第451号 2022.11.1発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…「月刊Hanada」はすっかり「統一協会の機関誌」として商売する方向で固めたようだ。2022年12月号では、福田ますみというノンフィクション作家を起用し、『新聞・テレビが報じない“脱会屋”の犯罪』なるルポをスタート。統一協会に入信したのち、家族に引き戻されて脱会説得を受けたものの、協会に戻ったという信者の「証言」を元に書かれている。しかしこの「証言」、まったく逆の目線「脱会を説得した立場」から見るとまったく違う事実が見えてくるのだ。“拉致監禁して脱会強要”…統一協会によるキャンペーン用語に惑わされるな!!
※「ゴーマニズム宣言」…「安倍マンセー」の信者は統一協会問題が追及されることにイラつき、「食傷気味」「やりすぎだ」だのとテレビやSNSで躍起になって発言している。しかし今回、安倍元首相の銃撃事件によって、再び統一協会のヤバすぎる真実が明らかになり、報道が過熱してるのは喜ばしいことだ。不謹慎な言い方だが、食傷気味どころかネタが豊富すぎる、関係する人物のキャラが立ちすぎる、単純に報道が面白いんだから仕方がない。そして【30年もあると人間はどこまでも堕落する】ということもまた明らかになった。彼はどこまで晩節を汚して終わることになるのだろうか!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…政府与党は何故そこまでしてマイナンバーを普及させたいの?玉川徹氏の復帰・謝罪をどう見た?新しい歴史教科書をつくる会は統一協会に乗っ取られた?国葬に相応しい人物とは?完全に居直っているように見える河野太郎、今後考えを改めることはある?棋士の佐藤天彦九段がマスク不着用で反則負けとなった件をどう思う?「円安は輸出や観光業にとって追い風だ!」という意見は本当?子供のまま成長が止まってほしいと考えたことはある?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第274回「“拉致監禁して脱会強要”これ、統一協会のキャンペーン用語です」
2. ゴーマニズム宣言・第480回「【我、マインドコントられる。ゆえに壺あり。】―統一協会の報道は面白い―」
3. しゃべらせてクリ!・第407回「何ごとでしゅか? 貧ぼっちゃまと弟妹の集団土下座ぶぁい!の巻【後編】」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第274回「“拉致監禁して脱会強要”これ、統一協会のキャンペーン用語です」「月刊Hanada」が、統一協会擁護へと完全に振り切れた。
2022年12月号では、福田ますみというノンフィクション作家を起用し、『新聞・テレビが報じない“脱会屋”の犯罪』なるルポをスタート。すっかり「統一協会の機関誌」として商売する方向で固めたようだ。
●家族による保護を「拉致監禁・監視」と言い換え
このルポは、統一協会に入信したのち、家族に引き戻されて脱会説得を受けたものの、協会に戻ったという信者の「証言」を元に書かれている。
目玉は、後藤徹という信者だ。
1986年、兄と兄嫁が入信したのをきっかけに、後藤氏とその妹も統一協会入り。だが、この時すでに悪質な勧誘や霊感商法は問題となっており、後藤氏の両親は、子どもたちを心配して、脱会を請け負う牧師に相談。数か月後に兄夫婦が脱会、次いで妹も脱会していた。
1人協会に留まった後藤氏は、父親からホテルの一室に呼び出され【監禁された】が、隙をついて逃げ出す。8年後、再び東京都内の実家に帰宅したところを、家族・親族に取り囲まれて、無理やりワゴン車に押し込まれた。その後は、家族の暮らすマンションで【監禁】され、両親と兄夫婦、妹から【24時間監視】される生活を長年送ったという。
【監禁、監視】というのは、あくまでも後藤氏と執筆者が使っている言葉で、家族や説得を請け負った牧師にとっては「保護」である。当時についてこう書かれている。
部屋はマンションの高層階にあり、飛び降りて逃げることもできず、そもそもそうした窓や玄関には防犯錠や南京錠が取り付けられ、開閉できないようになっていた。
「(説得を請け負った牧師の)宮村は、合計73回、元信者を引き連れてやってきて、親族を含め、10人ほどが私を取り囲んでずらっと座るんです。
宮村は、教義がいかにおかしいかを指摘する。こちらが聞き入れず、『これは監禁だ!』『人権侵害だ!』と言うと、『偉そうなことを言うな』『監禁なんかしていない。家族が保護してるんだ』『ほんとうなら、ぶん殴って半殺しにしてやるところだ』とみなで怒鳴りつける。完全なつるし上げです」
まず、脱会説得のために1人のところへ73回も足を運ぶとは、請け負った牧師の根気強さに脱帽する。それほど大変な作業なのだ。
家族も、一度逃げ出して協会に戻った経緯がある限り、厳重に管理するのは理解できるし、自暴自棄になって窓から飛び降りる危険を考えれば、施錠するのも当然だろう。
このまま協会に戻せば、親類・友人を騙して集金活動したり、悪質な霊感商法や勧誘に手を染め、犯罪者になるかもしれない。ぶん殴ってでも留め置かなければならないという家族の絶対的な覚悟、責任感、そして後藤氏への愛も感じる一節だ。
その後も、玄関に突進して脱出しようとする後藤氏を、家族が布団でぐるぐる巻きにして保護したり、兄とは、服が破れて流血するほどのもみ合いになるなど、かなり壮絶な格闘があったようだ。
また、後藤氏は、1か月におよぶハンガーストライキ(絶食)を3回も行った。それでも家族は、協会に帰さなかったという。凄まじい。だが、続く文章がおかしい。
出される食事は次第に質量ともに粗末なものになり、70キロあった体重は50キロまでやせ衰えた。後藤氏はついに生ゴミを漁るようになる。
1か月もの絶食を、3度もやられたら、普通の食事を出せなくなるのは当たり前だろう。
私が母親なら、食事を拒否され続けたら、無理やり口に詰め込むわけにもいかず、せめて、冷めても食べられるようなおにぎり、漬物、卵焼き、みかんやバナナなど、刃物を使わずに食べられる果物などを置いておくようにする。
さらに拒否されて絶食が続いた場合は、いきなり食事をとると、内臓に負担がかかるし、胃が受け付けないかもしれないと思って、流動食に近いものを考える。医療的にも、衰弱した患者や絶食者には、重湯や具のないスープから再開するのが常識だろう。
自分から食事を拒否してガリガリになっておいて、生ゴミを漁る後藤氏のほうが圧倒的におかしいではないか。
しかも、刑務所の独房ばりに一室に閉じ込められていたのかと思ったら、腹が減って台所まで出てきて生ごみを漁っているのだから、自宅内では普通に過ごしているのである。
だが、2008年、家族は、とうとう脱会説得を諦めてしまう。後藤氏を家から追い出したのだ。12年5カ月もの格闘の末だった。ついに疲労困憊して、見放したのだろう。
解放された後藤氏は、10キロ離れた協会本部まで歩いて戻り、そして病院に搬送され、全身筋力低下、栄養失調などで50日間入院したという。
犯罪被害者ぶりをアピールする1枚だが、そもそもガリガリに痩せたのは、自分で絶食したからであり、それだけ痩せ衰えても、自力で10キロも歩いて本部に帰ったのだから、一体何を言っているのかとしか思えない。
その後、後藤氏は、母、兄夫婦、妹、脱会説得を行った牧師たちへの告訴状を提出。警察は「家族の案件だから簡単ではない」として逮捕も捜査も行わず、不起訴処分になった。
だが、後藤氏は、さらに民事訴訟を起こし、こちらで全面勝訴する。
判決では、憲法20条「信教の自由」が適用され、「ある宗教の教義がどのようなものであったとしても、それが直接対外的に他の人々や他の団体等の権利や自由を侵害したり、危害等を加えたりするものでない限り、他から干渉されない自由が保障されているものである」とされた。
12年間も家族ががんばって自宅に留め置いた状態で、それでも統一協会の教義を信仰していると主張されたら、信仰そのものが内心で維持された状態になり、こうなってしまうのか。
なんとか脱会させたいという家族の情念があるからこそ、強硬な手段になることもあるわけだが、最終的に裁判所に持ち込まれ、粉々になってしまったのだから、無残としか言いようがない。脱会をめぐって家族崩壊が起きること自体が、統一協会の異常性を示しているとも言えるだろう。
●まったく逆の目線から読むと…
さて、ここまでの話を、まったく逆の目線、「後藤氏に対して、家族と一緒に脱会を説得した立場」から語った記事がある。
コメント
コメントを書くSPA!今週号「逃げても愛国の場合」を読んだ☆ラストも良かったけど、ブログでも書かれていた、逃げる事が愛国の証という話がより深く解り、目から鱗が落ちまくりました!もし、自分がロシア人だったら、国外逃亡は出来ず(金欠により)、動員兵として戦地に送られ、死ぬタイプだろう。ただ、ナチスドイツ時代のユダヤ人虐殺を「見て見ぬふり」をして、協力するよりはよっぽど良いだろう。
11/7付の朝日新聞に、動員された新兵達の記事があった。約束された訓練も受けられず、ろくな装備も与えられずに前線へと送り出され、「これでは闘えない」と、戦闘への参加を拒否する上申書を出した動員兵約80名は、名前や肩書きを明らかにしない上官によって、裸で地下室に閉じ込められ、数日間、食事も与えられず、挙げ句の果てには、説得が無理とわかると「お前らを撃ってまとめて穴に放り込み、親族には行方不明だと伝える」と、銃をつきつけられ、脅されているという。助けにきた味方に対してである。今後は重犯罪の前科者にも動員を広げるらしいし、とにかくムチャクチャだ!そして、今週のライジングも楽しみです♪
>>143
希蝶さん、おはようございます。私は「ブリキの太鼓」の映画を知ってから40年ぐらいたっているのに、未だに観ていません。何という怠惰でしょうか?いくらでもチャンスはあったのに、何とか今年中に観たいと思います。いっそレンタルでなくて中古でもいいから、買おうと思っています。オスカーシュレンマーという名前を何となくうろ覚えしているのですが、主人公の名前でしたっけ、勘違いかな?知ったかぶりみたいですいません。名前も間違っているかもしれません。それでは、失礼しました。
改めまして、おはようございます。
今日発売のSPA!ゴーマニズム宣言読みました。いつもながら考えさせられる深い内容だと思いました。鈴木宗男にも、無理矢理読ませたいなぁと思いました。お前はもう、死んでいる!アチャアチャアチャアチャアチャアチャアチャアチャー、アチャ~~~~~~~
(※何のこっちゃわからない人は読んで下さい) 失礼しました。
>>144
「今後は重犯罪の前科者にも動員を広げるらしい」って!ここは号外で報じる事だろうがっ!?
号外だっ号外だっ号外だーっっっ!!!
マスコミ何やってんだっ!感情に訴えろやっ!!!
「ウクライナ戦争論」「レイプ軍の伝統1、2」を読みました。
堪え難い、呼吸が止まり心身が凍る、怒りで拳が震える、ルポと描写の数々に、
描くことも相当辛い作業だっただろう、と感じた。
憤激なしには、到底描くことも読むことも出来ない。
ここをこそ、全力で報道しろっ!報道するべきだっ!と心底思うし叫びたい。
終戦直後、火事場泥棒そのもので北海道に乗り込んできたロシア軍が囚人で、
奪略とレイプはご褒美だったと読んだ時も、あまりのことに身がすくみ絶句した。
信じがたい事に、今も現に同じ事が繰り返されているんだっ!冷静になってる場合かっ!
自分ごととして考えろやっ!
日本人、どうした???
本来このウクライナ戦争に真っ先に激しい抗議の声を上げるべき国は、我が日本じゃないか!!!
嗚呼、ウクライナに申し訳ない!恥ずかしい!惨めだ!情けない!
日本沈没カウントダウン。
辛うじて小林先生に必死で掴まって、荒波に流され溺れないように抗っています。
ありがとうございます。
最近「1日3回ルール」が形骸化しそうになっています。
あまり私信のやりとりのようなことを、ここでやらないでください。
ここは「公論」の場です。
特定の人同士が私的に遊んでいるような状態になると、一般の読者からのライジングの感想の書き込みが少なくなってしまいます。
目に余るものは警告なく削除します。
「ウクライナ戦争論」
p24 「自己欺瞞はやめろ!お前達は醜い!」のコマを読んで、
先日観た映画「告白」を思い出しました。
今の心境が映画にガッチリ嵌って、セリフの1つ1つがいちいち浸透してきました。
自己欺瞞、現実逃避、抑圧され醜く歪んだ感情etc、凄い映画でした。
こんにちは。
雑事に追われてなかなか書き込めませんが、配信された記事はきちんと拝読致しております。
それにしても、どうしてこうも『カルト』に嵌る人が後を絶たないのか、私には不思議でなりません。
私自身は、日本で最も宗教組織としての歴史が古いらしい宗派の門徒で、仏教そのものというよりは『神仏混交』で、献金を強要する(される)など「あり得ない」事です。むしろ、お寺さんが質素過ぎて心配になるくらいです。破門した団体の豪奢な施設を見ると、「破門も致し方なし」と思います。
過剰に献金したり、壺や銅像を買って幸せになれるのなら、そんなお手軽な事は無いでしょうに。
日本人は『宗教』というものが何であるかと、深く考えたことが無い人が多いのかな、とも思います。無知に付け込むのはカルトの得意技ですし。
『本物』を知れば、「邪なもの」や「偽物」は簡単に見抜けます。これは宗教に限らず、あらゆる事に当てはまるのではないでしょうか。
あと、「他者の幸せ」をも考えられるかどうかが分かれ目のような気もします。うちの宗派の開祖も「島流し」されたりエライ目に遭っても尚……といった感じだったみたいです。
「やるべきか?やらざるべきか?」
是非やって欲しいと思っています。正直、年長の娘や障害児者の施設を運営する立場から、コロナを脇に置いてウクライナや皇室を考えられません。もちろん重要度は理解しているつもりですが、あまりにもコロナ騒ぎが酷すぎる。日々の仕事に追われながら手の届く範囲の人を防御するので精一杯です。やはりテレビも含め、裁判などで”目立って”もらって影響力を高めて欲しいと切に思います。行政や企業、教育委員会、様々な協会、しまいには内閣府に電話しても、個人ではどうにもならないんです。あ、三回ルールってあったんですね。あまり書かないから気にしていなかった。確かに私信のやりとりは長すぎるとアレですね。
こんばんは。
木蘭さんのトンデモ見聞録・第274回「“拉致監禁して脱会強要”これ、統一協会のキャンペーン用語です」拝読しました。
旧統一協会の「“拉致監禁して脱会強要”」は、DV加害者が、DV被害者が我が子を連れて逃げることを、「実子誘拐」と騒ぐのと似ています。
「誘拐」と騒いで我が子を人質にとり、被害者の逃げ場を奪おうとするDV加害者のDV継続キャンペーンと言えます。
旧統一協会の方こそ、脱会希望者を「監禁」し、「脱会を阻止」してきたのではないでしょうか。
ゴーマニズム宣言・第480回「【我、マインドコントられる。ゆえに壺あり。】―統一協会の報道は面白い―」拝読しました。
三浦瑠麗が旧統一協会に庇えば庇うほど、旧統一協会の胡散臭さが増していくのは皮肉なものです。
次号が配信されてしまった直後ですが、今号の感想、書きます。
木蘭先生のトンデモ見聞録。
月刊Hanadaは統一協会カルトとズブズブになってとうとう脱会させようとする家族の方を拉致監禁という言葉を使って悪者にしようとしている。もうこの雑誌、保守の雑誌ではなく、保守を名乗る資格はありません。何で反日・反天皇の団体を擁護する雑誌が保守なのか。ルポライターまで使って擁護する目的が見えません。
それにしても米本和広氏が一枚噛んでいたという木蘭さんの報告は衝撃でした。もし山上徹也氏が安倍晋三襲撃前に米本氏のところに相談に来ていたら、自民党議員、国政政治家、地方政治家と統一協会の関係は闇に葬り去られていたと思うと、ちょっと怖い。
ゴー宣の感想です。
文鮮明の本を噛んでいるよしりん先生、とっても若いです。その頃から尖っていたのかと思うと、そしてそのまま変わらずきているのかと思うと、実に感慨深いです。
月刊Hanadaも哀れだが、シースルー三浦瑠麗も哀れだ。統一協会の異様さがドンドン暴かれていくのに、「安倍マンセー」がしたいもののあまり、擁護に走る。その結果「炎上」する。当たり前でしょ。
「常識」がないのだから。
節度は弁えたいものです。自戒を込めて。
次回も感想を書く予定です。