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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「僕は『風立ちぬ』の堀越二郎の事を、『ルパン三世 カリオストロの城』のヤング・カリオストロ伯爵と呼んでます」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「僕は『風立ちぬ』の堀越二郎の事を、『ルパン三世 カリオストロの城』のヤング・カリオストロ伯爵と呼んでます」

2019-04-22 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/04/22
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    今回は、ニコ生ゼミ04月14日(#277)から、ハイライトをお届けいたします。

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     僕は『風立ちぬ』の堀越二郎の事を、『ルパン三世 カリオストロの城』のヤング・カリオストロ伯爵と呼んでます

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     今日のニコ生ゼミは、ついこの間に金曜ロードショーでノーカットで放送したばっかりの『風立ちぬ』をやります。

     
     『風立ちぬ』が終わった時に、ツイッターを見てちょっとビックリしたんですよ。

     僕がツイッターを見ている限り、感動してる人とか、あとラストシーンあたりから「もう涙が止まらない」って号泣している人が凄く多かったんですね。

     それで意外だったのは、映画館で公開された2013年よりも、もしくはテレビで初放送だった2015年あたりより、感動している人が凄く多かったんですよね。

     それは何でかっていうと、それだけこの映画を受け入れられるようになってきたんだと思うんですよね。


     つまり、2013年ぐらいのあたりでは、宮崎駿のアニメを見る目が、いわゆる “ジブリっぽい感動のアニメ” というふうに先入観で見ようとしていた人が、「あれ? 思ってた感じと違うなぁ?」と思って、「なんか、ちょっと」っというふうに引いちゃってた。

     それが、ついこの間やった時には、もう “ジブリのアニメ” というのがしばらく公開されてないので、縛りも少なくなってきてね。


     それでまぁ、世の中いろんなアニメとか映像が出てきているので、みんな「セリフをそのまんま、真に受けない」感じっていうのかな。

     その辺が出てきたのが良かったんじゃないかと思います。

    ・・・

     今回は『風立ちぬ』の完全解説というのをやろうと思っています。

     完全解説ですので、「ジブリのアニメは素敵だった! ずっと感動した!」「あんな恋愛がしたい!」という人にとっては、そういう感動とか夢に、やや水を差すような話になるかもしれません。

     ちょっとしんどい話もあるかも分かりませんけども。

     でもね、とことん “宮崎駿” という作家が、「人生最後の作品だ」と、その時はその時なりに決めて、かなり正直に作った作品なので、まっすぐ見てあげて欲しいと思います。


     それで、過去のニコ生ゼミで話した内容とはダブる部分もありますけども、逆に「違うな」と思う部分も出てきたんですよ。

     「あ、あの頃の俺って、分析が浅かったな」と思う部分も出てきたんですよね。

    ・・・

     (中略)

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     妹の加代が、庭で “ままごと” をして遊んでいます。
     
     そして二郎に妹が「約束していたから、遊んで!」と駆け寄るんですけども、二郎は無視します。

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     それで、この子守の女の人も、実は二郎と同年代ですよね。


     この妹の相手をさせられている子守の女の子も、やっぱり田舎から買われてきて、この家に住み込みで働いている。

     それで「二郎さま、お帰りなさいませ」って言うんですけども、二郎は声もかけません。


     僕は『風立ちぬ』の公開時に、二郎の不自然なほどの妹への薄情さというのは解説したんです。

     けども、かわいい女の子が困っていれば、忙しくて設計している時代でも手を差し伸べるんですね。

     「シベリア食べないか?」ってふうに言うんです。

     しかし、このちょっとブスな妹に対して、堀越二郎はこのアニメの中では 生涯 冷たいんですね(笑)。

     そして、この使用人への気遣いの無さです。


     これまでのジブリアニメを思い出してください。

     こういう使用人みたいな女の子がいて、「おかえりなさいませ」って言ったら、ジブリアニメでは、たとえそれがどんな状況でも「ただいま!」って絶対に返事するんです。

     それを無視するんですね。


     この辺の態度って、実は『カリオストロの城』のカリオストロ伯爵にすごく似てるんですよ。

     使用人を人として見ない。

     そして、「美しくない」「価値が無い」と判断した人間には、徹底的に無頓着。

     自分の野望や夢の為には、国民を犠牲にしても仕方ない。

     僕は、堀越二郎というのは、まさしく “ヤング・カリオストロ伯爵” というふうに呼んでるんですけどもですね(笑)。


     何で『カリオストロの城』のカリオストロ伯が悪役として魅力的なのかっていうと、宮崎駿の本音がダダ漏れでセリフの中に乗っかっているからなんですけど。

     宮崎駿 自身の第一作監督作品の『ルパン三世 カリオストロの城』から34年経って、ついに宮崎駿は悪役・カリオストロ伯の別の面を主役にして描いてみるという事をやってみたんですね。


     まさかそんなカリオストロ伯爵が主役のアニメとも知らずに見てるから、6年前の僕らは、何となく「このアニメ、何か感動しきれないな」と思って。

     それで、この間見たときに感動できるのは、もうそういうものを僕らも許容できるようになってるからなんですね。


     それで加代は「約束です! お兄様!」って言ってるんですけども、結局、二郎は加代の方をずーっと一回も見もしないんですね。

     この子供時代。


     それで今日、二郎は先生から借りた雑誌を一生懸命熱心に見ています。

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     その雑誌の中にイタリアの飛行機設計家・カプローニ伯爵の記事を見つけます。

     そこには “Count” と書いています。

     Countは、領地を持っている伯爵ですね。

    ・・・

     実はこのカプローニ伯爵の記事を見つけるところまで、映画が始まってからまだ7分も経っていません(笑)。

     でも、この冒頭の7分を見るだけでも、この『風立ちぬ』が、これまでの宮崎アニメと全く違う作品だというのが分かると思います。

     なので、同じ感じで見ないように見返してみてください。


     主観的な描写ではなくて、あえて客観描写で主人公を描く。

     それを導入する事によって、観客の共感をあまり抱かせないような人物造形をする。


     主人公は作者の分身でも無いんです。

     理想的なキャラクター・人物でもないんですよ。

     そうじゃなくて、共感し難い冷たさとか、女性に対して持っている「手の届きそうな女にのみ注目する」という欲望的な視線というのも正直に描いてる。


     それで、自分が置かれている “大金持ちの息子” という特権的な地位を当たり前のように受け取っている。

     だから、妹とか使用人に対して凄く冷たい。


     でも、そうでありながら、他人で弱い者に対してはすごく優しい。

     自分の弱点である “メガネ” に関して、“視力” に関して、“近眼” に対して、すごいこだわってる。

     でも正義感が強くて、自分に正直でまっすぐである。


     このように、それまでのジブリアニメで宮崎駿が絶対にやらなかったような複雑な人物造形っていうのは、少なくとも宮崎アニメでは空前絶後なんですね。

     敢えて言うとしたら、高畑勲の『火垂るの墓』のお兄ちゃん・清太の方に割と近いキャラっていうのをやろうとしたと思います。


     この主人公・堀越二郎は、この夜に見る夢でカプローニ伯爵からどんなメッセージを受け取ってしまうのかですね。

     それは絵コンテにちゃんと指示があります。

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     この絵コンテにある「カプローニの 狂気やどす どUP。 メフィストフェレス」とまで書いてあるのは、指示なんですよ。

     「こういうふうに描いてくれ」っていう指示なんですけども、これがどういう意図で書かれたのか?


     このつづきは、限定放送で話そうと思います(笑)。
     

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