒーというのをやたら飲むようになったんです。  「西洋文化の中で最も紅茶を飲まない国・アメリカ」というのが成立したのは、独立戦争で「イギリス憎し! メイド・イン・アメリカ万歳!」という運動が10数年続いたからなんです。  その結果、「バーボンとコーヒーの国・アメリカ」というのが出来上がったわけです。
    ・・・
     まあ、しかし、ついにそんなアメリカにも、本当のアメリカ料理が誕生する時が訪れます。  それが、19世紀末。この当時、ある万能調味料が現れました。
     中国とか日本との貿易を始めたヨーロッパ人は、ビックリしたんですよね。「東洋には万能調味料がある!」と。  例えば、彼らは塩コショウにしても何にしても、ソース類にしてもそうなんですけど、台所で使う調味料と食卓で使う調味料は別だったんですよね。  ところが、東洋には醤油というのものがある。醤油というのは何かというと、台所で使うことも出来れば、食卓に置いてそのままかけることも出来るという、そういう万能の調味料なんです。  「そんな万能の調味料が我々西洋の料理にも欲しい!」と。  まあ、ヨーロッパの方では、食材とかが豊富だから、そこまで切迫してなかったんですけど。  しかし、アメリカでは、今言ったように、とりあえず、食材があまりにも変わっていたし、プロの料理人もほとんどいなかったので、万能調味料というのが必要とされたんです。  その結果、ヨーロッパには全く存在しない野菜だったトマトというのを使ったケチャップなるものが誕生しました。
     ケチャップが発明された場所自体は、たぶんヨーロッパらしいと言われているんですけど。アメリカで急速に普及したんです。  それはなぜかと言うと、「ドイツ系移民が増えたから」なんですね。  ドイツ人の食事というのは、またヨーロッパの中でも特殊なポジションで。「食卓に必ず酸っぱいものがないとダメ」なんです。キャベツの酢漬けみたいな酸っぱいものが。  ところが「アメリカで手に入るものでは、酸っぱいものがなかなか作れない!」と。そんな中、トマトをソースにしたケチャップというのを作ったら、「これはちゃんと酸っぱいし、まあ、ギリいける!」と。  おまけに、煮込んでもよし、直接かけてもよしということで、ケチャップというのが、ドイツ系移民を中心に、アメリカ中に普及した。  これにて「何にでもケチャップをかける」というアメリカ料理の基礎が出来上がるわけですね。
     他にも、ドイツ移民たちは「もっと酸っぱいものはないのか?」ということで、それまで台所ではちょっと使う程度だったマスタードというものまでテーブルに置くようになり、これをガンガン食べるものにのっけたりするようになりました。  つまり、マスタード(辛子)という調味料が、台所から食卓へ上がってくるようになったんです。  と同時にピクルスというものが開発されたんです。「キュウリを酢漬けしておいたら、ドイツ料理っぽくなるよ!」と。「だったら、とにかく何でもかんでもピクルスを入れちまえ!」と。「まあ、本当のドイツ料理じゃないけど、そうすれば、ドイツ料理に段々近づいてくる!」ということで、これが流行りだしたんです。  その結果、マスタード、ケチャップ、ピクルスという、いわゆるハンバーガーの3種の神器がようやっと揃ったわけですね。
    ・・・
     そこにダメ押しで来たのが南北戦争です。  ……すみません、ハンバーガーにまだまだ話がいかなくて。もう30分を超えてるのに(笑)。
     そこでダメ押しで来たのが南北戦争(シビル・ウォー)。南部の農業主義と、北部の工業主義。この2つが戦ったわけですね。  このゼミではよく話してるんですけど、この南北戦争というのは、いわゆる奴隷解放戦争というよりは「奴隷ビジネスである巨大農業対奴隷と、それを排して、黒人を全て消費者にした上で工場で働ける人手として考える工業主義の戦い」だったわけなんですけど。  結果、北部の工業主義が勝ち、南部の巨大農園というのは、次第に分割されて、アメリカは工業国への道を歩みはじめました。
     すると、何が変わるか?  それまでは「巨大農地」と言っても、しょせん、みんなは農地の周りに住んでいたんですよ。つまり、それ以前のアメリカ人の大部分は、奴隷を含めて職場の近くに住んでいたんですね。農地を耕して生きていたから。  ところが、工業化によって次々と生まれた工場というのは、街の近くにあったり、川の近くにあったりするもんだから、必ずしも、住んでいる家の近くにはないんですよ。  それまでのアメリカの普通の人というのは、農地の近くに住んでいた。イコール、お昼になったら、一度、家に帰って、ご飯を食べて、また農地に行くわけですね。だって、近くに住んでいるんですから。  ところが、工場で働くようになると、職場に行って帰ってきたら、やっぱり今と違って電車とかがないので、平気で1時間以上かかっちゃうわけですね。  当時の工場の休み時間って、1時間弱、40分くらいと言われていたので、もう家に帰ってご飯食べることは出来ない。  じゃあ、家から持って来たものを食べるのかと思っても、当時の食料というのは保存品質とかが悪いから、パンみたいなものかリンゴとかなら持って来れるんですけども、本格的なサンドイッチとかは、途中で痛んじゃって、なかなか持ってくることが出来ない。  なので、「アメリカ中に屋台が溢れかえった」と言われています。
     工場の周りは屋台だらけ。街の道路という道路は屋台でいっぱいで、馬さえも通れないような状態だったんですね。  こういう、アメリカの、街中、屋台がいっぱい並んでいる風景って、あんまり写真が残ってないので、見たことがない人が多いんですけど。当時の資料によると、とにかく工場で働く人はみんな屋台で昼飯を食べるしかないから、とんでもない数の屋台があったらしいんです。その中でご飯を食べていたと。  そこで売れてたのは、サンドイッチとか、ソーセージとか、あとはベーグルとかなんですけど。ベーグルはユダヤ人が食べるんですけどね。  ベーグルって、調理工程の中で1回茹でるんですよ。すると、茹でるイコール水の中をくぐらすことによって、ユダヤ人にとっては「戒律を守った食べ物」になる。なので、ベーグルというのはユダヤ人が支持する食べ物だと言われているんですけども。  その中でも、一番売れたのが、当時、ようやっと牧畜が発達してきた結果、いっぱい増えた肉牛を使った、牛肉の塩漬けとか、牛肉をいっぱい使ったビーフサンドイッチでした。
    ・・・
     さて、ビーフサンドイッチというのを屋台で売るんですけども、困ったことに、その当時の貧しい人というのは、歯が揃ってないんですよ。  これまた意外なんですけど、「当時の労働者の歯の数は平均4本」と言われてて……本当にね、あの国、面白すぎるんですけど(笑)。  みんな、歯の数が4本か5本くらいしかないんですよ。なので、ビーフサンドイッチは栄養があるんですけども、食べられないわけですね。  「どうにかして、このビーフサンドイッチみたいな栄養のあるサンドイッチを食べられるように出来ないか?」ということで、そこで、このフィラデルフィア万博で発表された挽き肉器がすごい注目されたんです。
     ここなんですよ。つまり、ちょうど南北戦争が終わって、アメリカ中が農業から工業に切り替わって、人々が外食するようになった。  「農業から工業に変わる」ということは、どういうことかというと「みんなが通貨を使う」ということなんですね。  農業やっている時は、なんだかんだ言っても、物々交換に近かったものが、お金を持って街で物を買うのが当たり前になる。屋台で物を買うのが当たり前になる。  しかし、歯が4本しかない。これでは美味しいビーフサンドイッチが食べられない。  「柔らかいビーフサンドイッチを作ってくれないか?」というニーズが高まって来たところで、ようやっとここでハンバーガーの話になって来るんです。
    「歯磨きしろよ」(コメント)
     今、コメントで流れましたが、まだ、当時のアメリカは「歯磨きの時代」には達していないので、無理を言わないでください(笑)。  「挽き肉に玉ねぎを混ぜて焼けば安いし、歯が少なくても食べられる!」さらに「アメリカンチョッパーによって作られた、この挽き肉料理には、ケチャップ、マスタード、ピクルスがよく合った!」ということで、ついにハンバーガーの誕生となるわけです。
     すみません、無料放送はここまでです。  皆さんが思っていたであろうマクドナルドの話なんか、とんでもない! 言っときますけど、今日、有料放送でも、マクドナルドの話まではいきません。  むしろ、「マクドナルドに行くまでのハンバーガーの歴史を、俺は語りたい」というか。  そもそも、なんでこんな語りたいんだろうね?  それは、ハンバーガーが、やっぱり、自分にとって、特別の食べ物だからですね。  まあ、この「どんなふうに特別なのか?」というのも、後でもう少し振り返ってみようと思いますけど。  やっぱりね、「自分にとって、ラーメンは特別!」みたいなことって、よくあるじゃないですか。それと同じように、僕の中でハンバーガーというのは、ちょっと特別なので、もう少し語らせてください。
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    2019/10/06 #302 「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」
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    ジブリ特集
    岡田斗司夫ゼミ#212:『天空の城ラピュタ』完全解説① 〜超科学とエロス
    岡田斗司夫ゼミ#213:『天空の城ラピュタ』完全解説② 〜幻の産業革命が起こった世界
    岡田斗司夫ゼミ#297:『天空の城ラピュタ』完全解説③ 〜スラッグ渓谷とポムじいの秘密
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    月着陸50周年特集
    岡田斗司夫ゼミ#269:恐怖と贖罪のホラー映画『ファースト・マン』完全解説
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    岡田斗司夫ゼミ#291:アポロ宇宙船(前編)〜地球が静止した1969年7月21日とアポロ11号の打ち上げ
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    岡田斗司夫ゼミ#301:『なつぞら』総決算+マンガ版『攻殻機動隊』解説 第3弾
    岡田斗司夫ゼミ#302:味を超越した“文化としてのハンバーガー論”
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「万能調味料と南北戦争がハンバーガーを作った」

    2019-10-25 07:00  
    9999999pt
    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/25
     今日は、2019/10/06配信の岡田斗司夫ゼミ「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」からハイライトをお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
     このアメリカ料理ってのは面白くて、これに限らず、基本的に「その後に来たドイツ人」「その後に来たポーランド人」「その後に来たイタリア人」というふうに、新しく来たいわゆるイギリス人が差別するような人達から、次々に料理法を教えてもらって、取り入れるんですね。  もともとあったイギリス料理というのは、もう、影も形もなくなって来て、全部、後から来た奴隷とか、もしくは貧しい移民たちの料理というのが混ざっていった結果、アメリカ料理というのが出来ていく。そこら辺が特殊なところだと思います。
     さっきも言ったように、ヨーロッパから来るのは、投機目的の商売人に雇われた農夫か、または、カソリックの締め付けが厳しくて逃げてきたピューリタン(清教徒)か、そんな人らしかいないんですよ。  つまり、とにかく、圧倒的な料理人不足でもあったんですね。  これも特殊なところで。人がこんなに来ているのに、ヨーロッパ人が食べる小麦がなく、採れる魚も、採れる肉も、バッファローの肉みたいな、それまで見たことのない食材ばっかり。そんな中で、料理人が圧倒的に少ないという状態が、まず、アメリカの建国から100年くらい続くわけです。  この100年くらい続いている状態で、さっきも言ったように、奴隷歴が長い黒人や、現地での料理に慣れている人に、トウモロコシとかバッファローの料理をやらせて、徐々に徐々に「黒人が料理を作る」という文化が出来ていく。  つまり、西洋と違って、奴隷から上がって来て、家の中に入って来た「ハウス奴隷」とでもいう人達が、調理を担当するようになってきたわけですね。  このような「ヨーロッパから来た本職の料理人がいない」、あと「未知の食材ばっかり」という条件によって、インディアンや黒人の料理を、なぜか白人までもが食べるようになってしまうという、アメリカ料理のベースが出来上がりました。
    ・・・
     しかし、そんな中、唯一定着しなかったのが、最初期の移民であるイギリス人のイギリス料理なんですよね。  それはなぜかというと、アメリカへの入植が始まってから、50年か100年くらい経った時に独立戦争が始まって、これによってアメリカ全土に「愛国ブーム」というのが起こったんですね。  まあ「愛国ブーム」と言うか、ハッキリ言って「アンチ・イギリスブーム」なんですよ。「とにかく、イギリス製のものは食べない、飲まないことが愛国的だ!」という国民運動が、独立戦争の時にザッと広がった。  そのおかげで、みんなウィスキーを飲まなくなったんです。「ウィスキーでない! 俺達はアメリカ人だ! アメリカ的な飲み物はないのか!?」という時に「トウモロコシから酒が作れるぞ?」って、またインディアンが教えてくれたんです。その結果、バーボンを作ったわけですね。  なので、『キングスマン』に出てくる、アメリカ版の諜報員、ステーツマンの本拠地がバーボンの工場なのは「バーボンこそがアメリカの酒だ!」と言われているからで、それは、元を辿ればアンチ・イギリスなんですよ。  とりあえず、「俺たちはウィスキーなんて1滴も飲まない!」って言ってたんだけど、ワインは作れないので「なんとか俺たちでも作れる酒はないか?」ということで、バーボンなんです。  あと、紅茶についても、入植初期のアメリカ人は結構飲んでたんですけど、独立戦争の辺りから、これまたやっぱりアメリカ人は意地でも紅茶を飲まなくなって、その結果、まだ未知の飲み物だったコーヒーというのをやたら飲むようになったんです。  「西洋文化の中で最も紅茶を飲まない国・アメリカ」というのが成立したのは、独立戦争で「イギリス憎し! メイド・イン・アメリカ万歳!」という運動が10数年続いたからなんです。  その結果、「バーボンとコーヒーの国・アメリカ」というのが出来上がったわけです。
    ・・・
     まあ、しかし、ついにそんなアメリカにも、本当のアメリカ料理が誕生する時が訪れます。  それが、19世紀末。この当時、ある万能調味料が現れました。
     中国とか日本との貿易を始めたヨーロッパ人は、ビックリしたんですよね。「東洋には万能調味料がある!」と。  例えば、彼らは塩コショウにしても何にしても、ソース類にしてもそうなんですけど、台所で使う調味料と食卓で使う調味料は別だったんですよね。  ところが、東洋には醤油というのものがある。醤油というのは何かというと、台所で使うことも出来れば、食卓に置いてそのままかけることも出来るという、そういう万能の調味料なんです。  「そんな万能の調味料が我々西洋の料理にも欲しい!」と。  まあ、ヨーロッパの方では、食材とかが豊富だから、そこまで切迫してなかったんですけど。  しかし、アメリカでは、今言ったように、とりあえず、食材があまりにも変わっていたし、プロの料理人もほとんどいなかったので、万能調味料というのが必要とされたんです。  その結果、ヨーロッパには全く存在しない野菜だったトマトというのを使ったケチャップなるものが誕生しました。
     ケチャップが発明された場所自体は、たぶんヨーロッパらしいと言われているんですけど。アメリカで急速に普及したんです。  それはなぜかと言うと、「ドイツ系移民が増えたから」なんですね。  ドイツ人の食事というのは、またヨーロッパの中でも特殊なポジションで。「食卓に必ず酸っぱいものがないとダメ」なんです。キャベツの酢漬けみたいな酸っぱいものが。  ところが「アメリカで手に入るものでは、酸っぱいものがなかなか作れない!」と。そんな中、トマトをソースにしたケチャップというのを作ったら、「これはちゃんと酸っぱいし、まあ、ギリいける!」と。  おまけに、煮込んでもよし、直接かけてもよしということで、ケチャップというのが、ドイツ系移民を中心に、アメリカ中に普及した。  これにて「何にでもケチャップをかける」というアメリカ料理の基礎が出来上がるわけですね。
     他にも、ドイツ移民たちは「もっと酸っぱいものはないのか?」ということで、それまで台所ではちょっと使う程度だったマスタードというものまでテーブルに置くようになり、これをガンガン食べるものにのっけたりするようになりました。  つまり、マスタード(辛子)という調味料が、台所から食卓へ上がってくるようになったんです。  と同時にピクルスというものが開発されたんです。「キュウリを酢漬けしておいたら、ドイツ料理っぽくなるよ!」と。「だったら、とにかく何でもかんでもピクルスを入れちまえ!」と。「まあ、本当のドイツ料理じゃないけど、そうすれば、ドイツ料理に段々近づいてくる!」ということで、これが流行りだしたんです。  その結果、マスタード、ケチャップ、ピクルスという、いわゆるハンバーガーの3種の神器がようやっと揃ったわけですね。
    ・・・
     そこにダメ押しで来たのが南北戦争です。  ……すみません、ハンバーガーにまだまだ話がいかなくて。もう30分を超えてるのに(笑)。
     そこでダメ押しで来たのが南北戦争(シビル・ウォー)。南部の農業主義と、北部の工業主義。この2つが戦ったわけですね。  このゼミではよく話してるんですけど、この南北戦争というのは、いわゆる奴隷解放戦争というよりは「奴隷ビジネスである巨大農業対奴隷と、それを排して、黒人を全て消費者にした上で工場で働ける人手として考える工業主義の戦い」だったわけなんですけど。  結果、北部の工業主義が勝ち、南部の巨大農園というのは、次第に分割されて、アメリカは工業国への道を歩みはじめました。
     すると、何が変わるか?  それまでは「巨大農地」と言っても、しょせん、みんなは農地の周りに住んでいたんですよ。つまり、それ以前のアメリカ人の大部分は、奴隷を含めて職場の近くに住んでいたんですね。農地を耕して生きていたから。  ところが、工業化によって次々と生まれた工場というのは、街の近くにあったり、川の近くにあったりするもんだから、必ずしも、住んでいる家の近くにはないんですよ。  それまでのアメリカの普通の人というのは、農地の近くに住んでいた。イコール、お昼になったら、一度、家に帰って、ご飯を食べて、また農地に行くわけですね。だって、近くに住んでいるんですから。  ところが、工場で働くようになると、職場に行って帰ってきたら、やっぱり今と違って電車とかがないので、平気で1時間以上かかっちゃうわけですね。  当時の工場の休み時間って、1時間弱、40分くらいと言われていたので、もう家に帰ってご飯食べることは出来ない。  じゃあ、家から持って来たものを食べるのかと思っても、当時の食料というのは保存品質とかが悪いから、パンみたいなものかリンゴとかなら持って来れるんですけども、本格的なサンドイッチとかは、途中で痛んじゃって、なかなか持ってくることが出来ない。  なので、「アメリカ中に屋台が溢れかえった」と言われています。
     工場の周りは屋台だらけ。街の道路という道路は屋台でいっぱいで、馬さえも通れないような状態だったんですね。  こういう、アメリカの、街中、屋台がいっぱい並んでいる風景って、あんまり写真が残ってないので、見たことがない人が多いんですけど。当時の資料によると、とにかく工場で働く人はみんな屋台で昼飯を食べるしかないから、とんでもない数の屋台があったらしいんです。その中でご飯を食べていたと。  そこで売れてたのは、サンドイッチとか、ソーセージとか、あとはベーグルとかなんですけど。ベーグルはユダヤ人が食べるんですけどね。  ベーグルって、調理工程の中で1回茹でるんですよ。すると、茹でるイコール水の中をくぐらすことによって、ユダヤ人にとっては「戒律を守った食べ物」になる。なので、ベーグルというのはユダヤ人が支持する食べ物だと言われているんですけども。  その中でも、一番売れたのが、当時、ようやっと牧畜が発達してきた結果、いっぱい増えた肉牛を使った、牛肉の塩漬けとか、牛肉をいっぱい使ったビーフサンドイッチでした。
    ・・・
     さて、ビーフサンドイッチというのを屋台で売るんですけども、困ったことに、その当時の貧しい人というのは、歯が揃ってないんですよ。  これまた意外なんですけど、「当時の労働者の歯の数は平均4本」と言われてて……本当にね、あの国、面白すぎるんですけど(笑)。  みんな、歯の数が4本か5本くらいしかないんですよ。なので、ビーフサンドイッチは栄養があるんですけども、食べられないわけですね。  「どうにかして、このビーフサンドイッチみたいな栄養のあるサンドイッチを食べられるように出来ないか?」ということで、そこで、このフィラデルフィア万博で発表された挽き肉器がすごい注目されたんです。
     ここなんですよ。つまり、ちょうど南北戦争が終わって、アメリカ中が農業から工業に切り替わって、人々が外食するようになった。  「農業から工業に変わる」ということは、どういうことかというと「みんなが通貨を使う」ということなんですね。  農業やっている時は、なんだかんだ言っても、物々交換に近かったものが、お金を持って街で物を買うのが当たり前になる。屋台で物を買うのが当たり前になる。  しかし、歯が4本しかない。これでは美味しいビーフサンドイッチが食べられない。  「柔らかいビーフサンドイッチを作ってくれないか?」というニーズが高まって来たところで、ようやっとここでハンバーガーの話になって来るんです。
    「歯磨きしろよ」(コメント)
     今、コメントで流れましたが、まだ、当時のアメリカは「歯磨きの時代」には達していないので、無理を言わないでください(笑)。  「挽き肉に玉ねぎを混ぜて焼けば安いし、歯が少なくても食べられる!」さらに「アメリカンチョッパーによって作られた、この挽き肉料理には、ケチャップ、マスタード、ピクルスがよく合った!」ということで、ついにハンバーガーの誕生となるわけです。
     すみません、無料放送はここまでです。  皆さんが思っていたであろうマクドナルドの話なんか、とんでもない! 言っときますけど、今日、有料放送でも、マクドナルドの話まではいきません。  むしろ、「マクドナルドに行くまでのハンバーガーの歴史を、俺は語りたい」というか。  そもそも、なんでこんな語りたいんだろうね?  それは、ハンバーガーが、やっぱり、自分にとって、特別の食べ物だからですね。  まあ、この「どんなふうに特別なのか?」というのも、後でもう少し振り返ってみようと思いますけど。  やっぱりね、「自分にとって、ラーメンは特別!」みたいなことって、よくあるじゃないですか。それと同じように、僕の中でハンバーガーというのは、ちょっと特別なので、もう少し語らせてください。
    記事全文は、アーカイブサイトでお読みいただけます。
    2019/10/06 #302 「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」
    ゼミ、マンガ・アニメ夜話 電子書籍販売中!
    AmazonのKindleストアで、岡田斗司夫ゼミ、岡田斗司夫マンガ・アニメ夜話の電子書籍を販売中です(「岡田斗司夫アーカイブ」でもご覧いただけます)。
    ジブリ特集
    岡田斗司夫ゼミ#212:『天空の城ラピュタ』完全解説① 〜超科学とエロス
    岡田斗司夫ゼミ#213:『天空の城ラピュタ』完全解説② 〜幻の産業革命が起こった世界
    岡田斗司夫ゼミ#297:『天空の城ラピュタ』完全解説③ 〜スラッグ渓谷とポムじいの秘密
    岡田斗司夫ゼミ#296:『崖の上のポニョ』を精神分析する〜宮崎駿という病
    岡田斗司夫ゼミ#298:『崖の上のポニョ』はどうやって生まれたか 〜空想で現実を書き換える
    月着陸50周年特集
    岡田斗司夫ゼミ#269:恐怖と贖罪のホラー映画『ファースト・マン』完全解説
    岡田斗司夫ゼミ#258:アポロ計画と4人の大統領
    岡田斗司夫ゼミ#250:白い悪魔“フォン・ブラウン” 対 赤い彗星“コロリョフ” 未来をかけた宇宙開発戦争の裏側
    岡田斗司夫ゼミ#291:アポロ宇宙船(前編)〜地球が静止した1969年7月21日とアポロ11号の打ち上げ
    岡田斗司夫ゼミ#292:アポロ宇宙船(後編)〜月着陸と月面歩行
    岡田斗司夫ゼミ
    岡田斗司夫ゼミ#287:『アラジン』特集、原作からアニメ版・実写版まで徹底研究!
    岡田斗司夫ゼミ#288:映画『君の名は。』完全解説
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    岡田斗司夫ゼミ#294:『千と千尋の神隠し』の不思議な話と、幽霊、UFO、怪奇現象の少し怖い話特集
    岡田斗司夫ゼミ#295:終戦記念『シン・ゴジラ』特集、「ゴジラと核兵器」
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    岡田斗司夫ゼミ#300:雑談スペシャル&視聴者からの悩み相談
    岡田斗司夫ゼミ#301:『なつぞら』総決算+マンガ版『攻殻機動隊』解説 第3弾
    岡田斗司夫ゼミ#302:味を超越した“文化としてのハンバーガー論”
    マンガ・アニメ夜話
    ガンダム完全講義1:虫プロの倒産とサンライズの誕生
    ガンダム完全講義2:ついに富野由悠季登場!
    ガンダム完全講義3:『マジンガーZ』、『ゲッターロボ』から始まる映像革命
    ガンダム完全講義4:第1話「ガンダム大地に立つ!!」解説
    ガンダム完全講義5:第2話「ガンダム破壊命令」解説Part1
    ガンダム完全講義6:第2話「ガンダム破壊命令」解説Part2
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    ガンダム完全講義8:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part2
    ガンダム完全講義9:第3話「敵の補給艦を叩け!」解説Part3
    ガンダム完全講義10:第4話「ルナツー脱出作戦」解説
    ガンダム完全講義11:第5話「大気圏突入」解説
    ガンダム完全講義12:第6話「ガルマ出撃す」解説Part1
    ガンダム完全講義13:第6話「ガルマ出撃す」解説Part2
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「マック好きも嫌いな人も〜試験に出るハンバーガー年表」

    2019-10-24 07:00  
    9999999pt
    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/24
     今日は、2019/10/06配信の岡田斗司夫ゼミ「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」からハイライトをお届けします。
     岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。  サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
     ということで、ここからは「試験に出るハンバーガー年表」というのを見てみましょう。今日ハンバーガー特集なので、ハンバーガー年表ですね。 (パネルを見せる)
    【画像】ハンバーガー年表 19世紀末にハンバーガーが誕生して、まあ、いろんなところがあるんですけども。  この中で大事なこと、皆さんに覚えておいていただきたいことが、1876年のフィラデルフィア万国博覧会です。 (パネルを見せる)
    【画像】フィラデルフィア万博 このフィラデルフィア万国博覧会でアメリカンチョッパーと言われる挽き肉器が発売されました。  それまで挽き肉というのは、肉屋が鋭い包丁で、デカい肉の塊をこそげ取るようにして作ってたんですね。なので、挽き肉って、作るのが結構大変だったんですよ。  そんな中、この19世紀末のフィラデルフィア万博で、手回し式の挽き肉器というのが発表された結果、5年か10年くらいでアメリカ中に広まったんです。
     やっぱりね、肉屋さんも苦労してたんですよ。というのは、柔らかくて美味しい肉は売れるんだけど、硬い肉とか、すじ肉とか、内蔵みたいなものは、やっぱりなかなか売れないんですよね。  それを挽き肉にして他の肉に混ぜると、まとめて柔らかい肉として売ることが出来る、と。  というわけで、万博で発表されたアメリカンチョッパーと、他にもパシフィックチョッパーというメーカーもあったそうなんですけど、こういった挽き肉器は、あっという間にアメリカ中に普及しました。
    ・・・
     19世紀末には、一応、焼いた挽き肉をパンに挟んだハンバーガーという料理が誕生したらしいんですけど。  アメリカ中に「うちこそが元祖だ!」と言う店があるんですよ。  例えば、1880年にテキサス州アセンズで、同じ頃にウィスコンシン州シーモアで、1885年にはニューヨークで「うちが最初だ!」って言うところがありますし、1900年にはコネチカット州のニューヘブンという土地にある店が「うちが元祖だ!」と言ってます。
     こんなふうに、アメリカ中に「うちの街が~」とか「うちの店が元祖だ!」と言うとこがあるんですけど。
    【画像】ルイーズ・ランチ(「別冊Lightning vol.49 ハンバーガーの本」枻出版社より) まあ、一応、コネチカット州ニューヘブンにある、1900年に作ったというルイーズ・ランチという店が、当時の調理器具とか写真とかがそのまま残っているので、証拠を辿っていった場合、ここが最初と言えるかもしれません。  それ以前の、1885年とか1890年にやったというところもあるんですけど、証拠がないんですよね。  その点、このルイーズ・ランチは「当時、幌馬車のワゴンでステーキサンドイッチを売っていて、そこでハンバーガーを始めた」という証拠があるので、まあ、ここが最初じゃないかと思います。
    ・・・
     こういうふうに、ハンバーガーというのは、アメリカ料理の代表みたいなものなんですけど。  この「アメリカ料理」ってね、実はちょっと難しくて。もともと、アメリカ料理なんていうものは存在しなかったんですよね。
     正確に言うと、黒人料理とか、インディアン料理……これは「いわゆるインディアン」ですね。アメリカ原住民のことです。そういうものは存在するんですよ。ところが、アメリカ料理というのは存在しなかった。  なぜかと言うと、ヨーロッパ人がアメリカを発見してから、この新大陸アメリカに来たのって、みんな金儲け目的の人らばっかりだったんですよ。  投機目的の農場主が来たわけですね。それも、大部分が不在農家というやつで。ヨーロッパでアメリカの土地の権利を買ったり、もしくは船団だけを出したんだけど、実際に米国に来るのは大金持ちに雇われた手下とか、身分は低いけれど信頼されている召し使いだったんです。  そんな人らがアメリカ大陸まで来て、もう本当に追放みたいに一方通行で送られて、アメリカの現地に着いてから、アフリカの奴隷を買いまくって、現地で農業を始めるわけなんですよ。  なんかね、すごい特殊でしょ? アメリカという国は建国時点から、なんかすごい特殊なんですけど、その理由は、まず「ほとんどが金儲けで来る人ばっかりだった」ということなんですね。
     金儲けで来る人達というのは、現金を持っているので、それで黒人奴隷を買って農業を始めようとするんです。  ところが、その農業というのはサトウキビの栽培なんですよね。小麦じゃないんですよ。  「小麦みたいに、自分達が食えるものを作って自活していこう!」というのではなくて、完全に貿易目的、金目的なんですね。金目的なので、使える土地には全部サトウキビを植えちゃうんですよ。  だって、全員召し使いですから、主人に命令されているわけですよ。「とりあえず、土地を耕したら、そこにはサトウキビを植えろ!」と。「サトウキビを作っとけば、ヨーロッパでメチャクチャ高く売れるから、とにかくサトウキビ作れ、作れ!」と言われているんです。  しかし、そういう人達が「ああ、サトウキビを作るのか。俺たちが食べる食料は、まあ、現地に行ったらなんとか買えるだろう」なんて思ってたんですけど、この時点でのアメリカには、まだ農産物の取引市場なんか成立してないので、手に入らないんですよね。  なので、食べるものにいきなり困っちゃって。さっきも言ったように、小麦の種も持って来ていませんから。  とりあえず、サトウキビをヨーロッパに輸出して儲かるんですけど、その儲けた金は、やっぱり「農園をどんどん広げて、奴隷を買って~」というふうに使われるわけですよ。  仕方がないから、インディアン達、現地の原住民からトウモロコシの調理方法を聞くんですね。  トウモロコシというのは、ヨーロッパ大陸ではみんな見たこともない食材で、下手に加熱すると弾けてポップコーンみたいになってしまうし、粉を作るにも、小麦とは全然勝手が違うんですね。なんか、こう、小麦よりもずっと固まってて、おまけに粘り気もあるし、湿ってるし、扱いにくくて扱いにくくてしょうがない。  「これどうやって食べたらいいんだ?」というのも、まずインディアンに聞くしかなかったんです。  と、同時に、アフリカの奴隷を買って来る時というのは、前からいる奴隷に混ぜるわけですね。現地のアフリカ奴隷に。  最初にアフリカから来た奴隷たちというのは、アメリカ大陸に来て、もう10年20年も経っているので、アメリカでの暮らしに慣れてきているわけです。  なので、アメリカ原産の作物を使って、なんとか食い物を作る方法がわかってきている。  ここで、黒人の奴隷料理というのが生まれて来るわけですね。アフリカは、もともと、アジア圏のような米食文化なので、彼らは米をちょっと持ち込んだりしてたんです。  そういう、ヨーロッパ人にとっては「なんじゃこれ?」というような、米文化とトウモロコシ文化、それぞれインディアンと黒人が持ってた文化というのが混ざってきて、徐々に徐々にアメリカ料理の土台が出来つつありました。
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    2019/10/06 #302 「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」
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  • 岡田斗司夫プレミアムブロマガ「人生の中心にある食べ物「ハンバーガー」を語る」

    2019-10-23 07:00  
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    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/10/23
     今日は、2019/10/06配信の岡田斗司夫ゼミ「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」からハイライトをお届けします。
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     じゃあ、今日の特集のハンバーガーです。  ハンバーガーについてお便りを貰いました。ハンドルネームコウコウ(koukou)さん。

    私にとっての初めてのハンバーガーはモスバーガーです。

     ああ、モスバーガーね。

    私の地元(福井)では、確か中学1,2年生の1980年~81年頃にモスバーガーが初めて出来て、その頃はまだマクドナルドはありませんでした。

     地方あるあるですね。

    田舎育ちなので、中2頃に初めて友達同士で駅前に買い物に行って、帰りのバスを待つ間、ドキドキしながら「モスバーガー」を食べました。 マクドナルドが地元に出来たのは、5年くらい経った、1985年(昭和60年)頃でした。 駅前にあった「モスバーガー」も「マクドナルド」も、10年前くらいに店じまいして、今は郊外店や、ショッピングセンターにあるだけです。 田舎の駅前は今はそんな寂れた感じです。

     そうですね。「いつ自分の街にマクドナルドが来たのか?」とか「モスが来たのか?」とか「ケンタが来たのか?」って、やっぱりあるじゃないですか。  東京に住んでいると、そういうことを感じないんですけど。やっぱり、地方に住んでいると「どのファーストフードが自分のところに来たのか?」っていうのが、あるあるでね。やっぱり、思い出すといい思い出なんですね。  コウコウさんには、新しいステッカーあげます。 (ステッカーを見せる)
    【画像】新しいステッカー これ、新しいステッカーです。ハンバーガー特集ということで、ちょっと太った自分を「『かりそめ天国』のマツコ・デラックスのイラストをパクってくれ!」とイラストレーターにお願いして、完全にパクった感じに作って貰いました(笑)。  このステッカーを差し上げます。  僕も、モスバーガーじゃなかったんですけど、一番最初に近所に出来たのが、沢ノ町という駅に出来たドムドムバーガーで。僕はそこに散々通ってました。  まあ、マックがなかったから我慢してたんですけどね。
    ・・・
     次は、ペンネーム麻ぴー最高さんからのお便りです。

    ハンバーガー、それは『ポパイ』のウィンピーが食べてるモノ。 当時6歳以下だった自分にとって、ハンバーグは未知なる食べ物で「それがパンに挟んである!?」という、ほんとにおいしそうに見えて食べたい食べ物でした。 幼稚園での昼食時、友達の弁当にハンバーグなるものが入っているのを見て、すごくいい匂いでおいしそうに見え、どうしても食べたくなって、家に帰って母に「アレが食べたい!」と必死で訴えました。 『ポパイ』でハンバーガーの名称は知ってはいても、実物は見たこともないし、それこそがパンに挟まってたハンバーグだと気が付くはずもなく、「アレがどのような食べ物か」「お肉でできた外見」とか「ケチャップがかかってた」とか、なんとか説明したのだと思います。 後日、ほんとうにハンバーグを作ってくれて、お弁当にも入れてくれて、それがほんとにおいしくて、強烈な記憶として残っています。もうじき58になりますが、今でもハンバーグは大好物です。

     ああ、もうあるあるですよね、これ。  あのね、僕みたいな昭和30年代生まれの人間というのは「いつコカ・コーラが入って来たか?」とか「いつピザが日本に入って来たか?」とか「ピザの前にはピザトーストというのが喫茶店で入った」とか「ハンバーガーが来た」「チキンが来た」というのが、本当に鮮明な記憶としてあるんですね。  それが後ろの方になって、平成生まれの人になってきたら、「いつタピオカが来た」とか、そういう記憶に変わっていくのかもわからないんですけど。  こういう話、僕ね、わりと好きなんですよ。なので、ステッカーを差し上げます。  「ウィンピー」と言われてもピンと来ない人もいると思いますけど、『ポパイ』の中に出て来る、こういう、ちょっとダサいオジサンのキャラなんですね。 (パネルを見せる)
    【画像】ウィンピー このウィンピーというのは、ハンバーガーが好きで、バーベキュー用のグリルで焼いているのを食べてたんですけど。本当に、何を食べているのか全くわからないわけですね。  当時の『ポパイ』って、モノクロのアニメだから、余計に色がわからなくて「何を食べてるんだろう?」と思ってたんですけど。
    ・・・
     ペンネーム海じじいさん。

    岡田さん、ハンバーガーのお話楽しみにしています! 日本でハンバーガーの売上に最も貢献したのは、スレッガー・ロウ中尉と狸だと思っています! 特に『ぽんぽこ』を見た後は、マクドナルドにダッシュしたくなります!

     ああ、スレッガー中尉のことを忘れてたな。  確かに、『機動戦士ガンダム』で、ソロモン戦いの途中で、燃料補給に来たスレッガー中尉がハンバーガー食べているシーンがありましたよね。 (パネルを見せる)
    【画像】スレッガー中尉 ©創通・サンライズ ただ、このハンバーガー、美味しくなさそうなんですよ。というのは、パンがやたら硬そうで。「ああ、これ、軍の支給のハンバーガーで、おまけに自動販売機から出てくるようなやつだから、パンが硬いんだろうな」と。  スレッガー中尉も、ものすごい力こめて、こう、むしり取るように食べてたんですよね。それが印象的でした。
     『平成狸合戦ぽんぽこ』のハンバーガーのシーンは、食べ方が小汚くてあんまり美味しそうに見えないんですけど。 (パネルを見せる)
    【画像】『ぽんぽこ』 ©1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH でも、確かに見た後に、マクドナルドとかのジャンクな感じがするようなハンバーガー、それも一番安いような、ノーマルのハンバーガーかチーズバーガーが、やっぱり食べたくなりますね。
    「狸ってハンバーガー食えるの?」(コメント)
     狸は基本的に食べますよ。  あれね、実話だったんじゃなかったかな? 「所沢かどこかでゴミに出されたハンバーガーを狸が食べていた」というニュースがあったと思いますよ。
     ステッカー差し上げます。  この他にも、アニメの中の食べ物って、『ハイジ』のチーズとか、あと『カリ城』のパスタとか、『ラピュタ』の目玉焼きトーストとかがあるんですけど。  それに比べれば、スレッガーさんのハンバーガーは、あんまり美味しそうじゃなかったんですね。
    記事全文は、アーカイブサイトでお読みいただけます。
    2019/10/06 #302 「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」
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