最初に「ユビキリ」したのはいつ誰とだったろう。真冬の並木道、初めて好きになった年下の女の子の冷たくなった小指だったかもしれないし、夏休みの夜、同じ年なのに男心をくすぐるようなことばかり確信犯的にして楽しんでいた小悪魔みたいな女の子のマニキュアが眩しい小指だったかもしれない。ユビキリなんてそれくらい遠い記憶だ。でもちゃんと身体が覚えている。というより小指の記憶なんて人生でそのくらいなのかもしれない。