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キタサンブラック勝利でフル「まつり」だ/有馬記念
暮れの中山が、歌手北島三郎の“年末ステージ”になる!? 中山馬主協会主催の「有馬記念レセプション」が21日、都内のホテルで行われた。
有馬記念プレミアムレセプションで笑顔を見せる北島三郎。左は横山典弘騎手
キタサンブラック(牡3、清水久)でG1初制覇した北島三郎オーナーが、同協会が選出の「FUN OF THE YEAR」を女子サッカー日本代表の澤穂希(37=欠席)とともに受賞した。菊花賞の表彰式で「まつり」を熱唱したことが国民に感動を与えたというのが選出理由。ステージ上では新コンビの横山典騎手から「あとは、ぜひフルコーラスを。オーナーがそう言ってくれたら、勝てそう」と向けられ、「じゃあ、歌っちゃおう。紅白も(出場が)終わったし、ここしか歌うところはないでしょう」とまんざらでもない様子だった。
愛馬は大一番に向けて最後の調整中だ。「清水(久)調教師の顔を見たら、順調にきていることがわかる。あとはノリさんが順調に乗ってくれれば、俺が順調に歌うだけ。すべては順調に、だね」と朗らかに笑った。 -
リオンディーズ最短最速2戦で2歳王/朝日杯FS
<朝日杯FS>◇20日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇2歳◇出走16頭
華麗なる一族、2番人気リオンディーズ(牡、角居)が2戦2勝で2歳王者に輝いた。最後方から直線一気に伸び、武豊騎乗の1番人気エアスピネルを3/4馬身かわした。勝ちタイムは1分34秒4。デビュー2戦目Vはレース史上初で、デビュー29日目でのJRA・G1制覇は最速タイ。M・デムーロ騎手(36)と角居厩舎は3週連続重賞勝ちとなった。ミルコは今年G1・4勝目で、JRA平地G1完全制覇を狙った武豊の夢を打ち砕いた。
リオンディーズで朝日杯FSを制したM・デムーロ騎手はファンの声援に応える
リオンディーズが突き抜けた。最後方から直線、外に出して追い出すと、パワフルに、大きなストライドで加速。中団から先に抜け出した断然人気のエアスピネルを並ぶ間もなくかわしたところがゴールだった。「ずっといい手応え。直線すごく伸びたね。跳びが大きくてパワーある。すごい馬!」。M・デムーロ騎手は興奮しながら話した。
母シーザリオが勝った05年オークスの再現だ。エアスピネルの母エアメサイアが先に抜け出したところを、リオンの母シーザリオが差し切りゴール。この日の追って豪快に伸びる姿、そして迫力はまさに母譲り。兄エピファネイアよりもオンとオフがはっきりしている点も強みになりそうだ。「お母さんもお兄さんもすごい。お父さん(キングカメハメハ)もダービーを(産駒の)ドゥラメンテで勝った。すごい家族」。名手の青い目が輝いた。
断然人気のエアスピネルより0秒7も速い最速上がり33秒3で突き抜ける別格の強さを見せつけた。武豊のJRA・平地G1完全制覇の快挙を阻んだ鞍上は「さっきユタカさんに言った。『ごめんなさい』って。でも素晴らしい年。いいクリスマスプレゼント」と笑みがはじけた。
次走は未定。放牧に出され、来春に備える。コンビで3週連続重賞制覇を達成した角居師は「(直線)ミルコの名前を叫んでました」と笑いながら、「前向きさとか高い能力をちゃんと受け継いでいる」と自身が手掛けた母や兄になぞらえ話した。続けて「乗り役の言うことを聞いて走れる子にしたい」と、来春に目を向けた。母も兄も手掛けた鈴木助手が「すごく奥深さを感じる。(兄や母を)超える可能性は十分あると思う」と評した逸材。コンビを組む今年の2冠馬ドゥラメンテに続くスター候補の出現に、鞍上は「来年が楽しみ。2000メートルまではいける。2400メートル? 頑張ります」。今週の有馬記念はサウンズオブアースに騎乗する。JRA騎手1年目の最後を単独トップのG1・5勝目で締めくくる。【山田準】
◆母も対戦 リオンディーズの母シーザリオは、エアスピネルの母エアメサイアと05年の牝馬クラシックで2度対戦。桜花賞はシーザリオ2着(1番人気)、メサイアは4着(3番人気)。オークスはシーザリオが1番人気で勝ち、2番人気のメサイアが首差の2着だった。 -
ディープ産駒いなけりゃキンカメ産駒だ/朝日杯FS
今週は2歳王者を決める朝日杯FS(G1、芝1600メートル、20日=阪神)が行われる。
今年はキングカメハメハ産駒が2歳“キング”を奪取するか。2歳牡牝G1がともに阪神芝1600メートルとなった昨年は、ディープインパクト産駒が連勝を果たしたが、今年の朝日杯FSには同産駒が不在。代わって浮上するのはキンカメ産駒だ。今年のJRA全レースの勝利数ではディープを抑えて1位。阪神芝ではディープに次ぐ2位。中山施行を含めた朝日杯とも、過去10年で【1 2 0 4】と好相性で、複勝圏内馬3頭はディープと並んで最多タイだ。
厩舎から運動に向かうエアスピネル(撮影・奥田泰也)
キンカメ産駒はこれまでJRA通算1298勝。距離不問、しかも芝、ダート兼用の万能型として勝ち星を量産してきた。現役時代を管理した松田国師は産駒の特徴をこう分析する。
松田国師 馬のベースが自然体でしっかりしている。キングカメハメハ自体がマイルをこなせるスピードを持っていたし、(良発表でも)馬場の重かったダービーを2分23秒3のレコード(当時)で走れるパワーもあった。産駒も競走能力が高い馬が多いですね。
産駒の基本性能が高く、ひと言で言えば「弱点が少ない」(同師)。すべてが平均以上だから毎年リーディング争いができるのだ。
今年は2頭が出走する。4頭のキンシャサノキセキ産駒、3頭のダイワメジャー産駒に数では及ばないが、2戦2勝馬エアスピネル、1戦1勝馬リオンディーズとともに無敗馬だ。特にスピネルは、やや重のデイリー杯2歳Sを圧勝するなどスピードとパワーを兼備。父の特徴を色濃く受け継ぐ。笹田助手は「入厩時から馬体もあか抜けていた。現時点の完成度はいちばんだと思う」と話す。09年ローズキングダム以来となるキンカメ産駒の2歳王者が今年は誕生するか。【松田直樹】
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