第208号 2017.1.17発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが見舞われたヘンテコな経験を疑似体験!?小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…安倍政権が今月20日召集の通常国会で「共謀罪」法案の成立を目指すという。共謀罪とは、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となるもので、過去には小泉政権が2003年、2004年、2005年の3回にわたって法案を提出し、いずれも野党や世論の反対によって廃案となっている。安倍政権は10年以上前に3度も否定された法案を、何としても通そうとしている。その意図とは何なのか?
※小説「わたくしの人たち」…ものすごく純粋でイイ奴、だけどちょっと“足りない”男・今戸からのぶっ飛んだ支援品によって、幼い娘と二人暮らしの小さなアパートはイタリアンバルと化してしまった。「使えなくてもヤフーオークションで売ればお金になる」と言われても、そんな体力も気力も出ない沙智子。果たしてどうなる!?
※おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」。作者よしりんも絶賛の新年第1弾のネタでしゅ!!平成29年、めでたく華々しいMVP第1号はどなたしゃんの手に~!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第208回「共謀罪は独裁への道」
2. しゃべらせてクリ!・第166回「御坊家の者とカメの者に、新年のご挨拶ぶぁい!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭の小説「わたくしの人たち」・第11話「支援、お探しですか?〈その4〉」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第208回「共謀罪は独裁への道」 安倍政権が今月20日召集の通常国会で「共謀罪」法案の成立を目指すという。
共謀罪とは、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となるもので、過去には小泉政権が2003年、2004年、2005年の3回にわたって法案を提出し、いずれも野党や世論の反対によって廃案となっている。
安倍政権は10年以上前に3度も否定された法案を、何としても通そうとしている。その意図は、しっかり見抜いておかなければならない。
そもそも日本の刑法は「既遂」、すなわち実際に犯罪が行われ、具体的に被害や危険が生じた場合にのみ処罰を行うのが原則である。
実行行為に及んだものの「未遂」であれば刑を軽減でき、さらに例外的に殺人や放火などの重大犯罪については、実行行為がなくても準備や計画をしただけで罪となる「予備罪」「準備罪」などの規定がある。
ところが「共謀罪」は犯罪の実行行為はおろか、準備も具体的計画もなく、ただ犯罪計画を話し合っただけで罪に問えるのであり、これは日本の刑事法体系を根本からひっくり返しかねない暴挙なのだ。
しかもそれを、懲役・禁固4年以上の600以上にも及ぶ犯罪を対象にする方針らしい。
そしてさらにいえば、実行行為はおろか、準備も、計画の立案にすらも至らない、「計画を話し合う」だけで処罰の対象になるということは、要するに「内心で考えていること」が罰せられるということであり、憲法で保障された思想信条の自由に対する侵害となるのである。
菅官房長官は記者会見で、テロ対策のために「国際組織犯罪防止条約」の締結が必要不可欠で、「共謀罪」法案はそのための法整備だと説明している。
だがこれは、小泉政権下で3度持ち出され、3度論破された理屈なのだ。
国連総会で2000年11月に採択された同条約は、マフィア対策のため、国際犯罪が多いマネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬の密造・販売を取り締まることを目的としたものである。
同条約は世界180以上の国が締結しているが、その中で条約締結のために新たに国内法を整備した国があるかという国会質問に対して、政府はノルウェー、ニュージーランド、オーストラリアのたった3か国しか挙げていない。
そもそも国連では同条約については「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」と説明しており、実際には現行法のままでも「国際組織犯罪防止条約」には十分対処でき、締結は可能なのだ。
条約締結のために日本の刑事法体系をひっくり返し、600以上もの犯罪に関わる大幅な法改正となる「共謀罪」が必要という説明は、圧倒的に説得力を欠いている。だからこそ法案は3度も廃案になったのである。
コメント
コメントを書く>>238
メールは受信側のメール受信設定や送信側、受信側の見落としなど、いろんな理由が考えられるのですが、どう確認しても間違いがない場合は、何らかの理由で相手まで届いてなくてもエラー通知メールが返ってこないという場合も意外とあります。送信完了扱いになってもメールサービス側の何らかの理由でひっかかってエラーメールも返ってこない場合もあります。
Gmailその他などのフリーメールとプロバイダ(インターネット会社)のメールでやりとりした場合にそういう事があったりもします。(フリーメールがプロバイダ側にスパム認定されて受信の手前で止められるなど、これもいろいろ考えられる理由の中のひとつに過ぎませんが。)
ライジング配信お疲れ様です。
遅らばせながら、MVPありがとうございました。
これからどんどん投稿していこうと思っていますが、日常に支障の出ない程度にやっていきます。
共謀罪は背筋が寒くなる法案です。
ゴー宣道場で自由な討論ができなくなってしまうのか?明治時代に逆戻りしたいのか。
本当に阻止して欲しいなぁと思いました。
共謀罪とオリンピックがセットとは。
安倍は何処まで国民を馬鹿にしてるのか。
>>240
トロツキストさん
コメントありがとうございます。
全くその通りですね。見て頂ければわかると思いますが、アサド大統領は誠心誠意、欧米のムリなんだいにも誠実に応え、化学兵器も全て処理しました。元々化学兵器は対イスラエルのためのもので、それを使用したという証拠はありません。
最も重要な点は、「政府がシリア国民を殺す必要がどこにありますか?」という点です。政府軍が何のために闘っているのか、冷静に考えればわかることですよね。今回のアサド大統領のインタビューは多くの日本人に見てほしいと思っています。
>>245
諫議大夫さん
シリア人が如何に日本人を尊敬し、日本を手本にしているか、シリアにいる時本当に痛感させられました。
シリア人の大学生に「日本の何を知っているのか」と聞くと真っ先に「広島、長崎」と言います。歴史の授業で誰もが知っているそうです。そして次に言うのが「戦後の復興」です。「シリアも日本を手本に民主化と発展をしていきたい」と。「それをアサド大統領は少しずつだが実行している」と。政治的な話はあまり公にはできないものの、それでもアサド大統領に若い世代は期待を寄せていることはひしひしと感じたし、それを実感もしていました。それが本当のシリアの姿だと私は思っています。
>>250
Sallyさん。
レポートありがとうございます。
現場を重視した貴重な報告をしっかり受け止めます。
広島・長崎のことがちゃんと現地では教えられているのですね。
日本では原爆を落とされた方が(つまり日本が)悪いという自虐史観のためにニヒリズムの空気が漂っているのに、中東の子は常に広島・長崎を意識しているのですね。
中東の人が羨ましいです。
日本は既に日本人自身によってアメリカに抵抗するための牙を抜いて、米国に従属する見下げ果てた国になってしまいました。
日本の誇りと言いながら、欧米に追随する植民地根性が染み付いて、日本を学ぼうとする中東の学生さんには、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
日本を応援してくれる中東のみなさんの為にも、欧米に追随する勢力にノーを突きつけて、真に中東のことを考えている政治家や企業、及び若者を応援したいです。
「トランプ氏TPP永久に離脱」のニュースに爆笑してしまいました。
TPP反対をやめてまでアメリカに何でもかんでも追随し続けた挙句このオチですから。
よしりんスタッフの皆さん、遅くまで作業お疲れ様です。
>>251
大学生に何度も聞かれたのは、
「なぜ日本はアメリカとそんなに仲良くするのか?」
というものでした。
当時の私はGHQに洗脳されているとは知らなかったので、
ほとんど説明することができませんでした。
今ならはっきり言えますけどね。
>>255
Sallyさん。
2001年米国同時多発テロ、その直後に発売された「SAPIO」のゴーマニズム宣言、間を置かずして発売された「戦争論2」以前は、日本の潮流は右から左まで「米国に倣え!」でしたからね。
あの当時、日本人全員が米国に洗脳されていると言っても過言ではないという状況でした。
戦争論2以後、日本人の意識が「日本は米国に逆らってもいいんだ」に変わっていったと、わたしはこう、思いますよ。