
『「実行機能」を整えよう!』の続きです!(#1)
このシリーズでは、私たちの人生においてめっちゃ重要な「実行機能」をうまく働かせる方法をチェックしております。こいつは脳の“司令塔”のような存在で、実行機能が弱っていると、人生のあらゆる面がうまくいかなくなっちゃうんで、おおまかな仕組みを知っておくのはめっちゃ大事なんですよ。
ってことで今回は、実行機能を構成する3大要素から『注意を「切り替える」力』について見てみましょう。要するに注意力ですね。
注意力は“ひとつの力”じゃない
さて、注意力のなさにお悩みの方は多いでしょう。
「最近、集中できないんですよね…」
「本当はやる気あるのに、気が散って仕方ない」
「凡ミスが多くて、上司にもチクチク言われる……」
こういう悩みは、私のもとに届く質問の定番であります。
が、もしかすると全部“注意力の種類”のズレが原因かもしれません。
というのも、私たちが何気なく使っている「注意力」ってのは、じつはひとつの能力じゃないんですよ。脳科学の視点から見ると注意力には3つの柱がありまして、まずはこのポイントを押さえておきましょう。
注意力の柱1. 活動性の注意:そもそも“脳が起きてるか”どうか
これは文字通り、「脳の電源が入ってるかどうか」に関わる注意力です。このタイプの注意が落ちていると、
- 午前中は使いものにならない
- 誰かに話しかけられても反応が遅れる
- 頭に霧がかかったようで何も入ってこない
といった「覚醒の遅さ」「反応の鈍さ」が現れるんですよ。例えるなら、作業机には座ったけど、まだ電気もエアコンもつけてないオフィスのような状態っすね。このケースが起きた人は、よく「モチベが低い」と誤解されがちなんだけど、じつは単に脳の準備が間に合ってないだけなんですな。
注意力の柱2. 制御性の注意:興味が持てるか、外的誘惑に負けないか
こちらは、「集中力」としてよく取り違えられる領域で、「外部からの刺激に注意を引きつけられずに、自分が選んだ対象へ意識を保ち続けられるかどうか?」に関わる注意力を指しております。なので、このタイプの注意が崩れると、
- スマホ通知に反射的に反応してしまう
- メールやチャットにすぐ脱線する
- 面白くない作業を後回しにしてしまう
というように、興味のあるほうに注意が流れてしまうんですね。これは、意志が弱いのではなく、脳が「刺激に対して柔らかすぎる」状態といえますな。
注意力の柱3. 方向性の注意:注意を向けるべき対象に維持できているか
そして最後が、「注意の維持」に関わる力であります。ここが弱いと、たとえやる気があっても、やるべき対象にちゃんと注意を当て続けられないので、その結果として、
- いつも確認ミスが多い
- スケジュールの見落としが多い
- 手順通りに進めたはずなのに何かが抜けている
というような、いわゆる「詰めの甘さ」や「凡ミス」が起きやすくなるんですな。上司や同僚に「お前は雑だなー」とか言われやすい人は、この方向性の注意の問題が起きてることが多かったりします。
ということで。このように注意力を分類してみると、あなたが「注意力が足りない…」などと自分を責めたくなったときにも、「自分の脳が今どの軸で崩れているのか?」を冷静に見分けられるようになるんじゃないでしょうか。たとえば、
「午前中ずっとボーッとしてる」→ 活動性の問題かもしれない。
「Slackの通知にすぐ反応してしまう」→ 制御性の問題かもしれない。
「資料の確認で凡ミスが多い」→ 方向性の問題かもしれない。
「頑張ってるのに仕事が終わらない」→ 活動性×方向性の複合パターンかもしれない
「人の話を聞いてるつもりが頭に入ってこない」→ 制御性×方向性の問題かもしれない
「締切直前だけ集中できる」→ 活動性は低くても制御性が短期的に爆上がりしてる?
「面談では話せるのに、日常の会話では話が噛み合わない」→ 方向性の切り替えに難あり?
こんな感じで分解して理解すれば、自分の注意のクセが見えやすくなりますからね。ポイントは、 注意力のなさを自分の性格の問題として取り扱わずず、脳の仕組みとして考えること。これだけでも自分へのダメ出しが激減して、 「じゃあ、このタイプの注意を整えるには何を変えればいい?」 と、環境と習慣を冷静に改善する視点に切り替わるはずであります。
つまり、これらの3タイプの注意が崩れると、ざっくり以下のようなパフォーマンスエラーが起きるわけです。
| 注意タイプ | 機能 | 弱いとどうなる? | よくある誤解 |
|---|---|---|---|
| 活動性 | 脳の覚醒度。そもそも起きてる? | ボーッとする、反応が遅い、寝てる? | 「やる気がない」 |
| 制御性 | 興味・関心が持てるか | よそ見、集中続かない、飽きっぽい | 「集中力がない」 |
| 方向性 | 注意をどこに向けるか、維持できるか | 抜け漏れ、手順ミス、ケアレスミス | 「不真面目」「だらしない」 |
これを知らずに自分を責め続けていると、間違った対処法に手を出し続ける羽目になっちゃうので注意したいところです。たとえば、「集中力がないから自己啓発本を買った」のに、実は原因は活動性(睡眠不足)だった、みたいなことが起きるわけですね。
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