『ギフト―僕がきみに残せるもの』というドキュメンタリー映画の中で、印象的なシーンがある。

ALSを患った元NFL選手のスティーブ・グリーソン氏は、選手時代に死をも恐れない勇敢なプレーで有名だった。球際に強く、猛スピードで突っ込んで行くのだ。特に、所属していたニューオリンズ・セインツの地元がハリケーンによる洪水に見舞われたとき、復興した最初の試合で劇的なパント・ブロックを決め、ファンに強烈な印象を残した。

グリーソン氏は、NFLの選手としては体が小さく、体力もいくらか劣っていた。しかしそれを類い希なる精神力でカバーした。ものすごい努力家だったし、それ以上に試合での集中力が凄まじかった。

特にパント・ブロックの名手として有名だった。パント・ブロックとは、相手のキッカーに頭から突っ込んで行って、蹴り出されるボールをブロックすることだ。渾身の力でキックする相手に対し、全速力で頭から突っ込んで行く。