多分、皆様は、「夏が来れば 思い出す はるかな尾瀬 とおい空」の歌『夏の思い出』をご存知と思います。もし武田久吉なかりせば、「水芭蕉の花が 咲いている夢見て咲いている 水のほとり」と歌われる情景が残っていたか疑問なのです。

尾瀬は、武田久吉によって世に紹介されました。

武田久吉は日本山岳会の創刊号(明治三九年)『山岳』に、尾瀬について書きました。当時尾瀬は「山深くして路なく交通便のよかざるが故に、人の行くこと稀にその名世に現れず。。。。紀行として尾瀬に関するものは殆んどなし」という状況で、世には知られていなかったのです。

そして、尾瀬の魅力について次のように書いています。

・尾瀬ヶ原の一部は今我が目の前に展開されたり。ミズゴケのじくじくと湿りたる処にコミヤマリンドウの紫も唇綻ばせて、天を仰いで笑みをもらせる。この世のものとも思われず、、、

・行く手には燧ケ嶽の巍然と