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小飼弾の論弾 #91 「人間になったヒトは何を求める?『ホモ・デウス』徹底解説(その2)」
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小飼弾の論弾 #91 「人間になったヒトは何を求める?『ホモ・デウス』徹底解説(その2)」

2018-11-22 07:00

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2018年9月18日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。

    次回のニコ生配信は、2018年12月4日(火)20:00からの「小飼弾の論弾」です。

    お楽しみに!

    2018/09/18配信のハイライト(その2)

    • 人類社会そのものが生物
    • 人類の「走幸性」
    • 人同士の戦争を描くための『星界の紋章』の設定
    • 「世界を作りこんだ作品」への期待

    人類社会そのものが生物

    山路:じゃあこの『ホモ・デウス』なんですけれども、本当にちょっと引用するだけでも、メッチャ色々面白い話をしてるんですよね。

    小飼:はい。面白いけども、けっこう基本的なことなんですよ。だからまず「歴史とは何か?」というところから始まって、「人とは何か?」ということをまとめて、人はだからこういった理由で地球最強になったと。もう地球表面の環境を都合よく変えるくらいにまでなったと。これをもって「人新世」という言い方をしてますけど、べつに「人新世」という言い方は著者のオリジナルではないですね。これはけっこう見ます。

    山路:人間というのは単純にその生物として環境にいるだけじゃなくて、環境自体を人間が変えていくという意味で、「人新世」ということを言ってるということですよね。それこそ鉱物資源なんかでも、人間の影響によって変わっていったりとか、あるいは生態系であるとか、そういうものを大きく影響を与えたという。

    小飼:これちょっと面白いのは宗教の扱いですよね。

    山路:この本での宗教の扱いは、ひどいといえばひどい(笑)。宗教の信者にとっては、かなり(笑)。

    小飼:だから二部はひどいんですけども、更にひどいのは、科学も宗教であると。人類の宗教というのは、ここに集約しますというのが、じつは上巻のまとめなんですよね。その宗教の名は、ヒューマニズム。ヒューマニズムに対して、訳者はこういう漢字を当ててるんですよね。「人類至上主義」。「人類至上主義」と書いて「ヒューマニズム」と読む。

    山路:そうか、原書ではヒューマニズムなんだ、そのまんま。

    小飼:そうなんですよ。人類至上主義なんですよ。

    山路:あそこで人道主義とかそういうふうに訳、あるいはヒューマニズムそのままに訳さなかった訳者は大したもんですね。

    小飼:大したもんです。

    山路:著者の意図をすごい汲み取って。

    小飼:科学者でさえも、サイエンティストでさえも、要は人類を客観視できてないっていうのを、やっぱりいろんな本、じつはこれ、本の批評でもあるんですよね。ドーキンスも含めて。

    山路:彼も俎上にあげられてますよね。

    小飼:はい。だからちゃんと筋道だって、いわゆるコンベンショナルな、神がいる宗教ですよね、を批判しているにも拘らず、最後は180度ぐるっと周って、ヒューマニズムという、宗教を功利のように、悪手なもののように捉えているんじゃないかと。

    山路:ここのところで大したものだと思ったのは、単純に科学を宗教の一派であるというただ言っているだけじゃなくて、そもそもそこのところに、人はなんぞや? という議論をずっと前半から、上巻かけてやってきてるから、この人類至上主義が宗教だということに説得力があるんですよね。

    小飼:はい。ヒューマニズムという一神教というよりも一人教というか、一種教とでも言おうか、というところに集約されつつあるよと。これ無料お試し版では、冒頭で説明されているんですけれども、なんで今そういったものを考えているかっていうふうに言ったら、今まで人類社会の中には当然のようにあった問題というのが、いよいよ解決されようとしているからだと。

    山路:当然のようにあった問題?

    小飼:はい。そう。だから飢餓と感染症による病気ね。と、戦争ですね。

    山路:ある意味、釈迦が生老病死と言ったような、昔からのそういう人間の苦しみみたいなやつですよね。

    小飼:そうそう。いやでも著者がなかなかあざといなと思うのは、今後戦争というのは一切なくなるかといえば、そういうことではありませんよと。今後も戦争というのは起こるだろうし、突発的にエイズとかエボラみたいな感染症が出ることもあるだろうし、気候変動によって飢餓というのが再発するかもしれないけど、基本的にこれらの問題というのは人類を悩ませる1番の問題ではなくなりつつあると。実際に減ってるわけですよね。

    山路:これって作者が1番の課題って言ってるものっていうのは、言っちゃっていいのかな?

    小飼:要するに片付きつつある問題だと。まだ片付いていないというのは、だからとっとと片付けろよと僕とかは思うんですけれども、だけれども、もう片付く方向にあると。じゃあ、その次に人が頭を悩ませることというのは、一体何か? と。

     
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