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現役時代は「ムエタイキラー」として名を馳せ、「キックぼんやり層」にその面白さを解説してくる鈴木秀明氏。今回のテーマはブシロード体制のKNOCK OUTとは何だったのかを解説します! 




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これまでブシロードの子会社ブシロードファイトが運営していたキックボクシングイベントKNOCK OUTですが、現在プロデューサーを務めていた山口元気氏が代表を務める株式会社Def Fellowに譲渡されました。2016年にKNOCK OUTがスタートした当初は、立ち技シーンが変わるんじゃないか……という期待感は大きかったですね。

鈴木 ブシロードがキック界に参入するという話を聞いたときは凄いことが起きるんじゃないかと楽しみでした。ルールはヒジあり、首相撲あり。それはつまりキックボクシングですよね。日本の場合はK-1ルールに代表されるようなヒジなし・首相撲制限ありが主流で、ヒジありのキックは大きな会場で見せるコンテンツではなかったんです。それをブシロードがバックアップすると。ブシロードは一時期低迷していた新日本プロレスを盛り立てたじゃないですか。キックボクシングのメジャー化への期待感は大きかったです。しかもしばらく赤字はかまわないと。

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それはつまり長期的に投資するということですよね。

鈴木
  2004年にK-1MAXができたときは、これはゴールドラッシュだということで皆が集まってきたんですね。K-1MAXは70キロ以下でしたが、60キロの選手が体重を合わせて出たり、ヒジありルールでやっていた選手もヒジなしのK-1ルールに照準を絞ったりした。でも、KNOCK OUTは自分たちのルールでそういうゴールドラッシュが起こせるかもしれない。やっと俺たちの時代が来た!と。

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そういう点では、純キックボクシングのメジャーの舞台って、じつはここ30年近く存在していなかったということですよね。

鈴木
 最近はONEがキックに力を入れ始めてますけど、KNOCK OUTはキックルールで輝ける場所が作られるかもしれないという期待感は大きかったですね。こういう舞台がなかったことにヒジありの選手は悔しさもあったと思うんですね。ボクがこのジムをやり始めたのはK-1MAXで魔裟斗選手が活躍していた頃で、その当時有名になったり食っていくためにはK-1MAXに上がることが最善だったんですよ。もちろんキックボクシングだけで食ってる選手はいるんですけど、輝ける選手が多かったのはやっぱりK-1MAXでしたからね。

――ヒジあり・首相撲ありのルールはエンターテイメントとして地味なんじゃないかという偏見もあって。

鈴木 実際はそんなことはなくて、KNOCK OUTの旗揚げ戦も1試合を除いてはすべてKO 決着でしたし、那須川天心選手もルンピニー王者ワンチャローン・PKセンチャイジムに凄い勝ち方をして。

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KNOCK OUTのコンセプトも話題を呼びました。そのひとつには、選手はチケットの手売りはしなくていいと。

鈴木
 あれはビックリしました。チケットを手売りするために疲弊してる選手からすれば「本当にいいんですか?」と。

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手売りを当てにしない格闘技団体ってないですからね……。

鈴木
 それでいてKNOCK OUTはファイトマネーも高いと。ただ、後援会が大きかったりして手売りが強い選手からすればマイナス面もあるんですけどね。ファイトマネーがちょっと高くなったところで、手売りのマージンのほうがよかったりとか。それに手売りはコミュニケーションツールの手段として、人脈が広がることでスポンサーが増えたりしますからね。

――
手売りを封じたブシロードの狙いは一般層の掘り起こしってことですよね。手売りではなくプレイガイドでチケットを買う層を増やしていきたいという。

鈴木
 そうですね。マニアだけじゃなくてファン層の厚みを増していくということですよね。

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旗揚げ当時の関係者の証言からすると、MMAよりキックは市場的に狙い目であると。 MMAのメジャーイベントになると、ファイトマネーや運営資金の桁が2つも3つも違ってくる。

鈴木
 「立ち技には上位概念がない」とは言ってましたよね。

――
国内には新生K-1がありますけど、世界的に見るとMMAにおけるUFCは存在しない。結果的に上位概念が作りづらい市場だったんだなと。

鈴木
 そこは立ち技の状況も影響しているんですけど。 強い選手はタイに集中していることや、そのタイの選手のスタイルと、日本の市場性がマッチするかはまた別ですからね。

――ファンもただ強い選手が見たいというわけではないですし、やっぱりスターがいないと大会場は埋まらない。旗揚げ戦の柱だった那須川天心と梅野源治が途中から出なくなった影響は大きいと思うんですね。
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https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1917730

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