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ラブリーデイ大当たり! 有馬連覇へ4番/有馬記念
V候補がラッキーナンバーをゲットした。有馬記念(G1、芝2500メートル、27日=中山)の枠順が24日、決まった。今年G1・3勝を狙うラブリーデイ(牡5、池江)は13番目ながら残っていた2枠4番枠を引き当てた。昨年優勝のジェンティルドンナと同じで、過去6勝の幸運枠。今日25日にウインズ後楽園で金曜発売される。
厩舎周りを歩くラブリーデイ
年間7勝目の重賞制覇を狙うラブリーデイが、幸運の馬番を手に入れた。マリナーズ青木が手にした「L」のカプセルから出てきた数字は(4)。昨年、ジェンティルドンナが感動のラストランを決めたラッキーナンバー。13番目と遅い指名だったが、最高の数字を引き当てた。
栗東トレーニングセンターでモニターを見つめる川田騎手も喜びを隠せない。馬上では常に冷静な男の口元が、自然と緩んだ。「非常にいい枠を引けました」。ニッコリと笑うと、「あとはこの馬がいい感じで走れるよう、僕がうまいこと乗るだけです」と決意の言葉を続けた。
池江調教師も満足そうな表情だ。「最初から『L』がいいと思っていました。残っていた枠の中で、内の偶数が良かったので」。指名時点で残っていた馬番は(4)(10)(12)(14)の4つ。(4)以外はすべて真ん中よりも外。内枠有利と言われる中山2500メートルでは、天と地ほどの差があった。「いい枠だと思います。極端な7枠、8枠以外が良かった。競馬が上手ですからね」。馬名の頭文字が運を引き寄せた。
ラブリー陣営が選んだカプセルは、最初の振り分けでどのスポットにも収まらず、16個の最後に「L」に収まったものだ。去年は1番指名のジェンティルドンナがつかんだ幸運の馬番。今年の公開抽選は、残り物に福があった。
◆昨年の枠順ドラフト JRA60周年企画として初めて行われた。ヤンキース田中将大投手が抽選役を務め、引いた1番くじはジェンティルドンナ。石坂師が迷わず偶数枠の(4)を選択。2番くじのトゥザワールドが(6)など内枠から埋まった。レースはくしくも1着ジェンティルドンナ、2着トゥザワールドという結果となった。13番くじだったゴールドシップは(14)を選び、3着だった。 -
ルージュバック55年ぶり3歳牝馬Vだ/有馬記念
<有馬記念:追い切り>
2年連続リーディングをほぼ手中にした戸崎圭太騎手(35)が連覇締めだ。有馬記念(G1、芝2500メートル、27日=中山)の追い切りが23日、東西トレセンで行われた。戸崎が騎乗するルージュバック(牝3、大竹)は美浦ウッドコースで力強い動きを披露。S評価を獲得し、本紙記者が選ぶ「追い切りチャンピオン」に認定された。60年スターロツチ以来の3歳牝馬Vへ気配良好。今日24日に枠順が確定する。
ルージュバック(右)はヤマトダイアンサスと併せて追い切られた(撮影・酒井清司)
ルージュバックは1本の追い切りで、2つの課題をクリアした。「折り合い」と「加速」。相反するような動きだが、この2つが融合してこそ勝利がある。
ほとんどの馬はスタンド前から出て、約1周(ウッドコースは1600メートル)でゴールを迎えるが、ルージュバックは中山2500メートルと同じ向正面の3コーナーから調教をスタートさせた。序盤は200メートルを17~18秒台。かなり遅いラップの中、どれだけ我慢できるか。これがレースでの折り合いに通じる。大きく先行するヤマトダイアンサス(古馬1000万)との距離を詰め、少し行きたがるそぶりも見せたものの、鞍上の「待て」の指示に従った。
大竹師は「あれくらいは問題ない。競馬のスピードなら掛かることはないでしょう」と言う。心身に苦しいところがあれば、ゆっくり走るのは難しい。うまく脚がたまった分、後半の加速も鋭かった。4コーナーでは併走馬と3馬身差があったが、鞍上が手綱をしごくと瞬時に反応。直線は並ぶ間もなくかわし、3馬身先着した。時計になったのは4ハロンでも、その前の助走部分の走りに状態の良さがうかがえた。
「迫力ある走りは期待通り。具合がいいのは確か。53キロでどこまで頑張ってくれるか」と師。馬群をさばく加速力、それを引き出す折り合い。実戦を想定した完璧な追い切りだった。【水島晴之】
◆追い切りとは? レース数日前に行う強めの調教。当日に馬の状態を最高に持っていくため、普通はレースの3、4日前に行われることが多い。このときの気配で、状態などを判断する。日刊スポーツでは動きや時計、陣営の感触などから「S」~「C」の4段階で評価。「S」は東西追い切り担当記者の厳選馬で、その中で最も高い評価を得た馬が「追い切りチャンピオン」となる。 -
キタサンブラック、テン乗り横山典自然体/有馬記念
ノリ&サブちゃんが最後を締める。横山典弘騎手(47)が、菊花賞馬キタサンブラック(牡3、清水久)で有馬記念(G1、芝2500メートル、27日)に臨む。初コンビになるが、口ぶりからは自信が感じられた。
新馬戦を制したキタサンガンバと並んで笑顔の北島三郎オーナー(中央)と横山典弘騎手
横山典騎手は暮れの大一番を前にしてもいつも通りの自然体だ。まったくのテン乗りになるキタサンブラックだが、以前から注目していた馬だった。
「スプリングS以外は全部一緒のレースに乗っているから。2戦目のレースを見て、北島オーナーはいい馬を持ったなぁと思っていたんだ。バクシンオーの割に脚が長くてスリム。(父の)ブラックタイドがよく出ている。後で成績を見返しても大きく崩れたのはダービーだけだからね」。
ゴールドシップ陣営からは、早い段階で有馬記念は内田騎手で行くと聞いていた。そんな中、5日の中山で北村宏騎手がけがで病院に行った後の新馬戦で、キタサンガンバを勝利に導いた。急な乗り替わりだが、必然の流れでもあった。
「北島オーナーには昔から乗せてもらっている。やっぱりすごいエネルギーを持っている人。紅白を降りたら途端にこんな馬が出てきた。何かを控えたら自然と違うところでそのパワーがあふれてくるんだろうね。勝負事は運が大事。今回はオーナーの強運の船に乗せてもらうよ」。
カラオケでは「まつり」を歌ったことがあるという。勝ったらオーナーとの夢のデュエットはあるか。「いや、俺は歌はいいよ。そんなのがあったらダービーに乗るより緊張しちゃう(笑い)。手拍子で参加させてもらえれば。自分はレースで任された仕事をするだけ。自然体で乗って、それが勝利につながれば最高だね」。オーナーの豪運も味方に、巡ってきたビッグチャンスを生かす。【高木一成】
◆横山典騎手のテン乗りG1勝利 JRA・G1・25勝中5勝がテン乗りでの勝利だ。98年の皐月賞(セイウンスカイ)、同年の阪神3歳牝馬S(スティンガー)は上位人気に応えてのもの。00年朝日杯3歳S(メジロベイリー)、04年天皇賞・春(イングランディーレ)はどちらも10番人気の伏兵での大金星だった。昨年の宝塚記念ではゴールドシップを先行策から勝利に導いた。
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