-
「続・好きな子とペアになって下さい」
コメ0 草の根広告社 30ヶ月前
成長よりも成熟について考える機会が増えた。それが老いというものなのだろうか。自分的には子育てを始めたのが大きいのではないかと感じている。子育てに取り組んでいていつも思う。子育ては子どもだけでなく、大人も共に育つ良い機会だ、と。子どもにとっては何もかもが生まれて初めてだ。彼らに寄り添っていると知...
-
「好きな子とペアになって下さい」
コメ0 草の根広告社 30ヶ月前
娘が、また新たな世界の入り口に立ったようだ。保育園のみんなと海へ散歩に行ったときの話だ。昨日までは先生が決めたペアと手を繋いで歩いていたという。だが、その日は違った。「今日は好きな子と手を繋いでいいですよ」 彼女にとって悲劇だったのは、休みの日も家を行き来して遊んでいる友達が休みだったことだ。...
-
「君は本当は自由なんだよ」
コメ0 草の根広告社 30ヶ月前
子どもってなんて不自由な生き物なんだろう。 生まれる前から娘を見ているぼくの、正直な感想だ。最初は寝返りも打てない。這い這いできるようになっても、歩けるようになっても行きたいときに行きたいところに自分ひとりで行くことはできない。海も川も公園も友達に会うのもいつも保護者にサポートを頼まねばならない。
-
「2023年のランドセル」
コメ0 草の根広告社 31ヶ月前
ぼくにとって学校は全体主義に染まりきった世界だった。少なくとも、1980年代に学生生活を送ったぼくにとっては。校則と相互監視。人と違うことを認めない社会。それは教師という権威が国家が求める人材を効率的に社会に送り出せるよう官僚によって構築されたシステムだった。
-
「あたらしい季節が始まっていく」
コメ0 草の根広告社 31ヶ月前
月曜の朝、娘を眼科に連れていく。週末から「目が痒い」と訴えていたからだ。 受付を済ませ、閑散とした待合室の長椅子に並んで坐る。初夏の陽射しが柔らかなカーテンを通って静謐な廊下に日溜まりを作っていた。診察開始までまだ20分近くあった。
-
「小学校ってなにするところ?」
コメ0 草の根広告社 31ヶ月前
トーストを食べるたびに思う。小麦を捏ねて焼いたパンを焼いてみようと最初に思いついた人の発想力は凄いなと。月並みだが「常識を疑うこと」が始まりだったのだろうか。頭痛が痛いに代表される重言のような違和感はなかったのだろうか。焼き窯から出した一斤のパンをスライスしてまた焼こうとした瞬間「いやいや、焼...
-
「歩くのが速かったぼくは」
コメ0 草の根広告社 31ヶ月前
「パパ歩くの速い」 娘が一歳半くらいの頃、一緒に歩くたびに斜め後ろの下の方から助けを求めるような声が聞こえてきた。生まれたばかりの雛みたいな声だった。
-
「わからないから価値がある」
コメ0 草の根広告社 32ヶ月前
ぼくらの当たり前が当たりじゃないことを子どもたちは教えてくれる。「空気はどうして見えないの?」 娘に訊かれた。「…どうしてだろうね」 見えないのが当たり前過ぎて考えたこともなかった。いや、あったのかもしれないが、忘れてしまった。忘れてしまったということは碌に調べもしなかったのだろう。
-
「2022年3月31日」
コメ0 草の根広告社 32ヶ月前
海沿いの国道を右に折れて園に続く小径を歩いて行く。満開の桜が子どもたちの卒業と進級を祝福してくれているように感じられる。そんな優しい気持ちで桜を見上げる機会が自分の人生に訪れていたことに感謝しかない。
-
「憂鬱な月曜の朝は映画館へいこう」
コメ0 草の根広告社 32ヶ月前
相模湾沿いの国道を左に折れ、長いトンネルを抜けると曲がりくねった道の両側に白いコブシの花が咲き誇っていた。「コブシっていうんだよ」 後部座席の娘に伝える。「コブシトンネルだね」 娘がうれしそうに言った。 山越えの有料道路を使うと、僅か十分で半島の向こう側に出る。軍港が広がっている。横須賀の町だ...
-
「アナキストが父親になるということ」
コメ0 草の根広告社 32ヶ月前
物心ついた頃から既存の社会秩序やルールに漫然と従わされることが嫌いだった。ひとつ一つ自分で精査して必要だと納得すればむしろ率先してやるし、必要性を感じなければ放り出したり、逃げ出したりする。既製品の服が身体にフィットしないと感じたときは抗いたくなる性分だった。自主性こそがすべての行動の源だった...
-
「夕焼けに感傷を抱くのは先天的なものか後天的なものか」
コメ0 草の根広告社 32ヶ月前
夕焼けに感傷を抱くのはどうしてなんだろう。 日没とともに命の危険を伴う闇が訪れていた時代の名残りだという人がいる。世界を飲み込むような山火事を連想するからだという人がいる。太古のDNAが脈々と受け継がれているからだと。 自身の青春期の記憶が呼び覚まされるからだという人もいる。 一方で、平安時代に...
-
「すべては目の錯覚に過ぎないんだよ」
コメ0 草の根広告社 33ヶ月前
娘と浜辺を散歩した後、家の裏手にある公園に移動してサッカーをしていたときのこと。家々の向こうにある富士山を見ていた娘が言った。「ねえ、パパ、こっちの方が富士山が大きく見えるよ」 浜辺で見ていた富士山は小さいのに、公園で見た富士山は大きい。浜辺と公園は距離にして五十メートルほど。とはいえ浜辺より...
-
「家族ってなんだろう」
コメ0 草の根広告社 33ヶ月前
人は誰もが幸せになりたいと願う。人の幸せが自分にとっての幸せだと言う人もいる。互いの幸せという利害が一致しているときはそれでいい。でも、時にある人を幸せにすることが自分を不幸に陥れてしまう局面もある。そこでどちらを選ぶのか。人の幸せか、自分の幸せか。 様々な人間関係の中でもこと「家族」において...
-
「いいコになんかなるなよ」
コメ0 草の根広告社 33ヶ月前
「好きなことは諦めなくていいんだよ」 なんて偉そうなことを娘に言っておいて恥ずかしい話なのだけれど、この二年で諦めることに慣れ切ってしまったような自分を感じてもいる。ふがいない話だ。
-
「好きなことは諦めない」
コメ0 草の根広告社 33ヶ月前
三ヶ月ほど前から娘がバレエのレッスンに通っている。ある朝、突然「バレエがやりたい」と言い出したのが始まりだった。以前から踊ることが好きだった。身体を動かすことが好きだった。そんな姿を見ていて二歳の時に買った『おどりたいの』という絵本にも夢中になった。森の子うさぎが人間の女の子たちのバレエ教室に...
-
「今、子ども同士が安心して楽しめる遊び」
コメ0 草の根広告社 33ヶ月前
最近の日課は、五歳の娘とのサッカーだ。 地元のJリーグチームが保育園でサッカー教室を開いてくれたのをきっかけに娘がすっかりサッカーに夢中なのだ。
-
「守るべきもの、守りたいもの」
コメ0 草の根広告社 33ヶ月前
登園を自粛していた保育園から休園の連絡が入ったのは三日前のことだ。 自分たちの子どもなのだから自分たちで守るのは自然なことだと分かっていても限界はある。昼間は交代で娘と遊び、終わらなかった仕事を娘が寝た後に明け方頃までやる。睡眠負債も溜まって来ていた。 何より、仕事も育児もどちらも中途半端にな...
-
「休園中は子どもと遊んでいるので納品が大幅に遅れます」
コメ0 草の根広告社 34ヶ月前
保育所の休園が過去最多を更新したという。娘は元気だ。感染が再急増し始めた辺りからいろいろ重なって登園を自粛しているおかげだろう。この冬は風邪ひとつ引いていない。
-
「世界に咲き誇る言葉の花が二種類だけだったなら」
コメ2 草の根広告社 34ヶ月前
言葉が飛び交っている。言葉を浴びて生きている。気がついたら言葉の矢が刺さっていることもある。血を流していることもある。心の凝りが解れていることもある。あぁ、あの言葉は矢じゃなくて鍼だったんだなと頬が弛む。
-
「トランプとフリスビー」
コメ0 草の根広告社 34ヶ月前
夕食の後に家族三人でトランプをする。このところ娘が覚えたてのババ抜きにハマっているのだ。夕食後に家族でトランプなんて絵に描いたような一家団欒がくすぐったかった。自分のような孤独で陰鬱な人間にそんな未来が訪れていることが不思議でならなかった。
-
「いま、こうしていることの意味」
コメ2 草の根広告社 34ヶ月前
今日も一日、家族三人で家の中にいた。空は今日も霞んでいる。すっきりしない心模様のようだ。釈然としない。こんなときこそ走ればいいのだけれど、こんなときに限って走ることができない。ゆっくり流れていく雲を漫然と見つめ、切れ間から射し込む光明を探し求める。雲は流れていくのに自分たちは留まっている。鳥は...
-
「手を差し伸べてしまった」
コメ2 草の根広告社 34ヶ月前
通学路で娘が転んだ。 駆けだした途端に足が縺れて転んだ。すぐにわっと泣き出した。自分でもびっくりしたのだろう。五メートル後方を歩いていた僕自身も驚いた。咄嗟に駆け寄ろうとしていた。だけどすぐに踏みとどまった。娘は反射的に両手をついていた。膝小僧を擦り剥いたくらいだろう。ひとりで立ち上がれるかど...