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『不落の重装戦術家』 第3話:風に散らせぬもの【1】
コメ2
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
5日前
「……合同調査?」 思わず口をついて出た言葉だった。私の発したそれは、おそらく多分に苛立ちを伴ったものであったことだろう。話を遮られたユーリィ団長は、溜息交じりに目を伏せる。 こんな夜中に団長執務室へ呼び出されるのは久しぶりだった。聖騎士団・不落として任務を帯びる際は、団長もしくはその使いの者か...
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創作小説『不落の重装戦術家』目次一覧(12/3更新)
コメ0
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
5日前
こちらは、チャンネル会員限定コンテンツ 『 不落の重装戦術家 』 創作小説の目次となります。
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【1~6章まとめ版】(1~2章無料)
コメ0
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
1ヶ月前
【1章】 夢を、見ていた。 壁まで視界が通らぬほどの暗い部屋。小窓を抜ける月明かりはそっと闇に溶け、その中央、樹木が自らその姿形を望んだかのようなテーブルを挟み、二人のエルフが座っていた。少し手を伸ばせば相手に触れることができそうな距離、その間に、一対の小さな魔法の灯を漂わせて。一つは揺らめく炎の...
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【終】
コメ0
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
1ヶ月前
目に見えぬ空間へと伸ばした手が確かに掴む、『何か』。 その感触が、指先から腕、全身へと伝わっていく。その直後に予感させる、勢いそのままに逃れようとする力。私は重心が揺らぐより先に、身体を捻じり上げるようにして、その力ごと背後へと引き戻した。 手応えを得て、硬直していた手を開放する。その視線の...
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【5】
コメ1
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2ヶ月前
押し開けたドアの隙間から外気が勢いよく流れ込み、纏わり付く魔具店内の淀んだ空気を洗い流す。肺の中まで澄んだ空気が満ちる頃には、私は後ろ手にドアを閉めていた。まだ日差しは高く、薄暗い店内に慣れた目が少し眩む。 店を出て左右と正面には、馬車一台が通れる程度の直線路が伸びている。しかしいずれの道先...
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【4】
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3ヶ月前
ランプの灯りが揺れ照らす室内。ほかに光源のないその薄暗がりの中、帳場台に置かれた一枚の金貨が、光を映して微かに煌めいていた。「……なるほどのォ、透明化した追跡者」 店主は皺の寄った手指で金貨を摘まむと、椅子にもたれ、目の高さでくるくると回す。少しの間を置いて、乱反射する光の向こう、店主の眼光が...
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【3】
コメ2
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
4ヶ月前
昼を過ぎても、湿り気を帯びる裏路地。 人々の住まう気配は確かにありながらも、曲がり角を行くほどに、遠く聞こえていた町の喧騒すらも消え失せていく。そういう場所を求めているのは私ではなく、その後ろを付いてまわる追跡者の方だ。そしてそれを、私を案内している男も理解している。とはいえ。「姐さんには、...
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【2】
コメ1
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
5ヶ月前
七年を戦い、五年の復興を経てなお、手にした勝利と癒えぬ傷跡が共存する『帝国』。 魔族侵略の標的とされつつも、複数国家の連携結託が間に合った数少ない連合体である『帝国』は、だが急造ゆえに名を持つこともできぬまま、属した国々の思惑と解体、責任転嫁と再統合を経て、その枠組みだけが今も辛うじて残され...
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『不落の重装戦術家』 第2話:楽しい休日【1】
コメ1
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
6ヶ月前
夢を、見ていた。 壁まで視界が通らぬほどの暗い部屋。小窓を抜ける月明かりはそっと闇に溶け、その中央、樹木が自らその姿形を望んだかのようなテーブルを挟み、二人のエルフが座っていた。少し手を伸ばせば相手に触れることができそうな距離、その間に、一対の小さな魔法の灯を漂わせて。一つは揺らめく炎のように...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【1~6章まとめ版】(1~2章無料)
コメ0
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
8ヶ月前
【1章】 その日も、朝から静かな一日だった。 午後の陽光が小さな窓を抜け、傷んだ木床を容赦なく炙る、静寂に包まれた兵舎。 歩を進めるたびガチャガチャと鎧が擦れ、頼りなさげに廊下が軋むその先に、古ぼけながらも見慣れたドアが私を迎えてくれた。いつものように手甲に魔力を籠め、丸いドアノブをゆっくりと...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【終】
コメ3
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
8ヶ月前
その日も、朝から静かな一日だった。 星明りが硝子窓を抜け、傷んだ木床を撫でるように照らす、静寂に支配された兵舎。歩くたび擦れる鎧の音を耳障りに感じながらも、軋む廊下の先、暗がりに溶け込む見慣れたドアは、いつもと変わらずに私を迎えてくれた。魔力を籠めながらゆっくりとドアノブを捻る。侵入者の形跡...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【5】
コメ3
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
9ヶ月前
私の知らぬ間に急遽編成されたという帝国聖騎士隊。耳慣れぬ声をした指揮官の弩弓斉射号令。『不落』たる私を前に遅滞なく命令を遂行する弩弓兵。殺意を乗せて飛来する矢弾の群れ。 なんとも不可思議な光景だ。今この瞬間、世のすべてを敵に回した気さえする。 一方ゴルトマン陣営は、部下一同が身体を盾にゴルト...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【4】
コメ4
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
10ヶ月前
決して表情に出すまいと平静を装うに努めたこの数秒が、私には途方もない時間に感じられた。 今回の任務は、何者かに拉致されたゴードン・ゴルトマンの救出と実行犯の殲滅だったはずだ。しかし今、その頭目らしき男がゴルトマンを名乗り、確かにその顔は過去の記憶と一致している。面倒なことになりそうだと思った...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【3】
コメ3
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
11ヶ月前
私の意思一つで起爆する爆炎球を肩に浮かべながら、男は坑道内を先導し続ける。その背中を常に視界のどこかに捉えながら、私は少なからず違和感を覚えていた。 この男が廃坑入口で言った『あんたが来るとは』という言葉。あれは、私の存在が想定外であるからこそと思った。しかし、私を『不落』として認識しながら...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【2】
コメ7
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
12ヶ月前
沈みかけの日に周囲が赤々と染まる頃、隣国との国境近く。この付近一帯は深い森に覆われており、一本の街道だけが頼りなさげに国同士を繋いでいる。そこから少し外れに分け入った先、人の肩幅はあろう樹木の影。認識阻害の魔法結界に身を潜めながら、私は指示書の内容を思い返していた。 要人救出、対象は帝国の高官...
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『不落の重装戦術家』 第1話:静かな日【1】
コメ9
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
13ヶ月前
その日も、朝から静かな一日だった。 午後の陽光が小さな窓を抜け、傷んだ木床を容赦なく炙る、静寂に包まれた兵舎。 歩を進めるたびガチャガチャと鎧が擦れ、頼りなさげに廊下が軋むその先に、古ぼけながらも見慣れたドアが私を迎えてくれた。いつものように手甲に魔力を籠め、丸いドアノブをゆっくりと捻る。なんの...