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第339号 2019.12.17発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…消費税が8%から10%に引き上げられて、2か月が経過した。4月のゴー宣道場に招いた元内閣官房参与・藤井聡氏(京都大学大学院教授)は、消費増税こそが長年のデフレと経済低迷の原因であり、今このタイミングで消費増税なんかやると地獄になると主張。だが、それでも増税は行われた。そしてその結果、どうなったか?
※泉美木蘭の小説「正しい宗教のつくり方」…佑子が清田政宗と一緒に作りはじめた動画番組『歴女YUKOの皇統問題どうなんだい♡』は、溶田研究会のなかではおおむね好評で、次々と動画を公開し大反響を得ていた。しかし、新作動画案内をツイッターやフェイスブックに投稿すると、毎回必ず嫌なコメントがつく。誉め言葉よりも、ネットに書かれた自分の悪口が気になって仕方がない佑子は……。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!高森先生とのトーク動画も出して!NHK『贋作 男はつらいよ』は見る?「安倍改憲が属国を脱す本物の改憲に繋がる可能性」は本当に信じられる?「化石賞」って意味あるの?初めて生で見たプロの漫画家の原稿って誰?担当編集者と打ち合わせをしないで作品を描いたことはある?政治家とSNSの関わりはどうあるべき?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第353回「消費増税の結果が出た」
2. しゃべらせてクリ!・第295回「きよしこの夜、清くない窓の外!の巻【後編】」
3. 泉美木蘭の小説「正しい宗教のつくり方」・第6回「わたしはどうあるべき?」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記




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第353回「消費増税の結果が出た」

 消費税が8%から10%に引き上げられて、2か月が経過した。
 4月のゴー宣道場に招いた京都大学大学院教授・藤井聡氏は、消費増税こそが長年のデフレと経済低迷の原因であり、今このタイミングで消費増税なんかやると地獄になると主張。その様子は『ゴーマニズム宣言2nd season』3巻・第48宣言にも描いた。
 だが、それでも増税は行われた。そしてその結果、どうなったか?

 先月28日、経産省は10月の商業動態速報値を発表。
 それによると、小売業の販売額は前年同月比で7.1%減と、やはり消費は大幅に下落していた。
 藤井氏は12日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の「そもそも総研」にVTR出演、「ボロボロになるだろうとは思っていたが、私の想像を上回るぐらいボロボロに今なっています」と語った。
 2014年に5%から8%に3%増税された時の消費の落ち込みは4.3%にとどまっていたのに対し、今回は2%の増税で7.1%も落ち込んでおり、これは相当の事態だと藤井氏は言う。
 しかも、小売業全体では7.1%減だが、値段の高いものほど落ち込みがひどく、自動車は17.0%減、家電などの機械器具は15・0%減、百貨店等の各種商品13.2%減、燃料13.0%減で、小売業全9業種のうち8業種の販売額が減少、増加したのは医薬品・化粧品だけで、それもわずか0.3%増だった。

 注目すべきは、増税されていない飲食料品まで2.2%減ったことだ。政府関係者は、景気にダメージがないように軽減税率の導入で万全の策をとったなどと言っていたが、やはり他のものが全部高くなってしまったら、どこかで節約しなければという方向に消費マインドが動き、増税していなくても食料品の支出も抑えてしまうというのは当然の流れである。
 こうして消費が落ち込んでしまったら、あとは藤井氏がゴー宣道場でも力説していたことが起こるだけだ。
 経済成長のメインエンジンと言われる消費が落ち込めば、経済は成長しなくなり、所得は落ちて、税収も減る。税収を増やす目的で税率を上げたはずが、逆に税収を減らしてしまうのだ。
 藤井氏は、景気を上向かせて税収を上げるには消費税廃止が一番であり、まずはせめて5%に下げるべきだと主張した。

 消費増税は、福祉などのために必要だと思っている人は多い。実際に政府は8%への引き上げ時のポスターに「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます。」と明記していた。当時は内閣官房参与だった藤井氏も、官邸の主要な人たちも、みんな100%社会保障に回すものと思っていたという。
 ところが実際には社会保障には2割しか回っておらず、8割は借金返済に回されていたのだ! どうやら「社会保障の充実と安定化」とは、借金を返すことによって社会保障の財源を「安定化」させることも含むというロジックだったようで、「ほとんど詐欺みたいな話」と藤井氏は言う。
 消費税を上げたために消費マインドが冷え込み、税収が減って、借金ができる。その借金を返すために、消費税上げた分をぶっ込むって、馬鹿じゃないのか? 福祉にお金は回らない、景気も良くならない、わざと悪い方向に行くようにやっているとしか思えない。

 しかし、こんなデタラメなことになっていても、それをきちんと伝えているのは「そもそも総研」くらい。
 そして、消費税廃止または税率引き下げを主張しているのは、れいわ新選組と共産党くらいだ。
 立憲民主党はというと、実は、消費増税賛成派なのだ!