第100回全国高校野球選手権は桐蔭学園が春夏の連覇で優勝した。だが、今年の甲子園での大会で、最も注目を集めたのは決勝に進んだ金足農(秋田)であった。

私も「秋田県勢の決勝進出は103年ぶり。金足農が勝つといいな」とツイートした。私のツイートを見た人が「今回100回記念でしょ。103年ぶりは間違っているんじゃないの」とコメントした。

 選手権は1941年、戦争の影響で中止された。そして戦後、1946年西宮球場で再開された。

 須賀しのぶ著『夏空白花』(ポプラ社)は戦後、困窮にあえぐ日本で再開にこぎつけるまでの状況を「史実に基づいたフィクション」として描いた。作品中の主人公は朝日新聞

の記者神住匡である。

 こうした作品が成功の鍵は、フィクションとしての展開に事実をどう適格に織り交ぜていくかにある。

 本は戦中の報道状況の描写から始まる。「朝日新聞が主要紙として存続